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SUPER BEAVER、『歓声前夜』リリースツアー豊洲PIT最終日をレポート!

SUPER BEAVER | 2018.10.29

 SUPER BEAVERの成長速度が凄まじい。決して到達点でもなければ、終着点にもしたくなかったという初の日本武道館が行われたのは今年4月30日。もちろんその武道館公演は素晴しかったけれど、彼らが「ゴール感」を見せたくない理由が、今回のライブでちゃんと理解できたし、それを証明するパフォーマンスをやっていた。有言実行。改めて末恐ろしいバンドだ。

 彼らは今年6月に6thアルバム『歓声前夜』を発表し、それに伴う初の全国ツアー『「歓声前夜」Release Tour 2018~初めての、ラクダ運転~』の豊洲PIT2デイズの最終日を目撃してきた。満杯の観客で埋め尽くされた場内はオールスタンディング形式で、SUPER BEAVERの登場を今か今かと待ち受けている。ライブが始まる前から、ステージ方向をずっと凝視している人たちがとても多い。その雰囲気は、久々に会う恋人との再会を待ち侘びているような濃密な空気さえも感じた。渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原"30才"広明(Dr)のメンバー4人が姿を見せると、『歓声前夜』の冒頭を飾る「ふがいない夜こそ」でスタート。一見ネガティヴな曲名と思われかもしれないが、そうではない。ド頭の歌詞から《不甲斐ない夜こそ本当は出口だ》と結論を潔く叩き付けてくる。不運のときこそ、前をキッ! と向き、自分を向上させるチャンスなのだと堂々と歌い上げる。まるで彼らの生き様を凝縮したような歌詞を、ポジティヴなサウンドに乗せて解き放つ。曲中にも「不甲斐ないと思ったとき、相手のことが浮かんでやらなくちゃって、その日々の連続・・・」と渋谷は歌詞にはない言葉を述べていた。自分の周りには相手=あなたがいる。だからこそ、逆境でも踏ん張れるし、あなたの期待にも応えたいから、力が沸き上がってくるんだ。そう言ってるようにも聴こえた。いつの間にか、会場には耳をつんざくハンドクラップが盛大に鳴り響く。何だ、この凄まじい祝祭感は。この曲だけではない。それ以降の楽曲においてもハンドクラップは終始鳴り止まない状態だ。

 人は相手に対して共感、感謝、支持の気持ちを表すときに拍手を送る。赤ちゃんは高い声で話しかけられた方が、微笑む頻度が高くなるそうだ。パチパチ!という高音の拍手はまさにバンドに対する親愛の発露である。ライブが進むにつれて、バンドと観客がキャッチボールを激しく繰り広げ、その多幸感が雪ダルマ式に膨らむムードは絶景以外の何者でもなかった。武道館の上を行く熱気が、確かにここには渦巻いていた。

 「14年目にして初めてのワンマン・ツアー・・・俺たちは120点出すから、フロアにいるあなたに期待してるんだ!」と渋谷が言うと、「ラブソング」を披露。「真ん中、後ろも俺らの愛が届いてますか?」と熱烈に語りかけ、会場の四隅に血の通った歌と演奏を丁寧に届いていく。その後も「間違えた」など飛び抜けてポップなナンバーを繰り出し、始まった瞬間に観客を歌わせて踊らせていた。この日は当然『歓声前夜』の楽曲を中心に据えたセットリストになっていたが、どの曲もライブ映えっぷりが半端じゃない。歌詞と演奏の両面で無駄を極力削ぎ落としたシンプルさが、現場で最大限に効果を発揮していた。より歌いやすく、さらにノリやすくなった曲調が、多くの観客から笑顔を引き出している。今のSUPER BEAVERは自分たちの思いをきちんと精査した上で、聴き手に届けている。ゆえにその表現は必然的に研ぎ澄まされていくことになる。ストレートな歌詞のパワーは以前から彼らの魅力ではあったけど、そこにタイトで隙のない演奏がプラスされたことで、バンドのメッセージはより肉体性を帯びて、こちらの脳と体を容赦なく揺さぶってくる。そう、何より格段と逞しくなったバンド感に圧倒されるばかりだった。

