KANA-BOON、追加公演Zepp Tokyoの模様をライブレポート!
KANA-BOON | 2015.06.04
KANA-BOONにZepp Tokyoは狭すぎるのか? そんなことはない。武道館なら武道館なりの楽しみ方があり、ZeppにはZeppなりの楽しみ方がある。KANA-BOONはそれをよく知っていて、“狭いZepp”ならではのライブを見せてくれた。
場内が完全に暗転になると、ものすごい歓声がステージに降り注ぐ。薄く明りがついて、メンバーの演奏の準備が完了すると、歓声がもう一段階高まった。「タイムアウト」のイントロで谷口鮪が「Zepp!!」と叫ぶと、オーディエンスはスタンバイのサインのように拳を上げる。
小泉貴裕のドラムの調子がいい。安定感がありながら、ぐいぐいドライブする。武道館ではギターの古賀隼斗が成長ぶりを見せつけたが、今日は“こいちゃんの番”なのかもしれない。小泉に負けずに、 「ターミナル」では飯田祐馬がベースをピックで弾いて、太いビートを鳴らす。矢つぎ早に3曲やっつけて、Zeppを制圧したのだった。
「KANA-BOONです。ありがたい話ですよ。昨日、ツアー・ファイナルをやって、今日は追加公演。めでたく満員御礼です。みんな、大丈夫ですか? しんどくなったら“私、ヤバいです”って顔で周りに合図してください。誰かが助けてくれます。もしかすると、それが縁でその人と付き合い始めて、 結婚して、子供が生まれて、家族3人でKANA-BOONを見に来ることになるかもしれない。そして子供が“将来、KANA-BOONになるんだ”って言うかもしれない。我々は2代目KANA-BOONのオーディションをやったりして(笑)。今日は助け合いながら、思いやりながら、最後まで楽しみましょう。よろしく!」と谷口が最初の挨拶をした。いい曲が書けて、いい演奏ができて、なおかつMC=シャベリが面白い。こんなにすべてが揃ったバンドは珍しい。今日はMCにも注目してみるとしよう。
再び演奏が始まる。このシークエンスは「生きてゆく」が抜群によかった。その原動力は小泉のドラムにあったように思う。このミディアム・テンポのロックナンバーは、素直なメッセージを届けるために書かれた。その意図を汲んだこいちゃんのドラムは、鮪の歌を真後ろからしっかりサポートしていて感動を呼んだ。
再び、MCタイム。飯田がいきなり切り出した。「もう、こういう(面白い)MC、やめようかと思って。もっとカッコよくてもいいんじゃないかと。俺たちのMCって、バンドマンじゃないなと思う。まず、カッコから入ってみるね。ここが夏フェスだとしよう」と、ちょっと斜めに構える。「・・・オレは言いたい。・・・今日は集まってくれて、本当にありがとう・・・」。場内から爆笑が起こる。どのバンドの真似なのかは分からないが、深刻ぶったMCのパロディだ。飯田の挑発に谷口が応じる。「ほ、ほんとに、マジでありがとな」。結局、自分たちが笑い出してしまって、“カッコいいMC”は実現しなかった。
この光景を見ていて、「このバンドは、とことん音楽で勝負したいのだな」と思った。彼らのMCは、“素のKANA-BOON”を見せる場所なのだ。彼らが練習スタジオで、「マジ、ありがとな」なんて言っているわけはない。終始、くだらない話で盛り上がっているはずだ。それは「言いたいことは歌で言い切っている」という自負があるからだ。だから、それ以上のメッセージをMCですることを潔しとしないのだろう。 たまにはシリアスなMCをすることがあるかもしれないが、それは例外。メッセージを歌に込めているからこそ、それを歌っている4人の“素の顔”をMCで感じ取ってほしいのだ。一瞬のMCではあったが、僕はそんなKANA-BOONの基本姿勢に触れることができて、嬉しかった。
センチメンタルな「スコールスコール」の歌詞を噛みしめていると、次のMCタイムが始まった。古賀のグルメ・レポートだ。スカイツリーの名物飲料を飲んでみせる。「スコールスコール」とはまるで反対の世界に引っ張りこまれて、笑うしかなかった。それがかえって爽快だった。 真っ直ぐなメッセージを詰め込んだ「ないものねだり」の出来も素晴らしかった。
「疲れたでしょ? 俺らも疲れてる。でも、負けるわけにはいかない。もっと疲れさせる!」と、最終盤の怒涛の盛り上がりは「盛者必衰の理、お断り」からスタート。谷口の言うように、そろそろ疲れてきている頃なのに、メンバーの演奏のアンサンブルはさらに緻密になって、Zeppの 空間を音で埋め尽くす。そのままアンコールまで、KANA-BOONは一気に駆け抜けたのだった。
終演後の挨拶で、飯田は「今年出したアルバム『TIME』の曲が、このツアーで育っているのが嬉しかった」と語り、谷口は「今、新しい曲がたくさんできてます。スケジュールはむちゃくちゃ忙しいですが、バンドは幸せな状態にいます」と言った。真面目なシャベリもできるのだ(笑)。そんなKANA-BOONが、2015年 の後半に何をやってくれるのか、大いに期待したい。
【取材・文:平山雄一】
【撮影:高田梓】
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http://sp.kanaboon.jp/
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リリース情報
セットリスト
KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~全国とぅるとぅる編~
2015.5.22@Zepp Tokyo
- タイムアウト
- LOL
- ウォーリーヒーロー
- 結晶星
- ワカラズヤ
- バカ
- ロックンロールスター
- クラクション
- ウォーリーヒーロー
- ないものねだり
- 1.2. step to you
- 盛者必衰の理、お断り
- 生きてゆく
- スコールスコール
- 愛にまみれて
- スノーグローブ
- シルエット
- なんでもねだり
- フルドライブ
お知らせ
JOIN ALIVE 2015
2015/07/19(日)北海道 いわみざわ公園
NUMBER SHOT 2015
2015/07/26(日)福岡県 海の中道海浜公園 野外劇場
ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015
2015/08/08(土)国営ひたち海浜公園
RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015 in EZO
2015/08/14(金)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
TREASURE05X 2015
2015/09/06(日)愛知県 蒲郡ラグーナビーチ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。