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シクラメンとドキドキ・夏のドライブ!?「シクラツアー2014~君と僕の夏物語~」

シクラメン | 2014.07.30

 この日の会場は中野サンプラザ。シクラメンの単独ライヴとしては、最大規模のキャパシティとステージの広さを誇る会場だ。
 ツアーのたびに、会場規模を大きくしてきた3人。「シクラツアー2014~君と僕の夏物語~」も、彼らにとっては過去最大規模。全国22カ所にて行われ、中には2Days催されるところもあった。

 以前中野サンプラザでのライヴの意気込みをDEppaに聞いたところ、「中野サンプラザと言うと、山下達郎さんってイメージがあるんです。聞くところによると達郎さんが、ここを好んでライヴをやる理由の一つに、いざライヴ中に電気が停まってアカペラの状態になっても、一番後ろの人にまで声が届く規模の会場だから、というのがあるみたいなんです。僕らもいっそ、アカペラで後ろまで届くか挑戦してみようかな」なんて話を笑いながらしてくれたのだが。その例えからは、彼らが<本気で歌を多くの人に届けたい!!>という強い意志が感じられた。会場の隅々まで、自分の歌に乗せた想いを届けたい。そんな気持ちが溢れ出してくるようであった。実際、彼らの歌は、お客さん一人ひとりの胸へ、その愛溢れる歌の数々をダイレクトに届けることに成功していた。

 このツアーは、彼らが5月に発売した夏のコンセプトアルバム『シクラメンの夏』を引っ提げて行われたもの。この日は、ツアー後半戦への突入ポイントにあたる。

 開演前の場内には、井上陽水の「少年時代」、TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」や、ゆずの「夏色」等、夏を代表する楽曲が流れている。“いよいよ本格的な夏になるんだなぁ…”と聴き浸っていると、まずはオープニングアクトの沖縄在住のボーカルデュオ、TWIN CROSSが登場した。会場を温めるような歌や、場内を一つにする歌でほっこりとした気持ちにさせてくれた。
 そんなTWIN CROSSがステージを降りると、シクラメンではお馴染みのSE、渡辺美里の「My Revolution」が流れ始め、車の張りぼてに乗ったシクラメンの3人がステージに現れる。どうやらその車で我々をドライブに誘ってくれるようだ。ニューアルバムに収録されている「ナツノカゼ」から、この日のライヴはスタート。海岸沿いまで一緒にドライブを楽しむかのような曲だ。歌のシチュエーションに合わせてステージの背景のビジョンも変わり、本当に3人と一緒にドライブをしているような気分になってくる。
 「さぁ、一緒に一つになりましょう」とDEppa。続く「そら」では、青い空がパーッと広がっていくような爽快感が会場いっぱいに溢れていく。肉だんごの歌声が温かさを運び、桃紅茶の歌声が、柔らかさを与えていく。この頭の2曲は情景描写がうまく表現されていた。続いて、“なにもシクラメンの夏の歌は、この『シクラメンの夏』に入っている曲だけではない!! ”と言わんばかりに、アルバム『スルメ3』に収録されている夏ナンバー「夏物語」を歌い出す3人。「みんなで一緒に夏物語を作って行きましょう」とのDEppaからの誘いと共に、シクラメンとお客さんが一緒になって夏物語を育み始める。
 ノリのいい曲が続き、夏ならではのノスタルジックな気分にも浸ることができた。あの日あの頃の自分を思い返し、仲間へと想いを馳せる曲「どんなに どんなに」、今はお互い遠くにいるけど、心の中では常にしっかりと繋がっている、そんな絆が思い起こされる曲「とおく とおく」が、会場に集まった一人ひとりに、大切な思い出や愛しい人の姿を思い浮かばせた。
 そんなセンチメンタルな気分から一新。その後ノリの良いパーティーチューンが続く。一足先に盆踊り気分を満喫させてくれた「ヨイノサー」、「ブンブン」では会場中でタオルが大旋回し、情熱の熱風が場内に吹き荒れた。

 この日は歌だけで思いを伝えていたわけではない。途中、次の曲へのイントロデュースも兼ねた小芝居も交えることで、どんどん楽曲に引き込まれていった。シクラダンサーやシクラキッズも所々で登場。ステージに華やかさと躍動感を添えてくれた。中でも「正義の味方」は、シクレンジャーと称した戦隊もののアクションヒーローも登場。子供からお年寄りまで、幅広く集まったお客さんを演出面でも沸かせた。

