前へ

次へ

阿部真央対バンツアー、相思相愛・Aimerとのスペシャルセッションが実現

阿部真央 | 2014.06.09

 デビュー5周年イヤーを飾るスペシャルイベント「5th Anniversary 阿部真央らいぶ“お力添え、願います。”ツアー2014」が5/8(木)Zepp Tokyo公演で開幕した。阿部真央自身がリスペクトするアーティストを招いた対バン形式となる今回のツアー、初日のゲストは女性シンガーのAimer。ミニアルバム「After Dark」の収録曲「words」を阿部真央が提供するなど(彼女が他アーティストのために楽曲を書き下ろしたのは、この曲が初めて)、以前から交流のあるふたりのステージは、個性的な世界観が交差する充実した内容となった。

 最初に登場したのはAimer。満員のフロアから「Aimer!」という歓声が上がるなか、オープニングナンバー「TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR」のロマンティックなフレーズ――、すべての観客が一瞬にして彼女の歌に惹きつけられる。さらに「あなたに出会わなければ~夏雪冬花~」「六等星の夜」、5/21日にリリースされる新曲 「StarRingChild」を披露。祈りにも似た美しいメロディ、奥深いメッセージ性を軸にした独自の音楽性をしっかりと体感させてくれた。

 そして、アコギの弾き語りによる阿部真央のライブがスタート。小走りで登場した彼女は、まず、「本日はお越し下さり、ありがとうございます!」と笑顔で挨拶。さらに今回の対バンツアーの趣旨を説明した後、「すごかったね、Aimerさんのライブ! 私は4か月ぶりのライブだし、緊張してるんですけど、がんばります!」という言葉を挟み、最初の楽曲「貴方が好きな私」を歌い始める。アコギの弦の鳴りがはっきりとわかるアタック強めのストローク、ドラマティックかつ叙情的なメロディライン、そして、「『貴方が好きな私』が わたしを殺してく」というフレーズがひとつになり、すべてのオーディエンスが楽曲の世界へと引き込まれていく。さらに「最後のその線引きを 自分なら越えられるとでも思うの?」と言い放つ「デッドライン」。アコギと歌によって、繊細にして激しい感情をまっすぐに描き出す――それこそが阿部真央の本質なのだと改めて実感させられた。
「バンドみたいに次々と演奏できないので、ちょいちょいMCを挟んで行こうと思います」という言葉通り、ファンとのフレンドリーなやりとりも印象的だった。

「ゴールデンウィーク、何してた?」
「今日まで17連勤だった!」
「えー大変!」
「内定もらったよ~」
「すごい! おめでとう!」

 彼女自身もまったく飾ることなく、素の表情を見せながらトークを楽しんでいる。この気の置けない雰囲気もまた、阿部真央の魅力なのだと思う。

 さらに「しばらくやってない曲です」という言葉に導かれた「貴方の恋人になりたいのです」(’09年)、最新アルバム「貴方を好きな私」(’13年)の収録曲「天使はいたんだ」など新旧織り交ぜたナンバーを披露。そして、ライブ中盤でもっとも強いインパクトを放っていたのは「morning」だった。「昔から暗い曲が多くて……これからも書いていきますけどね(笑)。次の曲は“死ぬほど好きなのに、どんなに祈っても願っても、あなたは私のものにならない”という曲です」というコメントに導かれた、「明日死んだら その時は手を繋いでよう」というフレーズが突き刺さるバラードナンバー。“女の情念”という言葉を思い浮かべるほどの強い感情を、奥深い表情を備えた歌と結びつきたこの曲もまた、彼女の真骨頂だろう。  ライブ後半では、ニューシングル「Believe in yourself」(NHK Eテレ アニメ「ベイビーステップ」)を初披露。「ベイビーステップ」の原作を読み、「挫折と小さい成功を重ねながら、ちょっとずつ成長していく主人公に共感したし、“自分もがんばろう”という気持ちをもらった」という彼女。真っ直ぐで伸びやかなボーカルと「確かな一歩を踏みしめて行こう 君が掴むのさ」という歌詞がひとつになったこの曲は、阿部真央の新たなアンセムとして広がっていくことになりそうだ。弾き語りするにはとても難しい曲らしく、ツアー前に相当練習したとか。歌い終わった後の「ちょっとギター間違えたけど、いままででいちばん上手く歌えました」という言葉も印象的だった。

 ラストは極上のポップチューン「I wanna see you」。カラフルなメロディが響き渡り、オーディエンスも楽しそうに身体を揺らす。会場全体に広がる心地よい一体感からは、デビューから5年の間に築き上げてきたファンとの絆が確かに感じられた。

 観客の“あべま”コールに導かれたアンコールでは、Aimerと阿部真央のセッションが実現。まずは阿部真央が提供した「words」。ひとつひとつの言葉に濃密な感情を与えていくAimer、楽曲の込めた思いを解放するように歌い上げる阿部真央。特に「もう会えないなら せめて憎ませて欲しかった」というラインでふたりが声を重ねる瞬間には、ゾクッとするような感動を覚えた。

「すごい良かった! 私、自分でグッと来た(笑)」(阿部真央)というMCに続いて、Aimerが特に好きだという「for ロンリー」。この日、この場所でしか見られない本当に貴重なコラボレーションだったと思う。

 Aimerを送り出した後、「本編で1曲飛ばしちゃったんだよね。歌っていいですか?」と「母の唄」を力強く歌い上げ、ライブは終了。「ここまでやれたのはみなさんのおかげ。自分と向き合いながら音楽を提示していくことが、いちばん誠実な姿勢だと思っています」という言葉も強く心に残った。

 この日のMCのなかで、映画「小野寺の弟・小野寺の姉」(主演/向井理、片桐はいり)の主題歌(「それぞれ歩き出そう」)を担当することを発表した阿部真央。対バンツアーから始まった5周年のアニバーサリー・イヤー(10月10日には初の日本武道館公演も!)によって彼女の存在は、さらに大きく広がっていくことになるはずだ。

【取材・文:森 朋之】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル 阿部真央

関連記事

リリース情報

Believe in yourself

Believe in yourself

2014年05月21日

ポニーキャニオン

1 .Believe in yourself
2 .疲れたな
3.Believe in yourself(inst.)

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

阿部真央らいぶツアー2014@日本武道館
2014/10/10(金)日本武道館

※詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る