NICO×クリープハイプ!攻める2バンドによる9年ぶりの“相思相愛”対バン
NICO Touches the Walls | 2014.02.14
2014年開始早々、とにかく攻めまくっているNICO Touches the Walls。バンド初のベスト盤『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』のリリースや、自分達の作った会場で1ヶ月間に渡って開催するコンセプトライヴ「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ヒミツキチ「カベ ニ ミミ」」、そして8月には2度目の日本武道館公演も控えているなど、とにかくもう話題が尽きない状況だ。そんな彼らが、初の自主企画ライヴ「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト」を行なった。東名阪3カ所にてツーマン形式で開催されたこのツアーは、大阪ではBIGMAMA、愛知では[Champagne]と熱いステージを繰り広げ、迎えた最終公演は1月23日東京・EX THEATER ROPPONGI。この日の共演は、こちらも4月に武道館公演を控えているクリープハイプだ。実はこの2組、過去にとある関係があったのだが……それはまたレポートの途中で。定刻になるとゆっくりと会場が暗転。待ち切れないオーディエンス達の大歓声があがった。
まずステージに現われたのは、クリープハイプ。小泉 拓(Dr)、長谷川カオナシ(B)、小川 幸慈(G) の3人が、そこから少し遅れて尾崎世界観(Vo・G)が姿を現わす。「最高の夜にしましょう」と、1曲目は「イノチミジカシコイセヨオトメ」。尾崎がギターをかき鳴らす。ストローク2回。たったその2回で、聴き手の意識を全部持って行くような力強さに満ちていて、今のバンドの好調ぶりが伝わってきた。間髪入れずに「手と手」「蜂蜜と風呂場」、そして「シングル曲をやります」と「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」をプレイ。また「憂、燦々」に入る前に、ギターの小川を「ウチの対馬(対馬祥太郎/NICO Touches the Walls・Dr)です!」と紹介。ヒゲといい、ハット姿といい、確かによく似ている(笑)。
「あの?、結構仲良くなりましたよ、みっちゃん(光村龍哉/NICO Touches the Walls・Vo G)と。良い奴だった」と尾崎。MCで会場を和ませた後に披露されたのは「ラブホテル」。出だしの《夏のせい》という歌詞の通り、夏の青空がバーっと広がっていくような爽快感があるものの、歌詞はジメっとした男女関係というギャップが光る、クリープハイプらしいナンバーだ。曲の途中のブレイクで貯めていると「ちょっと巻いちゃったから調整してるんだよ!」、オーディエンスから「巻きのせい?」の声が…「うまいな!」とフロアとコミュニケーションを取りながら、更に熱を高めていく。終盤戦、カオナシのベースが鳴り響いた瞬間に大歓声があがったのは、お馴染みの「HE IS MINE」。オーディエンスは待ってました!と言わんばかりに“セックスしよう!”と大きな叫び声を上げる。そこから小川のドライヴ感全開のギターから突っ込んで行った「あ」を経て、アグレッシブな「社会の窓」で締め括った。
そして本日の主催者、NICO Touches the Wallsが登場。「新しくてキレイなライヴハウスだからさ、俺らの汗と汚ねぇもんで全部染め上げちまいましょうよ!」と光村が煽り、「そのTAXI、160km/h」からライヴはスタート。そこから「もっと汚ったねーもん出てくんじゃねぇか!?」と更に煽って「妄想隊員A」へなだれ込み、豪快かつダイナミックに突き進んで行く。そこから幻想的な空間の中を力強いメロディーが貫いていく「image training」と、ライヴの定番曲を連発しつつ、次の「梨の花」で一気にスロウバラードへシフト。続く「病気」ではブルージーな渋さを爆発させ、グングンとディープなニコの世界観へ引きずり込んで行った。MCでは「(対馬の方を見ながら)ウチの小川です!」と、オーディエンスの笑いを誘う。
また、ベスト盤に収録されている新曲「パンドーラ」「ローハイド」も披露された。「パンドーラ」は疾走感のあるアップチューンなのだが、古村大介(G)がイントロでボトルネックを使ったり、曲間にエキゾチックなフレーズを交えたりと、かなり怪しさの漂う1曲で、一筋縄ではいかない彼ららしさを感じさせる。そして「ここから先の人生の決意表明」と前置きされて披露された「ローハイド」。ちなみに、ローハイドとは西部劇のタイトルで、カウボーイが馬にムチを打つときにする掛け声のことだ。その名の通り、まさに自分達を叱咤するようなアグレッシブなサウンドで、地平線の向こう側まで駆け抜けて行くような瑞々しさがある。「2014年は攻めて攻めて攻めまくる!」とMCで話していた光村の言葉通り、どちらも実にパワフルで、キラーチューンに育って行きそうな予感をヒシヒシと感じさせた。
そして、坂倉心悟(B)のスラップが炸裂した「アビダルマ」で更に熱狂と混沌へいざない、そこで生まれた渦をさらに加速させるようにロカビリーな「THE BUNGY」へ。光村と古村が向き合ってギターバトルを繰り広げた後、ノーマイクでオーディエンスとのコール&レスポンス。熱狂的なシーンの連発でオーディエンスを興奮させ、「また会おう!」と光村。そこで終わると見せかけて、ダメ押しと言わんばかりに「ニワカ雨ニモ負ケズ」をドロップ! 会場の熱気を最大限にまで高め、ステージを終えた。
