UNISON SQUARE GARDEN、さらに精度を上げたファイナル公演!
UNISON SQUARE GARDEN | 2014.04.04
シングル『桜のあと(all quartets lead to the?)』(2013 年11 月リリース)、『harmonized finale』(2014 年2 月)が続けてオリコンチャートTOP10 にランクイン。メジャーシーンのど真ん中で存在感を示し、ロックファンはもちろん、J-POP ユーザーの認知度も大きく上がっているUNISON SQUARE GARDEN。“桜のまえ”と題された今回のツアーでも3人は、ストイックな演奏の力でぐいぐい観客の心を掴んでいく、規格外のパフォーマンスを見せてくれた。
イズミカワソラの「絵の具」が流れるなか、まずは鈴木貴雄(Dr)が姿を見せる。さらに田淵智也(Ba)と斎藤宏介(V&G)が登場、それぞれの立ち位置に立つと同時にシャープなギターのリフが鳴り響き、凄まじい歓声が沸き上がる。オープニングは2ndアルバム『JET CO.』の1 曲目に収録されている「メッセンジャーフロム全世界」。性急なビートと鋭利なメロディによって、満員のオーディエンスの興奮は一気に頂点へ向かう。「ようこそ!」(斎藤)と短い挨拶を挟み、『JET CO.』のエンディングナンバーである「23:25」へジャンプ。さらに3rdアルバム『Populus Populus』の収録曲「kid, I like quartet」(OAD『夜桜四重奏 ?ホシノウミ?』の主題歌)、シングル『桜のあと(all quartets lead to the?)』に入っている「セク×カラ×シソンズール」へ。意外性に満ちたセットリストだが、観客のテンションはさらに上がっていく。ファンの強烈な愛情がまっすぐに伝わってきて、こちらまでゾクゾクしてしまう。
このバンドのアンサンブルは本当に素晴らしい。リズム、メロディ、ハーモニー、歌詞のすべての要素を信じられないほど緻密に構築し、スリリングかつポップなサウンドへと導いていく3人。スリーピースバンドとは思えないほどの音圧と音数を(爆発的なテンションをキープしながら)放ちまくる彼らのステージングは、現在のロックシーンのなかでも明らかに際立っていると思う。田淵のアクションもやはり最高。あれだけ狂ったように動き回りながら、どうやってあの複雑なフレーズを弾いているのかさっぱり分からない。
「外は風が強いみたいだけど、元気ですか、東京!久々の東京でのワンマンライブなので、たっぷりやりたいと思います」という斎藤のMCのあとも、このバンドが持つカラフルな音楽性を体感できる場面が続く。感情剥き出しのギターサウンドを軸にしたガレージ・ロック・チューン「ピストルギャラクシー」、彼らの代表曲のひとつである「リニアブルーを聴きながら」(映画『劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-』主題歌)――ライブ前半にさりげなくアンセムを入れてくるところがカッコいい――そして、ノスタルジックな雰囲気の「三月物語」。楽曲ごとに景色が変わっていくような感覚もまた、このバンドの魅力だ。
ライブ中盤のハイライトは新曲「harmonized finale」(『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising -』主題歌)。繊細なピアノのフレーズから始まるこの曲は、ドラマティックな広がりを持つメロディ、“終わっていく”という儚さを感じさせる歌詞がひとつになったナンバー。叙情的なムードを持ったこの曲を、生々しいバンド感を保ちながら表現できたことは彼らにとっても大きな収穫だったと思う。
「今年、卒業したって人いる?黒歴史が爆発するのが卒業式だと思うんですよ……(この後、卒業式にまつわるメンバーの恥ずかしい話を暴露。3人の名誉のためにここでは伏せておきます)」という斎藤のトークを挟み、ライブは後半へ。「ふだんはあまりやらない曲をやります」(斎藤)というコメントとともに披露された「さわれない歌」(この曲にはメンバーが考える“ファンとのバンドの距離感”が示されるような気がする)、UNISON SQUARE GARDEN流のファンクチューン「等身大の地球」、鈴木の鮮烈なドラムソロから始まった「シャンデリア・ワルツ」、未発表曲なのに凄まじい大合唱が生まれた「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」。個性的な楽曲が次々と披露され、フロアの熱気も最高潮。そしてクライマックスは「桜のあと(all quarters lead to the?)」。メロディ、リズム、アンサンブルの密度を極限まで高めることで、極めて現代的なポップ感覚を描き出したこの曲は、現時点における彼らの最高傑作と言えるだろう。
アンコールでもアッパーチューンを連発し、「めちゃくちゃ楽しかった!」(斎藤)という挨拶とともにステージを後にした3人(鈴木は“ドラムをやってるヤツいる?”と声をかけ、シンバルをプレゼント)。オーディエンスを強引に煽ることもなく、コール&レスポンスや“いっしょに歌おう”みたいな要求もなく、熱いメッセージを話すわけでもなく、ただ純粋に音楽を介した関係によって、強烈な一体感と圧倒的なカタルシスを生み出してみせたUNISON SQUARE GARDEN。今回のツアーによってさらに精度を上げたライブ・パフォーマンス、そして、ロック、J-POP、アニソン、ボカロ系などの幅広いリスナーにアピールする音楽性を含めて、このバンドはここから一気に大メジャーな存在になっていくはずだ。
【取材・文:森朋之】
【撮影:森 久】
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リリース情報
セットリスト
UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014
“桜のまえ”
2014.3.21@Zepp Tokyo
- メッセンジャーフロム全世界
- 23:25
- kid, I like quartet
- セク×カラ×シソンズール
- meet the world time
- ピストルギャラクシー
- リニアブルーを聴きながら
- 三月物語
- 流星のスコール
- ため息 shooting the MOON
- マスターボリューム
- harmonized finale
- さわれない歌
- ノンフィクションコンパス
- 等身大の地球
- シャンデリア・ワルツ
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