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『ROCKIN’ON JAPAN』の新世代先取りプロジェクト、「JAPAN’S NEXT Vol.13」完全レポート!

JAPAN’S NEXT | 2016.06.16

 新しい世代のアーティストをサポートし、オーディエンスとともに新しいシーンを作っていくROCKIN’ON JAPANのライブイベント、「JAPAN’S NEXT」の13回目が恵比寿リキッドルームで行われた。お目当てのバンドを見に来る人だけでなく、新しいロックとの出会いを楽しみにやってくるイベント自体のファンも増えているようで、この日もチケットはSOLD OUTとなっていた。

 トップバッターは、全員1996年生まれという4人組、Shout it Out。大歓声に応えながらステージに登場したメンバーは、まずドラムセットの周りに集まって円陣を組んだ。静かに気合いを入れた次の瞬間、4人はそれぞれのエネルギーを爆発させるような勢いで1曲目の「光の唄」へ突入。真っ直ぐにオーディエンスの元へ投げかけられるVo.&Gt.山内彰馬の言葉、そのひとつひとつがものすごいアツさだ。派手な動きこそないが、抜群のスピード感とエモーショナルな表情を表現する露口仁也のギター、フロアを終始盛り上げながらグイグイと引っ張っていくたいたいのベース、体そのものから音を叩き出しているかのような細川千弘のドラム。前半は4人の音がそれぞれの存在感を放ちながらオーディエンスの元へ向かっていたが、彼らのメジャーデビュー曲となる「青春のすべて」から後半に向かう流れでは、勢いとともにバンドとしての大きなうねりが生まれていく。「間違いなく、紛れもなく、次に来るのは俺たちだ」、「自分の思いを、自分の声で伝えるということ」。短いながらも覚悟と意志を持った山内のMC。颯爽とした青さほとばしる彼らのパフォーマンスが、この先どう成長していくのかが楽しみになった。

 J-POPというフィールドに立ち、芯のあるロックバンドとしての音を高らかに鳴らしているGoodbye holiday。デビュー曲「革命アカツキ」、ドラマ主題歌としても話題となった「溢れるもの」というキャッチーなナンバーを連打し、「歌」の力を共有しながらオーディエンスとがっちり繋がる。MCではBa.の福山匠がこのバンドのプロフィールをトークしたのだが、「まだ早いと言われながらメジャーデビュー」、「売り上げが伸び悩んでいる」、「超低空飛行している」などネガティブな要素満載だったにもかかわらず、結果的には、彼らの愛すべきキャラと音楽に向き合う誠心誠意な姿勢が最高の形で伝わるというミラクルを起こした(笑)。ライブ感抜群の「deco」、「サイダー」ではフロアがひとつになっての盛り上がり。Vo.&Gt.児玉一真も思わず「…楽しい!!」と心からの声をこぼし、「もっともっと大きいステージに、みんなと一緒に、この4人と一緒に行きたいと思いました。死ぬまで音楽をやり続けたい、歌い続けたいと思いました。そういう風に思わせてくれて本当にありがとう」と言葉を続けた。ラストは「スプートニク2号」。メンバーとオーディエンスの双方が作り上げた、あたたかい距離感のコーラスがいつまでも美しく続いていた。

 「頭から盛り上がる曲をやりたいと思ってるんですけど、みなさん、調子はどうですか!?」というVo.&Gt.松本大の呼びかけからスタートしたLAMP IN TERREN。「JAPAN’S NEXT、行こうぜ!」と勢いよく始まったのは「ワンダーランド」だ。振り落とされそうな疾走感で突っ走りながらも、松本の「歌」はきちんとライブハウスの真ん中にあって、オーディエンスのすぐ側で響いているよう。力強いビートと言葉が大きな力で前進していくような「林檎の理」では、エモーショナルなバンドサウンドがどんどん熱を帯びていった。映画「亜人-衝突-」のオープニングテーマとして書き下ろされた「innocence」から7分にも及ぶ「緑閃光」への流れでは、ギターもベースもドラムも、ひとつひとつの楽器が心からの叫びを歌っているかのよう。「自分にとって音楽ってなんだったんだろうと考えながら書いていたら、奇しくもバンドの曲になり、皆さんの曲にもなり得るんじゃないかと思った。皆さんにとっての音楽が、魔法のように明日も明後日も力になれば」(松本)という言葉に続けて最後に披露されたのは「キャラバン」。大きな声で歌を歌う、それがどれだけ力を与えてくれるのかを教えてくれた1曲だった。

