2014年も国内外のフェスを盛り上げ、屈指のライブバンドに成長したMAN WITH A MISSION。その彼らが10月の名古屋公演からスタートさせた“PLAY WHAT U WANT TOUR”は、無料ファンサイトで受け付けたリクエストに応えたセットリストで構成される。ちなみにこのツアー、バンド史上、最大規模とのことだが、追加公演の郡山HIP SHOT JAPAN（12月26日）を含む全6ヶ所すべてが即日ソールドアウト。相変わらずの人気ぶりだ。というわけで、ツアー大詰め、バンド史上、最大キャパである さいたまスーパーアリーナ公演（2014年12月20日）のレポートをお届けしよう。

　この日のアリーナはスタンディング！　フロアを埋め尽くした観客に加え、スタンド席も最上部に至るまでビッシリ。さらには、全国33ヶ所でライ ブビューイングも行われ、注目度の高さをうかがわせた。

　注目と言えば、開始直前のオープニング映像にはなんと、日本エレキテル連合が登場。ライブの禁止事項を説明するというまさかのコラボに場内が沸く。客電が落ちると、力強い手拍子に乗ってステージに5人、いや、5匹のオオカミとサポートギターのE.D.Vedderが登場。声援を受けつつ、「Take What U Want」でライブをスタートさせた。フロアは一気にうねり出し、2曲目「WELCOME TO THE NEWWORLD」を終えると、唯一、人間の言葉が話せるオオカミ、ジャン・ケン・ジョニー（G・Vo・Raps）から、意外な告白が……。

「ワタシガ最後ニココニ来タノハ、ドリカムノライブデシタ。マサカ自分ガ立テルトハ思ッテナカッタデス！　皆サンノオカゲデス、アリガトー！」

　この発言に驚かされたあと、「今日ハ、アナタ達ヒトリヒトリト遊ビニヤッテキマシタ。俺ノ言イタイコトハタダヒトツデス！　カカッテコイヤ！」というナイスな煽りから「evils fall」へ。ステージ上はファイヤーボールがバンバン上がる演出で、リアルな熱気が充満する。「DANCE EVERYBODY」では観客がタオルを振り回し、爽快感のある「フォーカスライト」「distance」も続いて、前半からマックスの盛り上がりだ。 トーキョー・タナカ（Vo）も体を揺らしながら 熱唱。小柄なオオカミ、スペア・リブ（Dr）は、アッパーな曲の連続にも慣れた調子でビートを刻 む。中盤は、おなじみのミッション映像の上映タイム。映像明けはダンサブルな「Mash Up the Dj!」でスタート。瞬時に熱気が戻ると、次にMR.BIGのカバー「Green-Tinted Sixties Mind」をプレイ。こういう部分に、純粋なロックファンである彼らの素直な思いが込められている気がした。「NEVER FXXKIN’ MIND THE RULES」からは、グッとテンションがブチ上がり、DJサンタモニカ（DJs・Sampling）はブースを離れ、オーディエンスを煽りまくる。かと思えば、夢を見続けることの大切さを歌った「RAIN OF JULY」では、メロディアスにじんわり聴かせる。アグレッシヴなメニューの中で、ここにポイントをつけるところが心憎い。後半は「ワビ・サビ・ワサビ」や「higher」「Emotions」ときて、最後は超キラーチューンの「FLY AGAIN」！　曲に合わせて両手を左右に振り上げる鉄板の振りを楽しむオーディエンスの楽しそうな表情がたまらない。カミカゼ・ボーイ（B）の歯ギター ならぬ歯ベース（弦に噛みつくパフォーマンス）も飛び出し、大団円で本編は終了した。

　アンコールでは広がりのある新曲のミディアムチューン「Falling」（2月11日発売のニュー・シングル「Seven Deadly Sins」収録曲）を披露。彼らとしては新境地の楽曲で、心地いい選曲だった。大ラスは「DON’T LOSE YOURSELF」。ここでもうひと暴れさせてくれるのはさすが。終わってみれば、楽曲のよさと、彼らのエンターテイナー魂が際だつ公演だった。エンタメ しながらロックする、そしてメッセージも嫌みなく届けられる……いそうでいなかったバンド……それが、MWAMなのかもしれない。2015年は5周年ということで、アニバーサリーライブツアー「5YEARS 5WOLVES 3SHOWS TOUR」の開催も発表。瞬殺ソールドアウト必至の貴重なステージになりそうだ。2015年も、オオカミ達の快進撃はまだまだ続く！

【取材・文：海江敦士】
【撮影：Mikio/Nobuyuki Kobayashi】