ロックの未来はFOMAREに託された――大型ツアーの集大成、コーストワンマンを観た!
FOMARE | 2019.12.20
メロディックのニューヒーロー誕生である。
群馬発のFOMAREが今年6月にキャリア初のフルアルバム『FORCE』を発表。そのレコ発ツアー「FORCE TOUR 2019」は47都道府県51ヵ所に及び、ファイナル公演は自身最大キャパとなる新木場スタジオコーストで行い、見事にソールドアウトさせた。
19時10分、SEが流れると、アマダシンスケ(Vo/Ba)、カマタリョウガ(Gt/Cho)がステージに現れると、割れんばかりの歓声が場内に轟く。そこにサポートのオグラユウタ(Dr/Cho)が加わり、「Continue」で始まるや、いきなり特効の火花が炸裂する仕掛けに驚く。性急なメロディック・チューンで観客のケツを蹴り上げたあとは「Frozen」へ。スクリーンには雪山でドローン撮影を行った壮大なMVが流れ、豊かな歌メロと疾走するビートで観客を引っ張っていく。「雨の日も風の日も」に入ると、アマダ、カマタは2段式ステージの上部でプレイしたり、「悲しいハッピーエンド」では6つの炎が激しく噴き出すなど、ド派手な演出にも度肝を抜かれた。
「51本、最高の終わりにしよう。今日はかますから、よろしくな!」とアマダは挨拶すると、歌メロで始まる「夢から覚めても」をプレイ。カタマのコーラスも援護射撃し、重厚なメロディの訴求力で観客を熱狂させていく。フロアはクラウドサーフやモッシュが続出で、完全にメロディックバンドのライブの盛り上がりそのものだ。とはいえ、会場の後方には楽曲の良さに浸りたい観客がじっと聴き入っている。そう言えば、今日の開演前BGMにはdustbox、MONGOL800、Northern19など00年代に頭角を現したメロディック勢の名曲が流れていた。そう、FOMAREの体内にはパンクの血が脈打っている。そこにMONGOL800も大好きという嗜好も添加され、日本語によるエモーショナルな歌唱力が大きな魅力になっている。パンク育ちのアグレッシブな演奏の上にスケール感のある豊かなメロディを乗せ、自分たちのサウンドを独自に発展させてきた彼ら。1stフルアルバム『FORCE』は荒ぶる2ビートから静かなバラードまで、彼らの音楽的野心を開花させたバラエティに富む一枚だった。カマタは「2ビート大好き人間だけど、それだけをやるのは嫌なんです」と取材時にもハッキリ明言していた。中盤にはその1stフルアルバムから多数プレイし、バンドの振れ幅を存分に魅せ付ける。
優しくも深いエモーションに満ちたミドルテンポの「生まれ変わっても」を経て、珠玉のバラード・ナンバー「赤と青」を披露。アマダの繊細な歌声と、カマタの鍵盤によるそっと寄り添うアプローチで聴かせる。途中からドラムも加わり、シンプルなバンドサウンドでたくさんの観客の心に静かな感動を巻き起こしていた。さらに「どんなに離れても、この歌で繋がっている」と言うと、「LINK」をプレイ。ハートフルなメロディを存分に解き放つと、地元の大先輩にあたるG-FREAK FACTORYにインスパイアされたという「One Day」を次に披露。レゲエ調のゆったりとしたテンポ感はバンドにとって新境地と言えるものだ。スクリーンには「FORCE TOUR 2019」のライブや舞台裏のオフショットが流れ、それがレイドバックした音色ともマッチしていた。それから再びパンキッシュな「5cm」でフロアを焚き付け、緩急自在の攻めが抜群に光っていた。
終盤に向けて、「風」ではアマダとカマタがメロコアジャンプを決め、キッズ魂を決して忘れていないところにも胸が熱くなるばかり。ここから「新しい歌」「stay with me」と続けて放ち、天井知らずの活気を生み出していった。そして、本編ラストを飾ったのは「秋の夜」だ。これまでの作品の中で、初めて《君の事をずっと愛すよ》とストレートな歌詞で愛を綴ったナンバー。センチメンタルな美メロを存分にアピールし、楽曲の良さを会場の四隅にまで染み渡らせていた。
アンコールに応えると、「2年前の『REDLINE 2017』のオープニンプ・アクトで出た。そのときにここでワンマンやりてえと思って、それが叶った!」とアマダは感慨深げに話し、「カマタに感謝、ありがとう!」と述べると、「俺もありがとうだよ!」とカマタが照れくさそうに返し、メンバー間の絆を感じる場面にもほっこり。そして、ここでオグラのバンドへの正式加入、さらに渋谷駅構内にてゲリラ新曲配布(1000枚の手紙の中に1枚だけ新曲が聴けるQRコード同封)を告知したあと、その新曲「リメンバー」を披露。これがまた大人びた雰囲気のある良質な曲だった。続く「Lani」でも大合唱に沸き、いったんメンバーはステージから消えたものの、Wアンコールで再び登場。「みんなの歌だと思ってます!」と言い放つと、初期の名曲「タバコ」においても観客はずっと拳を振り上げてノッていた。最後は別れた人に対する感謝の思いを綴った「HOME」で締め括り、全21曲、約1時間40分に及ぶショウは幕を閉じた。
1回目のアンコールで楽屋に戻った様子をカメラでもとらえ、「マジ早かった!」とアマダが答えていたとおり、観ているこちらもあっという間という感覚が強かった。鍛え上げられたメロディック育ちの足腰に加え、MONGOL800やKiroroなど優れた日本のポップスも同時に愛するFOMAREは、メロディに人一倍こだわるバンドである。この日も2ビートからBPMをぐっと落とした楽曲においても、メロディラインの良さで多くの人を熱狂の渦に落とし込んでいた。今日のすさまじい盛り上がりを眼前にして、冒頭の言葉がずっと頭の中に浮かび、ライブ終了後にそれは確信に変わった。オグラを含む新3ピース体制で今後も彼らは突き進んでくれることだろう。大きなターニングポイントを通過し、FOMAREの快進撃はここから始まる。そう思わずにはいられない圧巻のファイナル公演であった。
【取材・文:荒金良介】
【撮影:RUI HASHIMOTO[SOUND SHOOTER]】
リリース情報
FORCE
2019年06月12日
small indies table
2.Frozen
3.生まれ変わっても
4.5cm
5.One Day
6.君が都会へと帰ってく
7.赤と青
8.lonely
9.LINK
10.秋の夜
セットリスト
FORCE TOUR 2019
2019.11.22@新木場STUDIO COAST
- 1.Continue
- 2.Frozen
- 3.雨の日も風の日も
- 4.君と夜明け
- 5.悲しいハッピーエンド
- 6.夢から覚めても
- 7.Can’t help myself
- 8.生まれ変わっても
- 9.赤と青
- 10.mirror
- 11.LINK
- 12.One Day
- 13.5cm
- 14.風
- 15.新しい歌
- 16.stay with me
- 17.秋の夜 【ENCORE】
- 1.リメンバー
- 2.Lani 【W.ENCORE】
- 1.タバコ
- 2.HOME
お知らせ
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2020/02/28(金)神奈川 横浜F.A.D
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2020/05/02(土)~05/05(火・祝)埼玉 さいたまスーパーアリーナ
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