PUSHIM、野音で15周年を祝福!生命の限り歩こう、そう歌い続ける孤高のシンガー
PUSHIM | 2014.07.18
懸念していた雨も上がり、日比谷公園に足を踏み入れると、澄み切った空気と陽射しが気持ちいい。そして会場からはすでにサウンドシステムの重低音が聴こえてくる。今年、メジャーデビュー15周年を迎え、6月にベストアルバム『15th -THE BEST OF PUSHIM-』をリリースしたPUSHIMの晴れの日を祝福するムードが会場の外まで溢れだしている。
入場するとPUSHIMのパネルと2ショット写真が撮影できるコーナーやグッズ売り場は大盛況。もっともいちばん盛況だったのは売店だったけれど、梅雨の晴れ間、夏を予感させる空気の中で楽しむPUSHIMのライブとくれば、子供連れのママやカップル、熱烈な女子ファン…すべての人を解放してくれるのだから致し方ない!
レゲエの名曲をスピンしていたDJが彼女のアニバーサリーを祝い、登場のアナウウンスを告げると、まずはHome Grown Special Bandのメンバーが緩やかなグルーヴを奏で始め、そこにシンプルな出で立ちのPUSHIMが登場。《捧げるMy Love》というフレーズがここにいるファンに向けられたようでうれしくなる「Anything For You」でスタート。そのまま緩やかなテンポとベースの重低音が心地いい「Mighty Princess」、イントロへの歓声の大きさにすっかり最近のアンセムに定着した印象の「HEAT」へとシームレスにつないでいく。
雨も上がり、今日この時間を存分に楽しんでと最初のMCをした彼女、「おそらくこの15年でいちばん歌ってるんじゃない?という曲を歌います」と、ジャジーで大人なアレンジに変化してきた「FOREVER」が、アコギやアップライトベースの有機的なアンサンブルでスムースで力強いボーカルを風通しよく届けてくれる。
毎回MCからアドリブ満載の自由度満載なコーナー(?)に展開していくPUSHIM のライブ。この日は「大阪生まれ、大阪育ちのの私から東京の皆さんに愛を歌います!」と、「悲しい色やね」と「やっぱ好きやねん」を披露。そしてその流れのまま、アニバーサリー・ライブならではのゲストが序盤から惜しみなく登場。まずは同じレーベルから、まだ日本でレゲエやラヴァーズが浸透していない頃にデビューし、ともにこのジャンルの根を強いものにしてきた“同志”MOOMINが現れ、1stアルバム収録曲である「波が...」から「Moonlight Dancehall」そして「The One Song」をデュエット。「お互いにいなかったら、今ここに立っていなかった」と固い握手を交わした姿が印象的だった。
「若い頃は人の歌なんて…と思ってたけど、日本には素晴らしい歌がいっぱいあって、素晴らしい言葉をもっと知って歌っていきたいです」と、美空ひばりの「リンゴ追分」を披露。もはやこのバンドのオリジナルと言えそうなスカアレンジと、リスペクトが感じられる歌唱にPUSHIMがボーカリストとして歩いてきた独自の道のりを見た。
恋の終わりを女性から告げる「Strong Woman~Heart Breaker」では、誰も最初から強かったわけじゃないと、傷つきながら前へ進む彼女自身の姿を見せ、自分に言い聞かせるような《あなたにさよならを言う》のリフレインで強く心を揺さぶる。サウンドもグッとアーバンでバンドと育んできた音楽の奥行きの深さを堪能。続くマイロとの共演「誓い」。ハイトーンが伸びやかなマイロと深みのあるPUSHIMの声がロックテイストな演奏に乗るダイナミズムも見どころだった。
終盤には有機的なワンドロップナンバー「Light Up Your Fire」を生命を慈しむように歌い、ラストはタイトルコールにひときわ大きな歓声が上がった「I pray」。本場ジャマイカのミュージシャンと互角に渡り合い、音楽家として自らの道を切り拓いてきた彼女が今日この日にチョイスした曲の数々は、新旧問わず、生命のある限り歩いていこう、そんなメッセージに満ちたものばかりだった。
感動と開放感に満たされ、熱烈にアンコールを求めるファンに大阪のおばちゃん(失礼!)名物、アメちゃんを撒きながら再登場したPUSHIM。目下の新曲である「ララバイ」ではなんとキヨサク(MONGOL800)も参加、温かなアコースティックセットで貴重な共演も果たし、大団円は歌い続ける意思をそのまま表現したような「a song dedicated」。ファンの心に彼女の歌がそのまま照射されてシンガロングが起こる、そんなまばゆい光景だった。
毎回思うことだが、シンガーPUSHIMはジャンルを越えて、日本のポップシーンの良心と魂を担う存在である。その歌の力がさらに広がることを願ってやまない。誰かが飛ばしたシャボン玉が風に流され、それを見つめる子供たちがいて、空を見上げると半月が輝いている。都会で感じる自然の美しさは、PUSHIMの今の歌の最高の舞台装置。しばらく忘れられない夜になりそうだ。
【取材・文:石角友香】
リリース情報
15th -THE BEST OF PUSHIM-
2014年06月04日
Ki/oon Music
2. I pray
3. FOREVER -2014ver.-
4. a song dedicated -2014ver.-
5. RAINBOW
6. 夕陽
7. My name is...
8. Strong Woman
9. 誓い feat. MIHIRO ~マイロ~
10. I Wanna Know You
11. Hooray
12. That’s my blues song
13. Rain or Shine
14. HEAT feat. EGO-WRAPPIN’
15. ララバイ feat. キヨサク(MONGOL800)
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セットリスト
PUSHIM SUMMER SPECIAL!!!
15th ANNIVERSARY LIVE IN野音
2014.7.5@日比谷野外大音楽堂
- Anything For You
- Mighty Princess
- HEAT
- FOREVER
- このルートじゃなくてもゴールはある
- 波が…~Medley with MOOMIN
- The One Song with MOOMIN
- リンゴ追分
- 雨のバンドネオン(inst.)
- I Wanna Know You
- Strong Woman~Heart Breaker
- 誓い feat. MIHIRO~マイロ?
- Light Up Your Fire
- 夕陽
- I pray
- RAINBOW
- ララバイ feat. キヨサク(MONGOL 800)
- a song dedicated
お知らせ
LIGHT UP YOUR FIRE LIVE
PUSHIM with HOME GROWN SPECIAL BAND
2014/07/27(日)17:00~20:00
at OASIS, HAYAMA
Charge : ¥2,000
※限定200名
※整理券を7月27日(日) 13:00~オアシスにて配布します。
【INFO】
OASIS TEL : 046-876-3812
info@oasis-jahnodebeach.jp
http://arena.emtg.jp/pushim/
(スマートフォン/モバイル共通)
【申込受付期間】7/14(月)18:00~7/21(月)18:00
【受付枚数】会員お1人様1枚まで
(※お連れ様がお子様の場合、小学生まで一緒にフリーで入場可能)
【予約受付人数】50名様
【当選発表】7/23(水)
■ライブ情報
サマーキャンプフェスティバルin恐羅漢
2014/07/20(日)広島県 恐羅漢エコロジーキャンプ場
HIGHEST MOUNTAIN 2014
2014/08/09(土)大阪府 舞洲野外特設会場
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。