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ビーバーが代々木第一体育館のステージに立った! 「あなたの“生きてて良かった”になりたい」を体現した熱演の模様をお届け!

SUPER BEAVER | 2020.02.04

 東京オリンピックの開催(1964年)に備えて建設された国立代々木競技場第一体育館の中に入ると、ロビーや階段の踊り場などに岡本太郎の壁画がいくつもある。太郎は芸術品をガラスケースの中に押し込め、いわゆる美術館と言われる場所に収納することを徹底的に拒んだ。芸術とは人々の生活に寄り添うものでなければならない。だから、太郎の壁画は平気で剥き出しのまま提示されている。『太陽の塔』、渋谷駅にある『明日の神話』然り。

 SUPER BEAVERによるライブツアー「都会のラクダ“ホール&ライブハウス+アリーナ”TOUR 2019-2020 ~スーパー立ちと座りと、ラクダ放題~」が開催。神戸ワールド記念ホール2デイズを経て、バンド自身最大キャパとなる代々木第一体育館も見事に完売。SEが流れ、夕焼け色の照明が照らされるなか、渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)、藤原"31才"広明(Dr)のメンバー4人がゆっくりとステージに登場。普段と変わらない光景なのに会場が違えば、感じ方はまた違う。水を打ったような静けさが広がり、演奏前から厳粛な空気が漂う。その静寂を柳沢のギターが切り裂き、渋谷が息を深く吸う呼吸音が響き渡ると、冒頭部分のみアカペラ調で「それでも世界が目を覚ますのなら」を演奏。ステージ背面には深紅のカーテンが飾られ、特別感を彩っていた。
「東京、会いたかったぞ!」と声をかけると、「青い春」からハンドクラップが湧き起こり、一気に祝祭感に包まれていく。曲中には「後ろも見えてるよ!」と叫び、会場の規模がどれだけ大きくなろうと、誰ひとり置いていかない彼らのスタンスは変わらない。人生の儚さを唱えた「閃光」を披露したあと、「最高の1日をあなたと作りにきました!」と渋谷が挨拶し、「この代々木競技場はゴールでも目標でもないけれど、ここにあなたを連れて来れたことを褒めたい」と告げた。そういえば、初の日本武道館公演(2018年4月)を大成功に収めた際にも同様の発言をしていた(参考記事:結成14年目、SUPER BEAVERが日本武道館であなたに贈る圧巻のライブ。http://music.emtg.jp/liveReport/20180511832d20d98)。あなたがいる武道館に意味がある――その思いを信念に近い形で貫き通しているSUPER BEAVERの姿がなんとも眩しかった。

 軽快なリズムに体が動く「ラヴソング」を経て、「代々木をダンスホールに変えたい!」と言うと、ロカビリーちっくな「irony」を披露。渋谷は花道の先端でダンスを踊れば、柳沢は爽快なギターソロを決め、陽気にハジけた曲調で会場を焚き付けていく。さらに疾走感溢れる「正攻法」、観客1万2千人によるコール&レスポンスの嵐を吹かせた「秘密」には思わず鳥肌が立つほどだった。
そして、ここからモードを切り替え、10年前に作ったという「まわる、まわる」をプレイ。スクリーンに歌詞が流れるなか、ハートフルなメロディに胸をえぐられ、なんていい曲なんだろう、と再認識。「せっかくなんで、座ってみませんか?」と観客に着席を促すと、「your song」「人として」の2曲を観客一人ひとりに丁寧に届けていた。ショウも折り返し地点を過ぎ、メンバー4人がコメントをするなか、「なんか、今日キテます。代々木は地元で、代々木公園は小学生の頃からずっと遊んでいた。幸せすぎて、ジーンと来てます……」と感慨深げに話す上杉の表情が印象的だった。

 再び観客総立ち状態になると、後半戦は「歓びの明日に」を皮切りにライブハウスの熱気を作り上げていく。ステージ両端の大型スクリーンに加え、ステージ背面の4つのスクリーンにメンバー一人ひとりが演奏するシーンが映され、臨場感を高める演出も奏功していた。その後、ポップなコーラスが際立つ「予感」、躍動感溢れる「27」を放ち、会場の温度をぐいぐいと押し上げると、次は「東京流星群」へ。ミラーボールが幻想感を盛り立て、代々木第一体育館で聴いたこの曲のスケール感はハイライトのひとつと言いたい。曲名を歌い上げる大合唱といい、1万2千人に向けて、いや、一人ひとりの観客に寄り添い、照らし出すエネルギーに体中から活力が漲ってくるようだった。その歓喜を「嬉しい涙」「全部」で雪だるまのごとく膨らませ、「あなたのお手を拝借」と声をかけると、本編ラストは「美しい日」でピリオドを打った。ああ、今日もまさにそんな日になったなあと感動するのも束の間、アンコールに入ると、スクリーンでライブ告知があり、結成15周年第2弾ツアー「続・都会のラクダTOUR 2020~ラクダの前進、イッポーニーホー~」が9月から12月にかけて行われ、ファイナルはなんと横浜アリーナ2デイズが発表されるや、ヴワーッ!と悲鳴に近い歓声が湧き起こっていた。
最後は「自分たちが生かされていた曲をあなたに」とMCを挟み、「シアワセ」で締め括る。渋谷の優しい声色に心のど真ん中を射抜かれ、超絶エモーショナルな曲調はここにいるすべての人たちの琴線を激しく揺さぶっているようだった。「ライブハウスだろうと、ホールだろうと、アリーナだろうと、全部やれる、そういうバンドでありたい」と渋谷は力強く語っていたけれど、SUPER BEAVERには目指すべきゴールや終着点はないのだろう。あるのは、今日のライブでも言っていたとおり、「あなたの“生きてて良かった”になりたい」という言葉に集約されるのではないか。自分たちの音楽をキャッチしてくれるあなたの感情や生活に寄り添う楽曲を作ること。それこそが至上命題なのだ。ライブ終了後の挨拶で、メンバー4人が太郎の壁画の前に立ち尽くしていた。SUPER BEAVERと岡本太郎。両者のアートに込めた思いが、僕の中で自然とクロスしたのは言うまでもない。また機会があれば、この代々木第一体育館で彼らのライブを堪能したい。