 そして中盤に「自分たちの歌で救われた。それをあなたのために」と前置きすると、約10年前にリリースし、『歓声前夜』で再録したメジャー時代の名曲「シアワセ」もプレイ。歌心を前面に押し出した曲調も素晴しく、多くの人たちが聴き入っていた。後半に入ると、「正攻法」、「東京流星群」などファンに馴染みの深い名曲を放ち、場内に収まり切れない大歓声と大合唱が轟く。ステージとフロアの熱が循環し、上へ、高みへと登り詰めていく様に背筋がゾクゾクするほど興奮した。最後の1曲が終わるまで、「最高」を更新し続ける無尽蔵のエネルギーが充満していたのだ。

 『歓声前夜』はこのメンバー4人じゃできなかった。これからも俺たちと音楽を作りましょう、と渋谷はライブ中に言っていた。今日のライブを観ると、バンドとあなたで支え、高め合い、築き上げた濃密なショウになっていた。  このライブの後も台風のために延期を余儀なくされた大阪公演を12月に控えているし、また、来年3月からはホール&ライブハウス・ツアー「都会のラクダ"ホール&ライブハウスTOUR 2019"~立ちと座りと、ラクダ放題~」を開催することも告知された。汗だくのライブハウスはもちろん、初のホール形式の大バコにも果敢に挑戦する彼ら。渋谷は「いろんな環境で音を届けたい」と説明していたが、これからますます自分たちの表現手法に磨きをかけ、前進し続けるに違いない。SUPER BEAVERの終わりなき旅=あなたに出会う旅に、きっと終着点はないのだろう。

【取材・文:荒金良介】

tag一覧 ライブ 男性ボーカル SUPER BEAVER

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リリース情報

SUPER BEAVER「予感」

SUPER BEAVER「予感」

2018年11月21日

[NOiD] / murffin discs

1.予感
2.まごころ
 

お知らせ

■ライブ情報

【ツアー延期公演】
SUPER BEAVER『歓声前夜』Release Tour 2018 ~初めての、ラクダ運転~

2018/12/5(水) [大阪]Zepp OSAKA Bayside



『SUPER BEAVER ″友の会″ FCツアー2018 ~ラクダ親睦会スペシャルライブ~』
2018/10/30(火)[福岡]BEAT STATION
2018/11/15(木)[広島]広島CLUB QUATTRO
2018/11/21(水)[愛知]名古屋CLUB QUATTRO
2018/11/26(月)[宮城]仙台Rensa
2018/12/03(月)[大阪]梅田CLUB QUATTRO
2018/12/10(月)[東京]渋谷CLUB QUATTRO



『都会のラクダ ″ホール&ライブハウス″ TOUR 2019~立ちと座りと、ラクダ放題~』
2019/03/05(火) [愛知]Zepp NAGOYA
2019/03/07(木) [大阪]Zepp OSAKA Bayside
2019/03/13(水) [東京]Zepp TOKYO
2019/03/29(金) [東京]中野サンプラザ
2019/03/30(土) [東京]中野サンプラザ
2019/04/17(水) [愛知]日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2019/04/18(木) [大阪]オリックス劇場
2019/05/17(金) [広島]BLUE LIVE 広島
2019/05/19(日) [広島]広島上野学園ホール
2019/05/23(木) [新潟]新潟LOTS
2019/05/25(土) [新潟]新潟県民会館 大ホール
2019/06/07(金) [宮城]仙台GIGS
2019/06/09(日) [宮城]東京エレクトロンホール宮城
2019/06/14(金) [北海道]札幌 PENNY LANE24
2019/06/16(日) [北海道]札幌市教育文化会館大ホール
2019/09/19(木) [高松]高松 festhalle
2019/09/21(土) [高松]サンポートホール高松 大ホール
2019/09/23(月/祝) [愛知]名古屋国際会議場 センチュリーホール
2019/09/25(水) [愛知]Zepp NAGOYA
2019/10/10(木) [福岡]福岡DRUM LOGOS
2019/10/13(日) [福岡]福岡サンパレス



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2018/12/22(土)、23(日) 京都パルスプラザ

MERRY ROCK PARADE 2018
2018/12/22(土)、23(日)、24(月・祝) ポートメッセなごや1号館~3号館

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY
2018/12/27(木)、28(金) インテックス大阪

COUNTDOWN JAPAN 18/19
2018年/12/28(金)、29(土)、30(日)、31(月)
幕張メッセ国際展示場1~11ホール、イベントホール

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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