レビュー

NICO Touches the Walls | 2014.02.05

連載 第11週
NICO Touches the Walls
『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』


カベノヒビ

 変なベストである。だが、愛すべきベストでもある。どこが変かというとシングルをすべて網羅しているわけではなく、インディーズ時代を含めてアルバム曲がけっこう入っているのだ。

 たとえば「N極とN極」という曲は、ボーカルの光村龍哉が高校生の時に書いた曲で、似たもの同士ほど反発しあうという同族嫌悪の歌。先日、行なわれた対バンイベント・ツアー“ニコタッチズザウオールズ ノ フェスト”の最終日・東京EX THEATER ROPPONGIの相手のクリープハイプ尾崎世界観は、セッション曲にこの「N極とN極」を選んで、光村と素晴らしいデュエットを披露した。

 こうした“シングルでなくともパワーのある曲”たちは、ニコのライブの歴史の中で、オーディエンスとともに育ってきた“ライブでの人気曲”だったりする。それらは発表時にはさほど目立たなかったものの、ライブを重ねるごとに“頼りになる曲”になっていったのだという。言い方を替えれば、このアルバムさえ聴いておけば、ニコのライブに行っても淋しい思いはしない、周りに乗り遅れることはない“ライブ予習盤”でもある。ロックのコミュニケーションを信頼するからこその構成、「ニコらしいベスト」なのだ。
 そして僕はこの“ベスト盤”を聴いたとき、大きな疑問を抱いた。それは、僕がいちばん好きな「夢1号」が入っていないことだった。2012年 に11枚目のシングルとしてリリースされたこの曲は、光村が夢の中で聴いた自分たちのヒット曲を再現したという不思議な成り立ちを持っている。それだけに、大ヒットはしなかったものの、ニコの魅力の本質を伝えてくれる重要な曲なのだ。

 僕は光村に思い切ってそのことを尋ねてみた。すると、「『夢1号』を堂々と入れられるようなベストを出せるよう、頑張ります!」とキッパリ。だからアルバム・タイトルは、『ニコ タッチズ ザ ウオールズ NO ベスト』にしたんだって。まったく、こいつら、大ひび野郎だぜ!

【文・平山雄一】

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リリース情報

ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト【初回生産限定盤】(CD+DVD)

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ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト【初回生産限定盤】(CD+DVD)

発売日: 2014年02月05日

価格: ¥ 3,447(本体)+税

レーベル: Ki/oon Music

収録曲

[CD]
1.ローハイド(新曲)
2.ニワカ雨ニモ負ケズ
3.Mr.ECHO
4.夏の大三角形
5.手をたたけ
6.バイシクル
7.Diver
8.妄想隊員A
9.マトリョーシカ
10.N極とN極
11.かけら~総べての想いたちへ~
12.ホログラム
13.THE BUNGY
14.Broken Youth
15.梨の花
16.image training(新録)

[DVD]
Studio Live“Walls Is (re)Beginning”
1.そのTAXI,160km/h
2.行方
3.プレイヤ
4.image training
5.病気
6.雨のブルース

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