いよいよメジャーデビュー決定!? ……ただし条件付き。ということが発表されたがんばれ！Victoryのワンマンライブ。今回はニューシングル「ふらいはい!!!」の“CDリリース直前！大決起集会”としてO-nestで行なわれたが、それはまたしても彼女たちに新たな試練が突き付けられたライブだった。

　背中に「絶対音楽主義」と書かれたバンドTシャツを着た熱心なファンが会場を埋め尽くすと、開演前から客席からは「Victory！Victory！」のコールが湧き上がっていた。そこに登場したメンバーは1曲目「ろっく」からいきなりヘドバンで髪を振り乱す。早くもエンジン全開だった。そのまま、「I Go Everyday」でも4人がステージ狭しを動きまわると、「改めまして、みなさんこんばんは！」と、野球のコンバットマーチにのせて自己紹介のコーナー。さらに「ワンマン試合2回裏のチケットが見事ソールドアウトしましたー！」とSHINOBUがファンへの感謝を伝えた。実はこの日のチケット250枚を売り切れたら、次回のワンマンを憧れのO-Westで行なうという企画が同時に進行していて、それが2日前に達成されたのだ。その後、お客さんに「今日遠くから来た人ー？」と尋ねると、会場からはさっと多くの手があがったが、すかさず「違う！あの人知ってる。嘘はいかんっ（笑）」とAYAKI。来てくれるお客さんの顔も覚えるほど、Victoryは近い距離でコミュニケーションをとっているのだ。

　彼女たちの地元でもある佐賀から来た人もいたことが判明して、「ここからは4曲連続で唐津（佐賀県唐津市）にいた時に作った曲を披露します」（AYAKI）と、泣きのツインギターがかっこいい「虹」へ。「Never Give Up」では楽器を手に持つ3人が左右にステップを踏みながら、激しいプレイを見せつける。しかし、続くロックバラード「HOME」で、AYAKIの喉が悲鳴をあげた。この日は最初から声が相当キツそうだったのだが、さすがにバラードでは高音を上手く歌うことができず、悔しさに涙をこらえ切れない。心配そうな表情のMINAMIが時おり一緒に歌うと、会場からは「がんばれー！」の声が送られた。

　曲が終わり、SHINOBUが「いつもハスキーなAYAKIの声がいつにも増してハスキーなんですよ」と言うと、「大丈夫！AYAKIの声かっこいいけん！」と優しいMINAMI。エールを送ってくれた会場に、「しっかりお礼言っとき」とSHINOBUに促され、AYAKIは「ありがどうございまず……」とガラガラの泣き声でポツリ。会場は温かい声援に包まれた。AYAKIには苦い経験だが、こうしてボーカリストはタフになっていくのだ。

　懐かしい曲が続いたあとは、先日のニコ生でファンに意見をもらいながら作った再新曲を初披露した。オーディエンスのオイ！オイ！のかけ声を受けてキャッチーな歌が跳ねる。そしてタオル回しで盛り上がった「DEAR」のあと、MCを挟むと一転、ドラマチックで哀愁漂うミディアムロック「偽物スマイル」や、MAYUKOのバスドラがリードする「Scarred」といったナンバーが会場の空気を変えた。平均年齢19歳、アイドル的な存在感でありながら、自身のルーツを滲ませた質の高い楽曲、確かな演奏力を持つがんばれ！Victoryのバンドマンとしての芯の強さは、こうした楽曲でこそ発揮されると思う。残り2曲を残して「ぶち上がる曲を用意しています！」と「青春ライフポップ」でお客さんの手拍子と一緒に弾けると、ラストナンバー「KGSD」で元気いっぱいに締めくくった。

　アンコールでメンバーはツアーTシャツにタータンチェックの衣装に替えて登場。5人が一列に並び、RENAが「ふらいはい!!!」のリリースイベントについて告知すると、会場からはサイレンの音が。なんとポニーキャニオンからのメジャーデビューがアナウンスされたのだ！メンバーは信じられない、という表情。AYAKIとSHINOBUは口元に手をあてたまま硬直して、目も潤んでいた。……ただし、「ふらいはい!!!」が発売初週の売り上げ枚数が2,000枚を突破すれば、という条件付きなのでこれは大変だ。そして、「私たちは絶対にメジャーデビューするので、応援お願いします！」とAYAKIが力強く宣言すると、ラストはその運命の曲「ふらいはい!!!」。客席に真っ赤なサイリウムが一斉に光った。そして♪かっとばせー！Victoryのコール＆レスポンスで盛り上がると、笑いあり涙ありの1時間40分のライブは幕を閉じた。

　ちなみにこの原稿を書いている時点で、オフィシャルHPによると「ふらいはい!!!」の予約枚数は累計で1,218枚だ。果たして彼女たちはメジャーデビューできるのか……？　彼女たちの試練は続く。

【取材・文：秦理絵】