浦島坂田船に完全に虜になった――「SUMMER TOUR 2019 ~浦島theカジノ船 俺たち愛$、今夜お前とBETイン~」ファイナル
浦島坂田船 | 2019.10.17
うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人からなるユニット・浦島坂田船。6周年に突入した彼らが6月26日にリリースしたニューアルバム『$HUFFLE』は、7月8日付オリコン週間アルバムランキングで2位を記録。今回お届けするのは、7月13日より20公演にわたった全国ツアー「浦島坂田船 SUMMER TOUR 2019 ~浦島theカジノ船 俺たち愛$、今夜お前とBETイン~」のファイナルとなった、10月6日の幕張メッセ公演の模様。
どの席からでもメンバーの姿を観ることができる360°のステージと、その真上に同じく360°のスクリーンが設置された会場。随所に入る影ナレがライブを進行し、中盤には、「浦島坂田船 夏のババ抜き対決」のVTRが流れるという、エンターテインメント性に溢れた仕掛け。4人は、ダンサーを交えたダンスパフォーマンスで、ステージに一層の花を添えていた。
「ようこそ、カジノシャッフルへ。今宵ここに集まったcrew達を歓迎しよう」「このカジノには四天王と恐れられる男たちが居る。絶対に勝負は挑まない方がいい。なぜならそう。彼らの虜になってしまうから――」
360°ステージを囲むようにして炎が上がるとともに、始まったのは「ポーカーフェイク」。すでにその中には、各自のイメージカラーの衣装を着た4人が立っていた。スクリーンの真下からミラーボールが顔を覗かせると、カジノを彷彿とさせるような豪勢なステージへと化す。紫の照明を受けて次の楽曲「ポワゾンKISS」へと切り出した。
「覚悟は決まりましたか? 私はこのカジノの支配人」「それでは彼らのギャンブル、とくと拝見させていただくとしましょう」
「フィクサー」へ突入し、ステージから伸びた十字の花道へそれぞれ歩みを進めたメンバー。中央に戻り、手に持った“沈め”“落とせ”と書かれたカンペをcrewに向ければ、その文字が確かな声となって飛び散る。魅惑的な「Peacock Epoch」へなだれ込むと、合間のセリフ一言一言に上がるcrewの甲高い声。彼らの虜になる、とはまさにこのこと。
真っ先に飛び出したのは、志麻による「CRAZY BUNNY!!」。ステージに躍り出たバンドメンバーに肩を預けては、会場にジャンプを煽った。センラを呼び込み、タフな歌声を響かせた「決戦前夜」の後は、センラのソロ曲「Freja」へ。ダンサー3人を従えた息の合ったダンスに、会場は息を飲む。匂い立つような美しさを残したパフォーマンスから、〈やっぱり笑ってほしいんだ〉と笑顔に導いたのは、坂田によるステッキを使ったダンスがポップな「未完成ユートピア」。そして「Trip-Trap,Love Trap!!」を歌い上げる、うらた&坂田の密着感には熱っぽさが生まれた。続いて、「皆さんの素敵な笑顔見せてください!」とソロ曲「No.1 Girl」をもって、さらなる笑顔を付け足す、うらた。
浦島坂田船の楽曲は、ボカロ曲のほか、J-POP・ロックシーンなどで活躍するアーティストから提供されたものが多い。彼らには、どんな楽曲も歌いこなす順応力がある。この日も、多彩な楽曲とダンスで、crewを楽しませていく。
〈乗りかかった船だろう?/ヨーホーホーヨーホーホー 出航ー!〉と勢いよく一斉に花道へ走っていった「ARK」では、会場を四角に囲むように進むトランプの描かれたトロッコにひとりずつ乗り、出航。旅の途中を「Fortune!!」で涼しく駆け抜ける。懐かしい楽曲を含めたメドレーコーナーを経て、メンバーの名前を呼ぶ声が弾けたのは、10月2日から放送開始となったショートアニメ『浦島坂田船の日常』のOPテーマ「カレンダーリマインダー」。彼らのイメージカラーの旗がたなびいた「合戦」、和の空気感が一段と増した「花吹雪」、そして再び、回り出したミラーボールが送り出す光の粒子が、花火のような美しさを作り出した「恋色花火」と続く。
ここで、リーダー・うらたぬきは、満杯の会場を見渡し、「本当にこれだけの人(1万8,000人近く)が集まるってないよ……。本当に嬉しいな」「言いたいことが全然まとまらん……。とにかく皆には感謝してます」「どうかこの先も俺たちの成長の一部になってください」と、20公演を走ってきた感想として、浮かぶ言葉を並べた。