 4番手は、金沢でのイベント出演を終えて駆けつけたドラマチックアラスカ。この日は骨折のため療養中のBa.マルオカ ケンジに代わって竹村一来、サポートギターとして澤柳昌孝が参加。疾走感と切ないメロディーがクロスする「無理無理無理」、拍子木が幕開けを告げる「ニホンノカブキ」と、頭から個性全開のナンバーでフロアを盛り上げていった。3曲目ではガラリと空気を変え、京都を舞台にしたラブソング「河原町駅」をじっくりと。Vo.&Gt.ヒジカタ ナオトの歌声は、言葉で描かれるもの以上の景色を運んでくるようだ。MCではこのイベントへの出演が2年連続ということに触れ、「呼んでいただけるのはありがたいけど、複雑な気分(笑)。後輩も出てくるわけで、ここに居座ってちゃいけない。今日は「JAPAN’S NEXT」を卒業しに来ました!」とヒジカタ。「ろっくでなしに愛を鳴らせ!」のコール&レスポンスが繰り返された「人間ロック」から「新しい世界を切り拓きたい」と叫んだ「世界の始まり」では、次なるステージへと猛烈な勢いで向かっていこうとする4人の熱が渦巻いていた。

 「歌」をテーマに行われてきた今回のイベント。トリを務めたsumikaの1曲目は、アカペラから始まる「ソーダ」だ。「一等賞獲りに来ました!」とVo.&Gt.の片岡健太の宣言からバンドインすると、オーディエンスの体が楽しそうに揺れ始める。片岡は「昨年声が出なくなって休養したけど、この歌があったから今はsumika第2章として楽しくやれてる。歌は歌われるために生まれてきたと思うから、大きな声で一緒に歌いたいです」と語りかけ、新曲「Lovers」へ。音楽に向き合う喜びと愛が溢れまくったメロディーだ。また、子どもの頃、ハイスタが表紙だった99年のROCKIN’ON JAPANを部屋に飾っていたことから「その時の自分にタイムスリップさせてくれる魔法」について語り始め、「今日はただの週末の土曜日かもしれないけど、今日をきっかけに何か変わったなと思うような日になっていないと、僕は気が済みません」と片岡。全員参加の大合唱となった「「伝言歌」」で本編を終え、アンコールに応えての「雨天決行」へ。歌の力、音楽の力、そしてひとりひとりの人間の力を信じる強い気持ちに包まれる、清々しいエンディングだった。

【取材・文:山田邦子】

tag一覧 Shout it Out LAMP IN TERREN Goodbye holiday ドラマチックアラスカ sumika ライブ

お知らせ

■ライブ情報

Shout it Out ワンマンライブ
2016/07/05(火) 堺Tick-Tuck
2016/07/10(日) 渋谷チェルシーホテル



Goodbye holiday
さよならホリデー 〜いえーい!リリースパーティ編〜

2016/08/11(木) 下北沢CLUB251



LAMP IN TEREEN ワンマンライブ2016
"GREEN CARAVAN TOUR"

2016/06/18(土) 札幌COLONY
2016/06/26(日) 仙台LIVE HOUSE enn 3rd
2016/07/02(土) 広島Cave-Be
2016/07/03(日) 福岡Queblick
2016/07/09(土) 梅田CLUB QUATTRO
2016/07/10(日) 名古屋CLUB QUATTRO
2016/10/15(土) 恵比寿LIQUIDROOM
2016/10/23(日) 長崎DRUM Be-7



ドラマチックアラスカ
アラスカナイズワンマンツアー2016

〜摘みたてベリーおすそわけツアー〜
2016/06/18(土) 札幌DUCE
2016/06/25(土) 広島SECOND CRUTCH
2016/07/09(土) 高松DIME
2016/07/10(日) 福岡CB
2016/07/16(土) 名古屋BOTTOMLINE
2016/07/18(月祝) 金沢vanvanV4



sumika
Oneman Live Tour -Answer-

2016/06/17(金) 東京 赤坂 BLITZ
2016/06/29(水) 愛知 名古屋 CLUB QUATTRO
2016/07/01(金) 大阪 梅田CLUB QUATTRO

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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