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MY FIRST STORY vs ANOTHER STORY、全国を駆け抜けたデスマッチツアー!

MY FIRST STORY | 2015.06.09

 群雄割拠のラウド、エモ、オルタナ・シーンに於いて、今年(2015年)1月には自身最大のキャパとなった新木場STUDIO CORSTで3rdアルバム『虚言NEUROSE』のツアー・ファイナルを行うまでに成長したMY FIRST STORY。今回の2マンツアー中である5月27日にはそのライブDVDもリリースされたばかりだ。この日はレーベルメイト(というか、ガチなライバル?)のANOTHER STORYと全国を駆け抜けてきた「INTACT TOUR」本州ファイナル。会場である渋谷TSUTAYA O-EASTには両バンドの真剣勝負を待ち受けるファンの興奮が横溢していた。

 先手を切ったANOTHER STORYの、時にデスメタルか?というほどの音圧。中盤、フロアに降りた際、転倒し後頭部を強打し、その後のライブを満身創痍で続けたボーカルKeiGoにとっては不完全燃焼感が残ったかもしれないが、彼らがいかにお互いしのぎを削ってツアーを回ってきたのかが一目瞭然のデスマッチだった。

 暗幕の向こうで転換が行われ、否応なしに期待が高まるフロアに、マイファスの『虚言NEUROSE』のオープニング同様、「monologue」のSEが流れだすと、その場にいるほぼ全員の手がこれでもかというほどステージに向けて伸ばされる。アナストの渾身のアクトにマイファスのメンバーも血が滾った面構えで、そのまま巨大なシンガロングとともに「虚言NEUROSE」へ。スクリームからウィスパーまで自在に声を操るHiroは「こんなんでいいいのか?渋谷!」と煽り倒す。立て続けに代表曲「The Story Is My Life」「最終回STORY」と連投。その熱量と攻防するようにクラウドサーファー、あちこちで起こるモッシュ、集団でのヘドバンと、思い思いにファンも感情を吐き出している。

 中盤には新作の中でもラップ/ヒップホップ要素の強い「Black Rail」を披露し、シュアなリズム隊が生み出すグル?ヴのブッとさにもバンドの進化を明確にしていた。しかもファンはラップパートまでシンガロング!孤独を主題にしたリリックが多いHiroの歌が共有されていることを目の当たりにする場面だ。 単に大声で共に歌いたい気持ちもあるだろう。だが、それ以上にマイファスの歌はここにいるファンにとって自分ゴトなのだ。続く「Zero Gravity」はヘヴィなビートからEDM的な四つ打ちに変化していく構成もスリリングで、ビートを繰り出しながら自身もそれを乗りこなしていくメンバーのタフさも証明した。フロントの4人はHiro以外のメンバーも激しいアクション、ステージの前っ面ギリギリまで出てのプレイと、全員がフロントマンのような存在感を放ち始め、バンドの自由度が挙がっていることを感じさせてくれた。また、リズム隊のしなるムチのようなビート感が強烈だった新曲も披露。早く音源で聴いてみたい強かさに満ちた1曲だった。

 何度も「こんなもんじゃねぇだろ?」とフロアを扇動していたHiroフロアに向かって、今日はじめてアナストを見たヤツ、マイファスを見たヤツと投げかけると、初見のファンは既に少ない。「前、このツアーやった時は初めて見るヤツが多くて。やれネットでマイファスのライブは客のマナーが悪いとか書かれたけど、ルールなんて自分たちで作っていけばいいと思ってるから。この空間を次の世代に渡して行かないか?」と問うと大きく賛同のリアクション。そして「1+1は2じゃなくてこれから作っていこうぜ!」と後半戦に突入。「友達のために作った曲を歌います。誰も何も信じられず辿り着いたのが音楽でした。だからみんなも腹から声出してくれよ!」と、夭折したPay money To my PainのKに捧げた「Someday」を慈しむように歌う。さらにボーカルに感情と抑揚が強化され、終盤になってさらに声が出てきた感じだ。本編ラストの「不可逆リプレイス」のAメロで起きる特大シンガロングがこの曲への親和性の高さを物語る。<もう理由なんか無くていいの!>というフレーズはここで感情を爆発させる全員の想いでもあり、ラストの<Starting Now!>は、叫びとなって天井を撃ち抜いたようだった。ここまで本編ほぼノンストップで12曲。自由に動きまくるフロント4人と、シーケンスもコントロールしてバンドの司令塔的な役割を担うドラムとの対照が、グッとタフさを増した印象を持った。

 それにしても即アンコールの拍手も声も上がらないほど、フロアが全力を出し切っているのもなかなか珍しい光景。ほどなくアンコールを求める声が上がり、メンバーが再登場したのだが、マイファスのライブは圧倒的にステージとフロアがイーブンな関係にあるのも魅力だ。そしてアンコール1曲目でHiroは「メンバー5人しか知らない曲をやってやる!」と、アナストの「Underworld」と自身の「Second Limit」をマッシュアップしたナンバーをプレイ。なんでもどうしてもこの2マンで演奏したくて、ツアー中に急遽リハに入ったのだという。ツインギターのユニゾンや徐々にドラマティックに展開する構成など、この日しか聴けないサプライズに、彼らのアレンジ力も実感。そしてこの日のラストはエモ全開な初期曲「Take it Back!!」を会場全体で歌い上げ。終演した。

 勢いに加えて作品性で勝負をかけて来た最近のマイファス。今夏、さらに狭いカテゴライズを越えてどこまでロックファンにリーチするのか、見続けていきたい。

【取材・文:石角友香】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル MY FIRST STORY

リリース情報

ALONE

ALONE

2015年08月05日

INTACT RECORDS

[CD]
1. ALONE
2. 失踪FLAME
3. 21 Miles

[DVD]
「ALONE」MUSIC VIDEO+MV MAKING SHOOT

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お知らせ

■ライブ情報

WE ARE NOT ALONE TOUR 2015
2015/08/28(金)神奈川県 川崎CLUB CITTA’
2015/09/05(土)香川県 高松オリーブホール
2015/09/06(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
2015/09/10(木)石川県 金沢EIGHT HALL
2015/09/12(土)宮城県 仙台Rensa
2015/09/13(日)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
2015/09/18(金)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2015/09/19(土)福岡県 DRUM LOGOS
2015/09/22(火・祝)愛知県 Zepp Nagoya
2015/09/23(水・祝)大阪府 Zepp Namba
2015/09/26(土)東京都 Zepp Tokyo

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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