アンコールの声に応えて会場が明るくなると、ステージには2本のアコギと2脚の椅子。そして、両バンドのフロントマンである光村龍哉と尾崎世界観が登場すると、大歓声が上がった。そこから2人のトークが始まったのだが、これがかなり良い感じ。実はこの2組、9年前に高崎のライヴハウスで対バンしたことがあったとのこと。まだ当時は2組とも無名。ニコはインディーズデビュー前で、光村は10代。クリープハイプは現体制になる前で尾崎は20歳。「ライヴハウスの雰囲気も今とは全然違って、真ん中にポッカリと空間が空いてて、お客さんがみんな壁沿いにいた」(光村談)そうだ。
尾崎「高崎のときさ、ウチらの次の日がthe band apartだったんだよ。明日はきっと満員なんだろうなってすげえ悔しくて」
光村「俺、今でもあのときの光景覚えてるからね」
同じ現場で同じ感情を共有していることもあってか、かなり楽しそうに話している2人。実際、このアンコールで披露する曲を練習するためにスタジオに入ったそうなのだが、「2時間半ぐらいいたんだけど、ずっと話してたから30分しか練習してなくて。そこから結局飲みに行って、そこで2時間以上話をしてた」(尾崎談)とのこと。そんな2人の和やかなMCの後、クリープハイプの「傷つける」を弾き語りで披露し、オーディエンスを喜ばせた。事前に手渡されたセットリストではここで終わりのはずだったのだが、「僕達はちゃんと反発せずに気が合うから、これからもよろしくお願いしますっていう気持ちを込めて歌いましょうよ」(尾崎)、「なにそれ? 良いこと言うね!」(光村)と、ニコの「N極とN極」を急遽披露! 歌詞にある《やっぱ君じゃないや》を《やっぱ君しかいないぜ》と光村が歌うなど、お互いの相思相愛っぷりが炸裂したアンコールとなった。ラストには両バンドメンバーが全員登場。噂の対馬/小川の激似ペアが肩を並べて同じ仕草をするといった場面も飛び出し、ニコの初企画イベントは、実に温かい空気の中で幕を降ろしたのだった。
【取材・文:山口哲生】
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NICO Touches the Wallsが2月5日にリリースするベスト盤『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』収録の新曲「ローハイド」MVをウェブ動画番組「ニコじゃん!」で初公開する。
リリース情報
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト【初回生産限定盤】(CD+DVD)
2014年02月05日
Ki/oon Music
1.ローハイド(新曲)
2.ニワカ雨ニモ負ケズ
3.Mr.ECHO
4.夏の大三角形
5.手をたたけ
6.バイシクル
7.Diver
8.妄想隊員A
9.マトリョーシカ
10.N極とN極
11.かけら~総べての想いたちへ~
12.ホログラム
13.THE BUNGY
14.Broken Youth
15.梨の花
16.image training(新録)
[DVD]
Studio Live“Walls Is (re)Beginning”
1.そのTAXI,160km/h
2.行方
3.プレイヤ
4.image training
5.病気
6.雨のブルース
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リリース情報
セットリスト
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト
2014.1.23@EX THEATER ROPPONGI
<クリープハイプ>
- イノチミジカシコイセヨオトメ
- 手と手
- 蜂蜜と風呂場
- おやすみ泣き声、さよなら歌姫
- オレンジ
- 憂、燦々
- さっきはごめんね、ありがとう
- グレーマンのせいにする
- ラブホテル
- かえるの唄
- HE IS MINE
- あ
- 社会の窓
<NICO Touches the Walls>
- そのTAXI,160km/h
- 妄想隊員A
- image training
- 梨の花
- 病気
- パンドーラ
- ローハイド
- ホログラム
- アビダルマ
- THE BUNGY
- ニワカ雨ニモ負ケズ
- 傷つける
- N極とN極
お知らせ
<NICO Touches the Walls>
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ヒミツキチ「カベ ニ ミミ」
2014/02/01(土)〜201/02/28(金)
東京都渋谷区神宮前5-27-7 B1F
「カベ ニ ミミ」オフィシャルサイト
http://www.kabenimimi.com/
「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ブドウカン」
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<クリープハイプ>
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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。