レビュー

浦島坂田船 | 2020.12.11

 希望の象徴でもある、と言われる7色のアーチ。うらたぬき、志麻、となりの坂田。、センラの4人からなる男性ボーカルユニット・浦島坂田船のニューアルバム『RAINBOW』は、コロナ禍で翻弄される混迷の時代に光明をもたらすものだ、と思う。

 ヒロイズムやQ-MHz、堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)、首藤義勝(KEYTALK)、halyosy、つんくなど、これまでも浦島坂田船に曲提供してきた豪華な面々のほか、草野華余子(LiSAの「紅蓮華」作曲者)、TAKE(FLOW)が新たな色も添える『RAINBOW』は、実に彩り豊か。<どんなときも希望を示すんだ>と真っ直ぐに歌う「RAINBOW」はじめ、挑発的な中にそれぞれの“らしさ”もにじむ「青く塗り替えろ!」、まさに最強の応援ソング「最強Drive!!」、4人の艶っぽさにドキっとしてしまう「微笑、香り、君と僕を繋ぐ」、“君”にcrewを重ねて歌っているのかなと思うとグっとくる「ココ マドモアゼル」など、ガラっと異なる世界を4人は鮮やかな歌声で変幻自在に染めていく。さらにはソロ曲やユニット曲もあり、集合体として、個としてさまざまな表現に挑んでいる彼ら。ネットミュージックシーンやJ-POP、アニソンのトレンドにいい意味で染まりながら、グループとしてひとつになったときの圧倒的な爆発力も、個性豊かな声質やキャラクターも、2手に分かれたときの刺激的な化学反応も、どれも存分に活かしてすべての曲を主役級にしてしまうのだから、やはりただ者ではない。

 また、『RAINBOW』の発売に先がけてYouTubeにて公開された動画『【オリジナルアニメ】浦島坂田船 5thアルバム『RAINBOW』 【XFD】』にも驚かされてしまう。導入となるアニメーションはGAINAX京都が制作、脚本はとなりの坂田。が手がけ、メンバーのほか大塚芳忠、梶裕貴、松岡禎丞、吉野裕行という名だたる声優陣が参加。心からエンターテインメントを楽しむ彼らの求心力がいかに高いか、ということも見えてくる。自分たちが楽しいこと、リスナーが楽しめることをただひたすらに追い求めてきた彼らの強みは、歌やトーク、演技も含めた“声を使ったエンターテイメント”なのだ。

 2020年2月から全国のホール&アリーナをまわる予定だった『Spring Tour 2020 ―花(HANA)―』はわずか2公演で中止せざるを得なかったわけだが、年末には初の無観客配信ライブを開催。公演ごとに異なるコンセプトやあっと驚く演出で魅せ、crewを惹きつけてやまない彼らのことである。きっと、新たな試みも驚きと感動に満ちたものになるだろう。色とりどりに輝く『RAINBOW』の楽曲たちが加わった冒険船の胸高鳴る航海は、より多くの人を巻き込みながらどこまでも続いていく。

【文:杉江優花】



【オリジナルアニメ】浦島坂田船 5thアルバム『RAINBOW』 【XFD】

リリース情報

RAINBOW

RAINBOW

発売日: 2020年11月25日

価格: ¥ 2,000(本体)+税

レーベル: NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン

収録曲

01.RAINBOW/浦島坂田船
02.青く塗り替えろ!/浦島坂田船
03.最強Drive!!/浦島坂田船
04.微笑、香り、君と僕を繋ぐ/浦島坂田船
05.レッドホットクレイジーナイト/浦島坂田船
06.YELLOW FINEST/浦島坂田船
07.GET UP/うらたぬき
08.紫雲の翼/志麻
09.迷図/となりの坂田。
10.Sweet Magic/センラ
11.VS/うらたぬき&となりの坂田。
12.ファイティンサマーカーニバル/志麻&センラ
13.ホエールホール/浦島坂田船
14.ココ マドモアゼル/浦島坂田船

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