浦島坂田船、crewを幸せにすることを誓った初の無観客配信ライブ
浦島坂田船 | 2020.12.31
2月から4月にかけて全国13ヵ所を回るツアー『浦島坂田船 Spring Tour 2020-花(HANA)-』を皮切りに今年を彩る予定だった浦島坂田船の船旅は、空前のコロナ禍により、2公演で儚く閉ざされた。そんな中11月に結成7周年記念アルバム『RAINBOW』をリリースし、12月には2日連続でコンセプトの異なる初の無観客配信ライブ開催。 本稿では、12月27日の、『浦島坂田船!Live&Live~CREW’S BEST~』の記録を綴る。
この日のライブは、事前にcrewに募った楽曲リクエストをランキング順に発表していく形式で配信された。アニメ化した4人が「カウントダウン!」と真っ正面へ向かって指を差すシーンは、某音楽番組を彷彿とさせる。そんなコミカルなアニメーションを挟みながら進行する演出に、生配信ライブを見ながらも同時に音楽番組を見ているような、ふたつの醍醐味を味わう感覚にもなる。なにより、人気曲のランキングを発表するということは、すなわち、浦島坂田船の楽曲の魅力に迫ることであり、終盤に向けて気持ちは前のめりになっていく。
尺八の音色が響き渡り、見えたトライアングル上の青光。画面下に「Shoutë<!--& #235;-->r」のクレジットが表示されると、隣同士に並んだ4人が映り込む。うらたぬきの歌声に導かれて、歌詞字幕も流れ出し、「始まったぞ! CREW’S BEST! 盛り上がっていこうぜー!」(うらた)と勢いよくスタート。
2曲目以降は、ときにダンサーも加わっていく。青色のレーザーを浴びる中、尖ったダンスを披露した「花鳥風月」。メンバーの一人ひとりが、カメラの先へ視線を送りながら歌ってくれることから、配信ライブならではの一瞬の寂しさが生まれる余地がない。目は心の窓、が体現化されているようなステージ。普段の生ライブ以上に彼らの温かさに触れた気がした。「Mermaid」は、4人の歌声に熱量が鮮明に表れた1曲。<一緒に歩いてくれるかい>で横並びの4人が、後方の橙色の光に支えられている場面にグッとくる。
途中に挟んだのは、それぞれのソロとして1位の楽曲。ショッキングピンクのチャーミングなライトをバックに、うらたは「シアワセは台本の外から」で、空まで届きそうな晴れた歌声に可愛らしい仕草を加えて、おいでおいでとでも言うように引き付ける。一転、残されたピンクの空気を「盛り上がっているかー??」と掻っ攫っていったのは、志麻の「CRAZY BUNNY!!」。可愛らしさとは反対に男気が炸裂するリスキーなメロディに身を揺らすステージはクレイジー。「やってきました! 俺のターン。楽しませる覚悟はできてんのか俺!」「楽しませます!」と自問自答したとなりの坂田。が「スーパーヒーロー」で真っ赤な太陽のような笑顔を滲ませる。わくわくがドライブする坂田。のステージには、エンターテイナーとしての魅力にも気付けた。ソロのラストは、切ない歌詞でありながら疾走感あるロックバラード「色恋」の言葉一つひとつを噛み締め、歌い上げたセンラ。バランスの取れた4人が際立ったコーナーだった。
センターの大画面スクリーンに大きなクリスマスツリーの映像が映ると、「誰が何と言おうと今日がクリスマスだー!」とうらたが叫び、「メリークリスマス!(笑)」と坂田。が続いた「Snow melody」へ。バーチャルな雪の結晶が舞う中で、ときにペアに分かれてじゃれ合う。もちろんそこに「一緒に声を出そう!」と、crewへの掛け声も忘れない。続くはセンセーショナルな「花魁俺嵐コンフュージョン」からシームレスに繋がる「Beetle Battle」。頭上からカメラは4人の色とりどりな髪色を美しく捉えた。4人が身体を寄せ合いながら、色気のあるダンスで攻めゆくこの曲は、思わず目を瞑りたくなるほどのアバンチュールを引き起こす。
メドレーコーナーから、仮想の夜桜が散る中で届けられたのは、センラをトップにして隠れる4人の手が花の咲き誇る絵を華麗に描き出した「花や、花」。そして2位の「Peacock Epoch」はまたしても快楽を貪る曲で、<もっと もっと>とペアになり抱き合うクライマックスシーンに感情の波が泳ぎ始める。そして1位は、4人が手がけた歌詞でとびきりのメンバー&crew愛が込められた「SAILING!!!!!」。「1位に選んでくれてありがとー!」と、うらたが感謝してから、喜びを抑えきれずステージを走り回るセンラに、「やばい(笑)」と反応するメンバー。
マニュアルに載っていない愛にあふれた自由度の高い演出が、浦島坂田船としての強度を誇っていると感じ取ることのできた配信ライブだった。ラストの曲が終了した後には、配信を見た満足感とは異なる4人から涌き出る温かさが、会場を満たしているような気がして、それは例外なく心へもじわじわと届いていた。配信ライブを振り返る場面で4人は、コロナ禍の状況が改めて大切なことに気付かせてくれるきっかけにもなったことを語り、不透明な未来でも必ずcrewを幸せにすることを誓った。
そして、困難な状況でも夢を持つ気持ちは忘れないでというメッセージ性の詰まった「RAINBOW」で最後を虹色に結ぶ。総勢8人のダンサーも交わり祝祭感に満ちる中、いくつもの笑顔が弾けた。2021年春ツアーの開催の告知もあったこの日。crewへの愛を優先する一方で、今の時代に大切なことも歌い届ける浦島坂田船としての使命感が、結成7周年を迎えた4人の背中に深く刻まれていた。
【取材・文:小町碧音】
リリース情報
RAINBOW
2020年11月25日
NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン
02.青く塗り替えろ!/浦島坂田船
03.最強Drive!!/浦島坂田船
04.微笑、香り、君と僕を繋ぐ/浦島坂田船
05.レッドホットクレイジーナイト/浦島坂田船
06.YELLOW FINEST/浦島坂田船
07.GET UP/うらたぬき
08.紫雲の翼/志麻
09.迷図/となりの坂田。
10.Sweet Magic/センラ
11.VS/うらたぬき&となりの坂田。
12.ファイティンサマーカーニバル/志麻&センラ
13.ホエールホール/浦島坂田船
14.ココ マドモアゼル/浦島坂田船
セットリスト
浦島坂田船!Live&Live~CREW’S BEST~
2020.12.27
- 01. Shoutër
- 02. 花鳥風月
- 03. 海賊船~心の奪い手~
- 04. Mermaid
- 05. シアワセは台本の外から うらたぬき
- 06. CRAZY BUNNY!! 志麻
- 07. スーパーヒーロー となりの坂田。
- 08. 色恋 センラ
- 09. Snow melody
- 10. 花魁俺嵐コンフュージョン
- 11. Beetle Battle
- 12. メドレーコーナー
年に一夜の恋模様
アイドルっぽい曲を作った。
ベノム
ハロウ!ゴーストシップ
ARK
Sailor’s High
Dreamer
千本桜-guitar rock arrangement ver.-
君まであと何メーター
最強ライバル
- 13. 花や、花
- 14. Peacock Epoch
- 15. SAILING!!!!!
- 16. RAINBOW