前へ

次へ

SHISHAMO初のワンマンツアーでさらに成長を遂げた渋谷クアトロ公演!

SHISHAMO | 2014.07.17

 初のワンマン「彼女が出来たバンドマンに恋する休日」ツアーファイナルとなった渋谷クアトロ。3曲ほど歌ったところで満杯のオーディエンスに「ただいま!」と元気に挨拶した宮崎朝子(Vo,G)からは、このツアーで得た自信や充実感がほとばしっていた。
 隣で手を挙げ歓声に応えた松本彩(B)、ステージに登場する時に笑顔でSHISHAMOタオルを広げてアピールした吉川美冴貴(D)も同様で、そんな彼女たちを待ちかねたオーディエンスが暖かく迎えていたのは言うまでもない。

 落ち着いた雰囲気で歌い出した「君との事」を幕開けに、「休日」「深夜のラジオ」と調子を挙げていき、「楽しみにしてました? 私たちも楽しみにしてました」とMCを挟んで歌った「バンドマン」は、手拍子や歓声も起きて一気に盛り上がると、宮崎は間奏でセンターに出てギターソロを弾いた。左手をじっと見ながら弾くソロも、しっかりと前を向いて歌う声も、CDで聴くより立体的に聴こえて惹き付けられる。シニカルな意味も含んだ歌だけれど「私は今あのバンドマンに夢中です」という歌詞は、そのまま彼女たち(バンド・ウーマンだけど)への皆の気持ちにも思える。

 ライヴで生き生きと歌い演奏する彼女たちは、仲間であり夢中になれるバンドだ。続く「行きたくない」は、じっと曲に耳を傾けながら、誰もがゆったりと腕を振る。宮崎が左右に身体を揺らしながら軽快に歌い出した「サブギターの歌」は、後半のレゲエ・パートでリズム隊が歌を引き立て、後半は転調して大歓声が起こるとストロボも点滅してフロアの揺れを加速した。

 「暑くないですか?」と宮崎は話し始め、「2012年の年末、この近くのTake Off7に出さしてもらったんですよ。まだCDすら出していない…」と言うと、すかさず「制服で出てた」と吉川。それを(シー!)といなした宮崎が「その時来てた人?」と訊くと、あちこちから腕が上がった。「けっこういますね。その時の人が来てくれてるのが嬉しい。ありがとうございます。その時やってた曲、『卒業制作』の曲をやっていきたいと思います」

 拍手の中、大きく息を吸って歌い始めた「君に告白した理由」は、これを高校生で作って演奏していたのだと思うと、いち早く注目を集めたのも頷けると改めて思わされたし、「熱冷まシート」は制服姿だった彼女たちが、ちょっとお姉さんになった今を感じさせもする曲になっていた。するとここで吉川が「私が最近体験した哀しい話」と、大阪の追加公演でお客さんからの差し入れが、「一人一人名前が書いてあって、松本と朝子は、トリュフとか入ってそうなメッチャ高級そうなチョコなんですよ。私は何かなと思ったら、80円のアンパンマンチョコ。ちょっと差がありすぎちゃったかなあ。それ、さっきわかったんですよ」

 ネタになるほど愛されている3人のキャラがよくわかるエピソード(笑)を挟んで、女子高生時代らしいキュートなナンバー「夢のはなし」「宿題が終わらない」を演奏したところで宮崎が言った。

「東京は今日が今年2回目なんですよね。久しぶりに東京の皆に会えて嬉しいです」。オーディエンスとのやりとりに流れを乱されそうになりながらも伝えたいことをちゃんと言う、宮崎の芯の強さが垣間見えた瞬間だ。そして「ゆっくりめの曲を、まったり聴いてください」と言ってギターを弾き始めた。

 「がたんごとん」はシンプルな演奏でじっくりと表情のある歌を聴かせ、「こんな僕そんな君」「あの子のバラード」と続くうちに自然とオーディエンスは身体を揺らしながら歌にじっと耳を傾けている。皆SHISHAMOの曲が本当に好きなのだ。お馴染みの曲が続いたとところで宮崎が「同じ曲ばっかとか言われるけど、ちゃんと作ってるんですよ。ここからはCDになってない曲を」というと大歓声が起こった。そして、まだタイトルもないけれどキレのいい新曲を披露すると、オーディエンスは初めてなのに速攻手拍子で曲を盛り上げながら、歌を捉えようと全身で聴いている。7/2にリリースしたシングル「彼女の日曜日」、宮崎が「松本が初めて歌詞を書いた」と紹介した「脇役」も同様で、即座に曲を掴んでバンドと一体化していくスピード感が小気味いい。そんな空気に酔いしれていると、「時間の経つのは早いもので(え~!)まだ終わらないんですけどね、そろそろラストスパートに。皆さんよろしくお願いします」と宮崎。エッジの効いたギターが「僕に彼女ができたんだ」のイントロを鳴らすと、ワッと空気が濃くなった。手拍子が続く中、「みなさんタオル持ってますよね!」と松本が言うと一斉にタオルが捧げられグルグル回った「タオル」では、間奏で前に出た松本と笑顔を見合わせた宮崎が「皆さん最高です!」と叫び、本編最後の「恋する」は大合唱になった。アンコールは今後の予定などを告げながら『卒業制作』からの「第3ボタン」と、最新シングルになる「君と夏フェス」を演奏。SHISHAMOにとって夏のアンセムとなりそうな曲が、手拍子と共に一足早く耳に刻み込まれたのだった。

【取材・文:今井智子】
【撮影:柴田恵理】

tag一覧 ライブ 女性ボーカル SHISHAMO

関連記事

リリース情報

君と夏フェス

君と夏フェス

2014年07月02日

GOOD CREATORS RECORDS

1. 君と夏フェス
2. 彼女の日曜日
3. 脇役

このアルバムを購入

お知らせ

■ライブ情報

SHISHAMO presents「軽音部祭り2014」
2014/08/01(金)川崎 CLUB CITTA’

SHISHAMOワンマンツアー2014秋
2014/10/04(土)千葉LOOK
2014/10/07(火)恵比寿LIQUIDROOM
2014/10/08(水)恵比寿LIQUIDROOM
2014/10/11(土)浜松Live House 窓枠
2014/10/18(土)福岡DRUM LOGOS
2014/10/19(日)長崎DRUM Be-7
2014/10/23(木)名古屋E.L.L.
2014/10/24(金)名古屋E.L.L.
2014/10/26(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2014/10/27(月)松山サロンキティ
2014/10/31(金)札幌ペニーレーン24
2014/11/03(祝)水戸LIGHT HOUSE
2014/11/08(土)埼玉HEAVEN’S ROCK さいたま新都心
2014/11/13(木)心斎橋BIGCAT
2014/11/14(金)心斎橋BIGCAT
2014/11/16(日)熊本B.9 V1
2014/11/21(金)新潟LOTS
2014/11/22(土)仙台Rensa
2014/11/28(金)赤坂BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

トップに戻る