キュウソネコカミ、チョコを溶かすほどの異様な熱気!2/14豊洲PITワンマン!
キュウソネコカミ | 2015.02.26
今年1月にリリースしたミニアルバム『ハッピーポンコツランド』を引っさげたキュウソネコカミ全国ツアーの追加公演「DMCC -REAL ONEMAN TOUR EXTRA-Don’t Make ChoColate」が豊洲PITで行われた。見事バレンタインデーに被せて、“チョコを作ったらダメ”とサブタイトルをつけたこの日のライブは、まさにチョコを溶かすほどの異様な熱気。破竹の勢いで爆走するバンドの勢いを裏づける、最強で、最高のライブだった。
開演前。赤い照明が会場を照らし、薄くもやがかかったような会場の期待感はマックスだった。SEにのって、5人が勢いよくステージに飛び出すと、ひしめくフロアの人・人・人に、「ヤバいなー」と漏らしたヤマサキセイヤ(Vo)。「西ノ宮から来ました、キュウソネコカミです!」と、「GALAXY」からライブはスタートした。『ハッピーポンコツランド』のリード曲でもあり、バンドの新機軸となったストレートなロックチューンが何の違和感もなくキュウソの音としてライブの口火を切った。続けて、ヤマサキが湯船につかるように頭にタオルをのせて披露した「OS」は、こんなにカッコいい温泉ソングがあっていいのか!と思わせるスピード感のあるダンスロック。豊洲PITが一気にひとつになっていく。
MCでは「正直、豊洲PITで追加公演って聞いて頭おかしいんちゃうかと思ました」と、バンド史上最大規模(3,100人収容)の会場への想いを持ち前の毒舌口調で語ると、それでも無事売り切れたときにはガッツポーズを見せたという5人のエピソードも。そして、「いろんな人間がいる、この島国ニッポンについて歌った曲です」と繰り出した「JP」からは、再び圧倒的なスピード感で次々と楽曲を披露していく。キュウソの速さの要とも言えるソゴウタイスケ(Dr)のリズムにのせて、ヤマサキがノリノリで振り付けを踊れば、ヨコタシンノスケ(Key)はキーボードを弾く腕を支点にして大ジャンプ。オカザワカズマ(G)とカワクボタクロウ(B)のツートップもステージ際まで出て煽る。メンバー全員がハイテンションでフロアを翻弄していく。そして、奨学金で押し潰れそうになる人のナンバー「貧困ビジネス」では一斉に《国民年金!》と叫んだり、離婚寸前の夫婦を歌う「要するに飽きた」では《永遠の愛を誓いまーす》と叫んだり。とにかくライブでは、キャラの濃いキュウソの曲はさらにパンチが強くなる。
中盤の見せ場は、「夏の思い出はないけど、怖い話が……」と、稲川淳二風に、ジャケットとサングラスをつけたヤマサキが語り出した怪談話からの「Scary song」だった。曲の途中でホラー調になったり、ワルツになったり、ロックになったり、表情を変えるこの曲を、「『ハッピーポンコツランド』のなかで一番やんちゃな曲」と表現したが、この日のパフォーマンスも、かなりやんちゃだった。かつてのダンボールへのダイブから各段に進化した飛び道具。だが、どこまでもおバカで笑える感じがキュウソっぽくて最高だった。
「俺は今日ここにおる3,100人を全員次のステップに連れていきたいんです!“もう今日見たからえぇわ”とか言われたら、マジ泣くわー!」と、2回目のMCでも熱血教師みたいな絶叫を繰り広げるヤマサキ。
「DQNなりたい、40代で死にたい」では、《ヤンキーこわい》を歌いながら、お客さんの頭上をダイブしながら「本当のこと歌って売れてやるー!」と叫んだのがとても印象的だった。
さらに、ピンスポットを浴び、ヤマサキがギターを爪弾いてはじまった、非リア充のうた「何も無い休日」はぐっときた。《わぁーってなって不安定》というリズミカルなメロディはちょっと切なくて、《それでも僕ら息をして 毎日なんとか生きてる》という決めのフレーズがグサッとくる。すごく楽しいのに、泣けてくる、いい歌だ。そして、「ウィーワーインディーズバンド!!」(リリース当時のタイトルは「ウィー“アー”インディーズバンド!!」だった)からの「良いDJ」で怒涛のラストへ。気がつけば、アルバム『ハッピーポンコツランド』の曲のほか、キュウソのライブ定番曲をほぼ全て披露したような最強のセットリストだった。
アンコールでは、ヤマサキがこの曲をキュウソの「アンセムにしていきたい」と語ってから、新曲「ハッピーポンコツ」が披露された。ソゴウが叩くドラムが光り出し、《一生懸命やってるのに何かズレてる》と繰り出した歌詞は、『ハッピーポンコツランド』という作品で打ち出した“ポンコツな生き方を肯定する”最高にハッピーなナンバーだった。
その後は、黄色いビート板に乗ってヤマサキがフロアへとダイブした「お願いシェンロン」から、そのままフロアの真ん中で新曲へ。「キュウソネコカミのブルースを聴いてくれ!」とアカペラで歌い出したその歌は、《僕らはいつか消えるけど 君たちの人生はまだまだ続く~またライブに遊びに来てくれよ》と、ライブ終盤に胸をつくメッセージソングだった。そして、ラストナンバー「ビビった」で熱狂的な盛り上がりのなか、ライブは幕を閉じた。
キュウソネコカミといえば、歌詞が笑えるバンド、ライブが楽しいバンド、熱くてかっこいいバンド、いろいろ形容する言葉はあるけど、そこに“意外と泣けるバンド”という説明も加えてもいい。この日のライブではそんなふうに思う瞬間がたくさんあった。すべての愛すべきポンコツたちと、時には一緒に愚痴りながら、悪態をついて、最後はスッと笑い飛ばしてくれる。それがキュウソネコカミというバンドのやり方なのだ。
【取材・文:秦理絵】
【撮影:Viola Kam (V’z Twinkle Photography)】
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