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<始まりの一体感>を終始体感したVictoryの東京初のワンマン

Victory | 2014.04.06

 この日、<始まりの一体感>をテーマに、初の東京ワンマンライヴに臨んだ、ティーンネイジ女子5人組ロックバンドVictory。直近まで多数のライヴやイベントに出演。その際には各現地で、”3月30日に、この場所で、私たちのライヴを一緒に体感して欲しい!!”との願いを込めて、この日のチケットがメンバーたちにより手売りされてきた。そして、その想いが通じたのだろう。会場の新宿レッドクロスは超満員であった。

 開演前から彼女たちを待ちわびたファンが熱烈なVictoryコールを連呼している。ホイッスルも交じり、その様相はさながら、この日のイベントの副題同様、野球の応援のようだ。 SEと共にステージに現れた5人。ライヴではお馴染みの、上は往年のロックレジェンドたちのTシャツ、下は制服風のスカートといった出で立ちだ。
 準備が整うと、下手(しもて)ギタリストRENAから重めのギターリフが放たれる。1曲目は「ろっく」。彼女たちのライヴでの特徴の一つとも言える、70年代ロックのテイストが遺憾なく発揮されている曲だ。ハンドマイクで歌うボーカルのAYAKI。サウンドに合わせてキーも若干低めだ。ベースのSHINOBUとドラムのMAYUKOによるグイグイくるリズム隊の上、上手(かみて)ギタリストMINAMIのギターソロも現れる。つい先日、地元佐賀の高校を卒業し、上京してきたばかりとは思えない、その演奏スキルの高さと渋さに魅入る主に初見のオーディエンスたち。その驚きの表情が面白い。かく言う私も最初に彼女たちのライヴを観た時は、きっと同じような表情をしていたに違いない。ノンストップで「Never Give Up」に飛び込むと、フロントの4人が揃って身体を左右に揺らしながら、プレイをしたり歌ったりと魅せ場を作る。この曲の特徴は、ブギーの効いたギタープレイと2本のギターならではのオブリの入れ具合、そして中盤から突如現れるテンポアップの部分。そこで現れるドライヴ感に会場もライドオンしていく。この曲ではMINAMIがギターソロを披露。2人のギタリストそれぞれがパッキングもソロも出来る力量を持っていることを改めて認識する。そして、フロア全体のクラップの中から現れた「虹」では、ここまでのハードロックテイストの中、それらを基調にしながらも、楽曲の擁している<明るさ>が広がっていく。この曲では、RENA、MINAMIのソロのリレーションも登場。うーん、芸達者だ。

 最初のMCでは、それぞれのキャッチフレーズを交え自己紹介が行われた。ちなみにAYAKIは「King of ポンコツ」、RENAは「天然リーダー」、MAYUKOは「弱メンタル特攻隊長」、SHINOBUは「秀才犬」、MINAMIは「世間知らずの内弁慶」とのこと。それぞれ”まさに!!”って感じだ(笑)。「今回のテーマは『始まりの一体感』。今回はその第一回目にしたい」とSHINOBUが満場に伝え、ライヴに戻る。

 中盤では新曲「scarred」も披露された。影やダークな面、そして哀愁歌謡さが全面に現れた、これまでになかった大人っぽさを有した同曲。楽曲に哀しさと寂しさ、そして切なさを込めて歌うAYAKIの姿も印象的であった。後半はハンドマイクに持ち替え、体全体を使って歌っていた彼女。特にラスト部での、”この想いよ伝われ!!”と言わんばかりの気持ちの込もったシャウトには、かなりの感情移入を感じた。反面、「故郷を想って書いた曲」との紹介のあと歌われた「HOME」では、会場中が自身のHOMEと思える場所や土地、そして愛しい人、また、そこを一時離れてでも得たいものの存在へと想いを馳せる。その先に待っている新しい世界への想いが楽曲と共に会場中に広がっていく。

 最大の盛り上がりはラストの3曲でやってきた。この日のテーマでもあった<一体感>が会場/ステージを交え育まれた「I Go Everyday」では、RENA、MINAMIのツインリードも飛び出す。また、ライヴが更に走り出し、転がっていった「青春LIFE POP」では、楽曲が表す疾走感が会場をグイグイ惹き込んでいく。そんな中、一際の盛り上がりと一体感を見せたのは、やはり本編最後の「KGSD」であった。同曲では、サビのダンサブルな部分も炸裂。コーラスも全員が参加し、ラストはステージ/フロア交え全員でジャンプし、本編を締める。

 アンコールではステージに現れた際、サイレンと共に「重大発表」と称された、彼女たちの<これから>が続々発表された。「秋口に2枚目の作品のリリースを予定しているのだが、今のミニアルバム『KGSD』が、初夏までにあと500枚追加で売れなければ、その話も消滅してしまうこと」「5月中旬には関東ツアーがあること」そして、「7月21日には、この日の会場よりも数倍のキャパシティである渋谷O-Crestで次のワンマンライヴが行われること」等が伝えられ、都度大きな拍手や反響がステージに寄せられた。

 アンコールは2曲。ベンEキングの「Stand by Me」のカバーと、彼女たちのレパートリーのうち、最もポップで軽やかな「HAPPY LIFE」であった。全て歌い終えたAYAKIからの、「これからもがんばっていきますので、応援よろしくお願いします」の締めの挨拶を残し、5人はステージを去った。

 アンコール曲に入る前の「これから私たちは、もっと大きくなっていきたい。その為には、みんなの力が必要だと今日改めて思いました」とのAYAKIのMCを、ライヴ中、至る所で感じられたこの日。連日のライヴや当日の緊張も重なり、若干歌に不安定さと、演奏面に於いても、全てを奔放に出し切れていたか? には少々疑問を残した。しかし、それらをカバーするほどの、勢いやほとばしり、また、メンバー同士がフォローし合う場面を多々見れたのは、逆に今後への収穫でもあった。そして何よりも、”ここから何かが始まっていく…”そんな嬉しい予感が胸中に去来したのが頼もしかった。
 そう、そのグループ名同様、勝利に向かってのVictoryの道のりは、まだ始まったばかりなのだ!さぁ、そのまま突き進め!!

【取材・文 池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル Victory

リリース情報

KGSD

KGSD

2014年01月22日

redrec / sputniklab inc.

1. KGSD
2. I GO Everyday
3. 偽物スマイル
4. U
5. HAPPY LIFE

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セットリスト

Victory LIVE「一回の表」
2014.3.30@新宿レッドクロス

  1. ろっく
  2. Never Give Up
  3. scarred
  4. 偽物スマイル
  5. HOME
  6. U
  7. I Go Everyday
  8. 青春LIFE POP
  9. KGSD
Encore
  1. Stand by Me
  2. HAPPY LIFE

お知らせ

■ライブ情報

Victory TOUR 一回の裏「関東対抗試合」
2014/05/16(金)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心
2014/05/19(月)F.A.D横浜
2014/05/23(金)HEAVEN’S ROCK宇都宮

Victory LIVE 二回の表「次回CDリリースできるかな?」大発表会
2014/07/21(月・祝)渋谷Crest

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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