coldrainは10月21日に４thアルバム『VENA』（ヴィーナと読む）を発表する。自身の作品が発表されるタイミングには、９月28日から始まるUK産メタルバンド・BULLET FOR MY VALENTINEの最新作『VENOM』（カッコイイです！）のヨーロピアン・ツアーのサポートとして、約3カ月に渡る世界ツアー真っ只中という状況だ。

　今日はファン投票の選曲による「SETLIST ELECTION LIVE 2015」という題目でライヴを行う。これは初の試みである。なぜ今このタイミングで自身の歴史を包括しながら、ファン目線でバンドを見返すライヴをやるのか。昨年、イギリスのマネジメントRAW POWER MANAGEMENT、アメリカのレーベルHopeless Recordsと契約を交わし、海外フェス＆ツアーの武者修行も経験した。メンバーは海外でライヴをやってる実感が沸いてきたと零していた。今回の企画ライヴはずっと応援してくれる日本のファンに対する感謝の気持ちと、未来を切り拓くためにバンドの過去に再び光を当てる必要性を感じたのではないか。

　18時11分、スクリーンにデビューシングル「Fiction」発表年の08年からのアーティスト写真が流れ、映画仕立てのようなオープニングを経て、本編開始。Masato（Vo）が豪快なスクリームを決め、心臓が高ぶるKatsuma（Dr）の凄まじいビートが鼓膜に飛び込むと、「Final Destination」で幕を開ける。いきなりサビで観客を一つに束ねる大合唱を響き、観客の熱気は既に出来上がっていた。

　「相当久しぶりだね、この曲は」と前置きした後、2ndアルバム『THE ENEMY INSIDE』収録の「New Fate」をプレイ。直球のヘヴィロックだが、起伏豊かなキャッチー＆ドラマティックな曲展開で引き込んでいく。それからMasatoのお約束の決めゼリフがここで飛び出す。「ラウンドロックは好きですか？」と言うと、キラー曲「No Eacape」を放つ。観客の騒ぎっぷりは２階席まで振動が伝わるほどで、序盤からとんでもない盛り上がりを記録する。

　静かなギター・アルペジオに柔らかな声音を乗せたイントロを配した「Never Look Away」も強力だ。途中でリズム・チェンジする流れは、思わず拳を握りしめたくなるかっこ良さ。また赤、青、白とカラフルな照明でショウアップしたステージにも耳目を奪われた。「この企画をやって良かった、毎年できる限りやりたい」とMasatoはライヴ前半戦で、やり応えをヒシヒシと感じるようなMCを挟む。この言葉に会場も沸き上がる一方だ。

　中盤には新曲「Words Of The Youth」を披露。まだファンには耳慣れない曲にも関わらず、シンプルなリフとグルーヴの破壊力が凄まじく、フロアに複数のサークル・ピットを作り出す。そう、最新作は自身のルーツ＝ニューメタルに傾斜した作風になっている。今の経験と技術を持って、当時の衝撃や情熱に新たな息吹を注入している。coldrainの内面で脈打つ血を楽曲に封じ込められているのだから、盛り上がらないわけがない。その熱気をさらに増幅させる「24-7」、「Die Tomorrow」の流れは圧巻だった。続けて「みんなのために歌う」とMasatoが珍しく念を押し、普段は聴けないレア曲「Miss You」、スケール感のある王道ロック「８AM」、ラテン調のフレーズを用いた「Survive」をプレイ。この辺の初期曲からは何にも縛られない自由な風を感じ、改めていい曲を書き続けているバンドだなと再認識した。

　後半戦はcoldrainの鉄板ソングを畳み掛け、またゲストに盟友SiMのMAH（Vo）を呼んで「The Maze」で共演も果たす。Masatoの歌メロとMAHの野獣声の対比もインパクト大で、最後に顔を突き合わせてシャウト合戦を繰り広げる光景に会場も大フィーバー！ 　アンコールはもう一つの新曲「Gone」を披露し、ラストはヘヴィネスを極めた「The Revelation」でビシッと締め括った。約２時間に及び、骨の髄までcoldrainの魅力を味わい尽くすことができた。大満足だ。これから世界に飛び立ち、年明け１月には「VENA JAPAN TOUR 2016」が待っている。また一回りも二回りも逞しくなった彼らのサウンドを、この目と体で確認したい。

【取材・文：荒金良介】
【撮影：JulenPhoto】