列伝ツアーファイナル、切磋琢磨し合った4組が未来の音楽シーンに想いを馳せた夜!
スペシャ列伝 | 2015.03.23
日本の音楽シーンを最前線で牽引しているアーティストを輩出し続けていることもあり、若手の登竜門的存在になっている「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR」(以下、列伝ツアー)。8回目となる今回は、THE ORAL CIGARETTES、04 Limited Sazabys、Brian the Sun、HAPPYという音楽性の異なった4組が、今年から香川公演が追加された全国9カ所をサーキット。そのツアーファイナルが3月15日(日)赤坂BLITZにて行なわれた。
まず、オープニングアクトとして、スペースシャワーTV主催のオーディション「DayDreamBeliever」でグランプリを獲得した3ピース・ガールズバンド、あいまいネイビーが登場。心地よい柔らかさがありながら、芯のしっかりとしたギターロックで、満員のフロアを魅了していた。
トップバッターとしてステージに現れたのはHAPPY。京都出身の幼馴染5人組である彼らは、軽やかな「Cation」からライヴをスタート。そこからモータウンなリズムが心地よい「Lucy」など、サイケデリックでアンニュイな雰囲気を持ちつつも、万人に響くポップさを持ったサウンドを立て続けに披露していく。“世界中で行なわれているどのパーティーよりも最高のパーティーにしたい!”と、「Molly’s Lips」ではAlec(Vo./Gt.)がフロアに降りて熱狂を煽り、「R.A.D.I.O.」ではRic(Vo./Syn.)の奏でるシンセサイザーがスペーシーな空間を作り上げて多幸感を引き上げていったのだが、どの曲に関しても、5人全員が心の底から音楽を楽しみながらプレイしているさまが伝わってくる。そんな5人から放たれた音がオーディエンスに伝わり、フロアには、まさにバンド名のごとく、ハッピーな空気が常に満ち満ちていた。
ドライヴ感のあるキレのいいギターロックで飛び出したのは、大阪出身のBrian the Sun。「Sister」に続けて“We are Brian the Sun!”“列、伝、最、高!”と、コール&レスポンスを交え「パワーポップ」へ。耳に残るインパクト抜群なリフでグングンと高揚感をたかめていき、“4つ打ちだけがダンスじゃねぇぞ!”と「早鐘」でオーディエンスを激しく踊らせるなど、実にパワフルなステージを繰り広げた。そんな怒濤の前半戦を終え、後半は曲間にMCを交えつつ、自身の想いをしっかりと伝えながら曲を届けて行く。中でも、ミディアムナンバーの「白い部屋」における森良太(Vo./Gt.)の気迫に満ちた歌声は、オーディエンスの胸を激しく打っていた。そしてラストに“俺達は、みんなひとりひとりにただ何かを残したくてやっているだけ”と「ロックンロールポップギャング」を凄まじい勢いでかき鳴らし、ステージを締め括った。
続いて、4月にメジャーデビューを控えている名古屋発の4ピース・04 Limited Sazabysが登場。メロディックパンク全開な「monolith」で幕を開けると、フロアには激しいモッシュが巻き起こり、クラウドサーファーが続出。そこから2ビートで疾走するファストチューン「Remember」になだれ込んでいったのだが、衝動で突き進んでいくだけでなく「Now here, No where」や「Chicken race」では、メロコアの枠に収まらない多彩なビートで、オーディエンス達を激しく踊り狂わせていた。GEN(Vo./Ba.)がハイトーンで歌い上げるキャッチーなメロディーもかなりの中毒性で、オーディエンス達のシンガロングを何度も巻き起こしていく。また、中盤では“共に旅をした仲間達それぞれの門出を祝うために”と新曲「Terminal」を披露。別れの寂しさを抱えつつも、その先に見える光を骨太なサウンドで高らかに鳴り響かせていた。
大トリを務めたのは、フロム奈良のTHE ORAL CIGARETTES。登場すると、山中拓也(Vo./Gt.)が、“俺らが列伝ツアーを初めて観たのが2012年! あれから……”と、これまで参加したバンドを出演年順に列挙していく。錚々たる名前に会場から声が上がる中、“そして2015年! HAPPY、Brian the sun、04 Limited Sazabys、そして我々THE ORAL CIGARETTESが、この列伝ツアーの歴史を塗り替えにきた! お前ら全員付いてこい!”と、求心力抜群のMCでオーディエンスを瞬く間にひとまとめにし、「mist...」へ。凄まじいテンションでステージをスタートさせると、「Mr.ファントム」では大音量のシンガロングがフロアから沸き起こり、“お前らマジですげえな!”と山内も興奮気味。また、まもなくリリースされる「エイミー」では、“バンドって何年続けられるか分からへんけど、出来るだけお前らの前でしっかりと歌っていたいと思う”という力強い宣言も。ラストには“俺らをここまで連れて来た最高のアンセム”と「起死回生STORY」をドロップ。再びフロアから大合唱を巻き起こした。
全バンドが「寂しい」「終わりたくない」と、ツアーが終わることを名残惜しそうに話していたが、毎年、列伝ツアーには独特な雰囲気がある。それは、参加バンドが固定のままで全国を廻るというパッケージツアーゆえに、親睦が深まりやすいということもあるだろうが、同世代のネクストブレイカー達が集まっていることもあり、お互いがお互いを激しく意識し合い、高め合えるというところもあるだろう。それを物語るように、MCでは各バンドが他の出演者との関係を話し、自分達の出番以外のときはステージを楽しそうに、かつ真剣に見つめていた。
ラストは、列伝ツアー恒例となっている出演者全員登場の一大セッション。“俺達の一生終わらない友情に!(山中)”と高鳴らされた、THE BLUE HEARTSの「終わらない歌」を聴きながら、爆発前夜に切磋琢磨し合った4組が熱く盛り上げる未来の音楽シーンに、想いを馳せた夜だった。
【取材・文:山口哲生】
【撮影:古渓一道】
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セットリスト
スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2015
2015.3.15@赤坂BLITZ
あいまいネイビー(オープニングアクト)
- 夜中の行進
- いないいないばあ
- あまおと
- エコー
- ねじの唄
HAPPY
- Cation
- Lucy
- Wake Up
- Run Run Run
- Molly’s Lips
- R.A.D.I.O.
- To The Next
Brian the Sun
- Sister
- パワーポップ
- 早鐘
- 神曲
- 白い部屋
- ロックンロールポップギャング
04 Limited Sazabys
- monolith
- Remember
- Now here, No where
- Chicken race
- Terminal
- midnight cruising
- hello
- swim
THE ORAL CIGARETTES
- mist...
- Mr.ファントム
- STARGET
- エイミー
- 大魔王参上
- 起死回生STORY
~アンコール~
- N.I.R.A
- 終わらない歌
お知らせ
スペースシャワー列伝15周年記念公演 第126巻 ~光彩陸離(こうさいりくり)の宴~
2015/5/13 (水) shibuya WWW
出演:赤色のグリッター /Mrs.GREEN APPLE / LAMP IN TERREN and more
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。