 中盤は背中を押されたり、鼓舞されたり、“夢を諦めないぞ!! ”と改めて心に誓わせるナンバーが続いた。ハイライトは、「ファイター」「ブチコメ!!」の闘う男への2連発。高揚感はもちろん、“明日からも頑張ろう!! ”という活力を多いに与えてくれた。反面、ラストに差し掛かると、彼らのもう一つの真骨頂とも言える、<愛しい人へ、想いを伝えたい>、そんな気持ちが溢れるミディアムで感情移入たっぷりのナンバーも歌われた。会いたいけど、今は会うことが出来ない愛しさが会場中に染み渡った「会いたくて、でも会えなくて」、“いつまでも諦めない!!”と心に誓わせ、いつかはその先に幸せが待っていることを信じさせてくれた「100年初恋」や「101」が、みんなの想いを代弁するかのように歌われた。

 アンコールは4曲。1曲を除き(笑)、これからの活力や、楽曲に込められたメッセージに思いを重ねたくなる歌が連発。巨大なミラーボールも回り出し、至福の中歌われた「ミュージックドリーマー」。会場中の電気が点き、ステージも客席も一体となった「Only 愛」では、再びシクラダンサーとシクラキッズもステージや客席に現れ、躍動感あふれるダンスを披露。ステージも客席も関係なく一つの大きな信頼関係を生み出し、この日のライヴは大団円を迎えた。

 最後にDEppaがステージから会場に伝えた「一緒に夢の舞台へと歩いていきましょう」の言葉。多くの人が、この時力強くステージへと“もちろん!!”という気持ちを込めた歓声で返していたのが印象深かった。

【取材・文:池田スカオ和宏】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル シクラメン

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リリース情報

シクラメンの夏(初回限定盤)[CD+DVD]

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2014年05月21日

トイズファクトリー

1.101
2.どんなに どんなに
3.ブチコメ!!
4.そら
5.ナツノカゼ
6.マーメイド
7.ウィーアーワン(Album ver.)
8.kamataッ子4
9.ファイター
10.ミュージックドリーマー
11.B.G.M
12.会いたくて、でも会えなくて
13.マナザシ

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セットリスト

シクラツアー2014~君と僕の夏物語~
2014.7.5@中野サンプラザ

  1. ナツノカゼ
  2. そら
  3. 夏物語
  4. どんなに どんなに
  5. とおく とおく
  6. ヨイノサー
  7. ホイホイホイ
  8. ブンブン
  9. 正義の味方
  10. ファイター
  11. ブチコメ!!
  12. ウィーアーワン
  13. エール
  14. B.G.M
  15. 会いたくて、でも会えなくて
  16. 100年初恋
  17. 101
Encore
  1. kamataッ子4
  2. MUSIC
  3. ミュージックドリーマー
  4. Only 愛

お知らせ

■ライブ情報

MUSIC LIFE’14 in 長崎 supported by メモリード
2014/08/02(土)長崎市稲佐山公園野外ステージ

KAWANE夏祭り@BIG NATURE2014
2014/08/03(日)天王山公園野外ステージ

FILTER88 夏の祭典8×4スペシャル!!
2014/08/08(金)club joule

MTV ZUSHI FES 14 supported by RIVIERA
2014/08/09(土)神奈川県・リビエラ逗子マリーナ特設会場

LOS AMIGOS × MUSIC XPLOSION presents ~浴衣の帯がほどけてますけど、ほどいていいっすか?~
2014/08/16(土)名古屋 ダイアモンドホール

ジュビロ磐田 vs カターレ富山戦
2014/08/17(日)ヤマハスタジアム(磐田)

音霊 OTODAMA SEA STUDIO 2014~砂浜の足音 2014~
2014/08/23(土)音霊 OTODAMA SEA STUDIO

K-mix presents LIVE-est
2014/08/29(金)アクトシティ浜松

SOUND MARINA’14
2014/08/30(土)広島グリーンアリーナ

22nd Sunset Live 2014 -Love&Unity-
2014/09/05(金)芥屋海水浴場・キャンプ場 特設ステージ

NO DRUG、KNOW DRUGキャンペーン2014
2014/09/07(日)天神イムズ B2F イムズプラザ

ふくしまアカリトライブ2014
2014/09/13(土)桜の聖母短期大学

旅祭 2014
2014/09/15(月)東京・晴海客船ターミナル 特設会場

TOS開局45周年記念 SPARK ON LIVE
2014/10/04(土)iichikoグランシアタ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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