ラストの「ROULETTE」で出会うことができたのは、涙を堪えきれずに、我武者羅に言葉を噛み締めるように歌う、浦島坂田船の等身大の姿。歌に込められたのは、20公演を走り終えた後の安堵や感謝、決意だろう。訥弁だとしても、素直な言葉を発して、人の心を震わすことのできることほど、素晴らしいことはあるだろうか。
アンコール。グッズTシャツの上に法被を羽織ったメンバーが登場し、再びトロッコに乗って会場を隅々まで練り歩いた「わいふぁい暴想ボーイ」、「アワ・ダンサー」を終えると、一人ひとりが想いを打ち明けた。
ツアーでのエピソードを語り、「僕ら4人で頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いします」とセンラ。「僕らを支えてくださるスタッフも僕らの曲を踊れるくらい、僕らは愛されているんですよ。僕は多分早く死ぬんだろうなと……でももし、明日死んでも多分後悔ないですってくらい、幸せです」と坂田。「20公演中は絶対泣かないという自分のサブミッションを最後の最後にクリアできなかった」と語り、「学校とか職場とかで誰が好きなの?と言われたときにいままでやったら、知らないですよね……?とか言ってたかもしれないけど、見てこの景色! すごいでしょ! 僕たちも自信を持って我々が浦島坂田船です、と言えるぐらい自信を持てます。皆も胸張って浦島坂田船のcrewですと名乗ってください!」と志麻。「私情を挟んでいい?」とメンバーに尋ね、「今日の公演には自分の母親が来ていて。普段は言わないんですけど、本当に産んでくれてありがとうございます! 小学生の時は、人前に出ることが嫌いだったんですけど、いまでは、こんなに人がいるなか堂々と歌っております。僕らこの4人で頑張っていくので、これからも応援してください!」とうらた。
メンバーによるMC中、しんみりした空気が流れてきそうになると、ほかのメンバーが突っ込み、その空気を外へと押し出していく。彼らは、涙を最後には、笑顔に変える、温かさにあふれたユニットだ。ラストは、「SAILING!!!!!」で、〈We love crew〉と大きな愛を宣言。
この日の勝負は、どこをどう切り取っても、浦島坂田船の圧倒的勝利だった。これからも、下船と乗船をするたくさんのcrewを乗せたその船は、どんな勝負も乗り越えて、旅を続けていくのだろう。
【取材・文:小町碧音】
【撮影:小松陽祐(ODD JOB)、堀卓朗(ELENORE)】
セットリスト
浦島坂田船 SUMMER TOUR 2019 ~浦島theカジノ船 俺たち愛$、今夜お前とBETイン~
2019.10.6@幕張メッセ1~3ホール
- 01.ポーカーフェイク / 浦島坂田船
- 02.ポワゾンKISS / 浦島坂田船
- 03.フィクサー / 浦島坂田船
- 04.花鳥風月 / 浦島坂田船
- 05.Peacock Epoch / 浦島坂田船
- 06.CRAZY BUNNY!! / 志麻
- 07.決戦前夜 / 志麻/センラ
- 08.Freja / センラ
- 09.未完成ユートピア / となりの坂田。
- 10.Trip-Trap,Love Trap!! / うらたぬき/となりの坂田。
- 11.No.1 Girl / うらたぬき
- 12.Game Changer / 浦島坂田船
- 13.Beetle Battle / 浦島坂田船
- 14.明日へのBye Bye / 浦島坂田船
- 15.ARK / 浦島坂田船
- 16.Fortune!! / 浦島坂田船
- 17.シンプルLOVE / 浦島坂田船
- 18.メドレーコーナー
Starry Cruise / 浦島坂田船
明星ギャラクティカ / 浦島坂田船
Reach / うらたぬき
spill / 志麻
NO DRIVE,NO LIFE / となりの坂田。
色恋 / センラ
I’m Home Again / 浦島坂田船
SHOW MUST GO ON!! / 浦島坂田船
Shoutër / 浦島坂田船 - 19.カレンダーリマインダー / 浦島坂田船
- 20.合戦 / 浦島坂田船
- 21.花吹雪 / 浦島坂田船
- 22.恋色花火 / 浦島坂田船
- 23.ROULETTE / 浦島坂田船 -ENCORE-
- EN1.わいふぁい暴想ボーイ / 浦島坂田船
- EN2.アワ・ダンサー / 浦島坂田船
- EN3.SAILING!!!!! / 浦島坂田船
お知らせ
Happy Halloweeeen 浦島坂田幽霊船 ~ようこそ令和元年 やっぱり霊はあかんねん 憑依Go!
10/22(火・祝)神戸ワールド記念ホール
10/24(木)横浜アリーナ
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。