【取材・文:荒金良介】
【撮影:青木カズロー、日吉”JP”純平】

tag一覧 J-POP ライブ 男性ボーカル SUPER BEAVER

リリース情報

予感

予感

2018年11月21日

[NOiD] / murffin discs

01.予感
02.まごころ

セットリスト

都会のラクダ
“ホール&ライブハウス+アリーナ”
TOUR 2019-2020
~スーパー立ちと座りと、ラクダ放題~
2020.1.11@国立代々木競技場第一体育館

  1. 1.それでも世界が目を覚ますのなら
  2. 2.青い春
  3. 3.閃光
  4. 4.ラヴソング
  5. 5.irony
  6. 6.正攻法
  7. 7.秘密
  8. 8.まわる、まわる
  9. 9.your song
  10. 10.人として
  11. 11.歓びの明日に
  12. 12.予感
  13. 13.27
  14. 14.東京流星群
  15. 15.嬉しい涙
  16. 16.全部
  17. 17.美しい日
  18. 【ENCORE】
  19. 1.シアワセ

お知らせ

■ライブ情報

SUPER BEAVER 自主企画「現場至上主義 supported by TOWER RECORDS」
03/04(水)大阪 なんばhatch
w/ clammbon / STANCE PUNKS
03/06(金)東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
w/ ATATA / The Birthday
03/10(火)愛知 名古屋DIAMOND HALL
w/ LOSTAGE / Nothing’s Carved In Stone

murffin night 2020 in TOKYO
03/18(水)東京 新木場STUDIO COAST
w/ Czecho No Republic / テスラは泣かない。 / 東京カランコロン / なきごと / マカロニえんぴつ / SherLock(O.A.)

SUPER BEAVER 15th Anniversary 都会のラクダ TOUR 2020 ~ラクダの原点、ピーポーパーポー~
04/10(金)千葉 LOOK ※対バン
04/18(土)、04/19(日)東京 TACHIKAWA STAGE GARDEN
04/26(日)神奈川 神奈川県民ホール
05/09(土)岡山 岡山市民会館
05/11(月)東京 Zepp Tokyo ※対バン
05/14(木)愛媛 松山WstudioRED ※対バン
05/16(土)高知 キャラバンサライ ※対バン
05/22(金)京都 ロームシアター京都 ※対バン
05/23(土)奈良 なら100年会館
05/28(木)静岡 Live House浜松窓枠 ※対バン
05/30(土)長野 長野市芸術館
06/3(水)富山 MAIRO ※対バン
06/04(木)岐阜 club-G ※対バン
06/12(金)佐賀 GEILS ※対バン
06/14(日)宮崎 WEATHER KING ※対バン
06/18(木)青森 Quarter ※対バン
06/19(金)秋田 Club SWINDLE ※対バン
06/21(日)福島 郡山Hip Shot Japan ※対バン
06/28(日)北海道 苫小牧ELLCUBE ※対バン
06/30(火)北海道 北見ONION HALL ※対バン
07/02(木)北海道 釧路NAVANA STUDIO ※対バン
07/03(金)北海道 帯広MEGA STONE ※対バン
07/05(日)北海道 Zepp Sapporo

SUPER BEAVER 15th Anniversary
続・都会のラクダ TOUR 2020 ~ラクダの前進、イッポーニーホー~

09/05(土)、09/06(日)香川 高松festhalle
09/10(木)、09/11(金)福岡 Zepp Fukuoka
09/18(金)、09/19(土)新潟 LOTS
09/26(土)、09/27(日)広島 BLUE LIVE
10/10(土)、10/11(日)宮城 仙台ゼビオアリーナ
11/2(月)大阪 大阪城ホール
12/6(日)愛知 名古屋ガイシホール
12/8(火)、12/9(水)神奈川 横浜アリーナ

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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