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画期的なエンターテインメントで魅了した、キタニタツヤ初の生配信ライブを観た!

キタニタツヤ | 2020.07.02

 次世代の音楽シーンを牽引するであろう新しい才能、キタニタツヤをご存知だろうか? 本来であれば6月26日(金)、ソールドアウトとなっていた渋谷CLUB QUATTROにてワンマンライブ「Hug myself」を行うはずだった。しかし、コロナ禍の影響もあり、「Hug myself (inside)」とタイトルを変えて、無観客での有料生配信ライブを渋谷CLUB QUATTROにて実施することになった。

 オープニングは、煙草を燻らせ、観客がフロアに向かうときに使う階段を上るシーンから。ライブでおなじみのファンキーな酔いどれナンバー「Stoned Child」からスタート。緊張感のあるなかでの初の無観客ライブ。しかし、キタニは攻める。有料配信ライブならではのチャレンジとして、渋谷CLUB QUATTROのステージはあえて使わず、フロアでバンドメンバーが円になるような形でのライブを試みた。キタニはハンドマイクでオーディエンスを煽る。フロアで発光するLEDバーがサイバーパンクのような煌めきを解き放つ。



 第一声は「ありがとう、キタニタツヤです。よろしく!!!」。
「悪魔の踊り方」「きっとこの命に意味は無かった」「I DO NOT LOVE YOU.」という、ダークヒーローな佇まいでドープに独自のロックセンスで魅せるキタニタツヤ。なかでも注目は、メロウにたゆたう歌声を披露してくれる名曲「花の香」だ。作家性あふれる和のセンス、流麗なるメロディーが胸を鷲掴みにしてくれる。



 さらに、一気に空気を変えたのが、ベースを片手に「芥の部屋は錆色に沈む」をファンキーな踊れるロックビートに乗せてぶちかましてくれたワンシーンだ。



 MCでは「どうもこんばんは、キタニタツヤです。よろしく! 配信ライブをやるのは早いほうだと思うんですけど、MCの反応がないの知らなくて困ったー! 普段だったら『ウェーイ』で、みんなは『パチパチ(拍手)』ってやるのに。(自分は)ツイートも見れないし(笑)、喋りがいがないな……。私どもとしては(配信ライブは)初めてなのですが、柱の裏から観ている人も最後まで楽しんでほしい(詳細は後述)。というわけで今回、政府のガイドラインを守りながら、新しい形のライブをやることになりました」。そして、穏やかに流れていくSE「Yomi」から「君が夜の海に還るまで」のメロウなセクションへ。

 今日のハイライトのひとつは、画面越しにも一体感が熱く伝わってきた「波に名前をつけること、僕らの呼吸に終わりがあること。」でのせつなポップチューンが解き放つ高揚感だ。<思い出も君の名前も、いつの日か失ってしまって/僕もいつかこの海とひとつになるんだろう>というフレーズが胸に響く。



 ここで、小テーブル上に花瓶と花が置かれ、椅子が並べられた場所へ移動し、キタニはアコースティックギター片手に「君のつづき」をつま弾いた。

 当ライブは、有料チケット販売がされているが、特別企画『#クアトロ柱かくれんぼ』と題して、YouTubeにて同時に無料配信された。いわゆる渋谷CLUB QUATTRO名物、フロアに立ち尽くす大きな柱の後ろから生音(しかも音が絶妙に割れる!)で中継するというトリッキーな試みだ。動画ではメンバーはほぼ見えないが、いや、ちょっとだけ垣間見えつつ、ライブの雰囲気を味わえるという茶目っ気あるサービスなのだ(もちろん有料配信は最適な良き環境で楽しめる!)。

 ギターを置いて、シーケンスが流れたのはモダンな「輪郭」のイントロダクション。キタニの魅力は、ギターロックだけではない。海外でいうストリーミングサービスから誕生した次世代スター=ラウヴのように、コンテンポラリーでダンサブルなセンスを持つ独白ナンバーも魅力的だ。

 ここで再び長めのMCへ。「告知タイムだ! と言っても(オーディエンスが)『ウォー!』ってならない。でも『ウォー!』ってなる告知をします。8月26日にアルバム『DEMAGOG』を発売します! やっと音源を出すことが言える。俺は、昨日っていうか今朝まで作業していて、でも、ほぼ完成しています。2つ目。2回目の全国ツアー「2nd Oneman Tour 2020 "DEMAGOG"』をやります。この時期、まだまだ何が起こるかわからないんだけど、新型コロナウイルスに対するガイドラインに沿ってやります。どうしてもライブしたかったから、僕のマネージャー・Kが会場を押さえてくれました。札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡、そしてツアーファイナルが11月6日に東京・恵比寿LIQUIDROOM。ライブができることを祈っているので君たちもチケットを買ってください。ということで、告知3つ目。今日の22時から『ハイドアンドシーク』のMVがアップされます。それぐらいかな? よし、ステージ移動!」

 ここで、アッパーチューン「トリガーハッピー」を、照明代わりに映像を浴びながら、スタンドマイクを握り締めワイルドに披露。続いて、キタニにとってターニングポイントになったであろうラップ風歌唱を織り交ぜた「Sad Girl」をメロウにプレイ。



 「残り2曲、全力で演奏しますので。新曲をやります!」。重めなギターリフが耳に残る「ハイドアンドシーク」は、歌メロが怪しげな多幸感を空間いっぱいに埋め尽くすキラーチューン。アルバムへの期待が高まるナンバーだ。



 ラストは、ダンサブルに画面越しのオーディエンスみんなで盛り上がる「クラブ・アンリアリティ」。配信ライブならではのサプライズとして、ハッシュタグ「#ギュッとしてキタニライブ」でつぶやくと、生放送の映像にテキストが映し出される仕掛けも。オーラスへと一気に盛り上げていく。



 「どうもありがとう、キタニタツヤでした!!」。アンコールはなく、バスっと余韻なく終了画面が表示されるモニター。一気に我に帰った瞬間だ。ああ、早くまたリアルで彼のライブを体感したいなと、強く思わせてくれるレアなライブパフォーマンスだった。

 ちなみにサービスなのか、ライブ終了後、キタニタツヤ official YouTubeチャンネルにて、「キタニタツヤを解放せよ(outside)」を放送。缶ビール片手に生放送で反省会という名の打ち上げがメンバー交えて行われたのもユニークだった。楽屋裏が垣間見れる貴重な体験となった。それにしてもキタニさん、よく喋るなぁ(笑)。やっぱり、今の時代を牽引するジャンルを超えていくロックスターだな。そんなキタニタツヤ、要注目のキラーチューン「ハイドアンドシーク」のリリースにまずは注目をしたい。2020年、ここからキタニタツヤの活躍は加速していく。

【取材・文:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)】
【撮影:後藤壮太郎】

tag一覧 配信ライブ 男性ボーカル キタニタツヤ

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リリース情報

DEMAGOG

DEMAGOG

2020年08月26日

ソニー・ミュージックレーベルズ

01.ハイドアンドシーク
02.パノプティコン
03.デッドウェイト
04.人間みたいね
05.悪夢
06.デマゴーグ
07.泥中の蓮

セットリスト

Hug myself (inside)
2020.06.26@渋谷CLUB QUATTRO

  1. 01.Stoned Child
  2. 02.悪魔の踊り方
  3. 03.きっとこの命に意味は無かった
  4. 04.I DO NOT LOVE YOU.
  5. 05.花の香
  6. 06.夢遊病者は此岸にて
  7. 07.芥の部屋は錆色に沈む
  8. SE.Yomi
  9. 08.君が夜の海に還るまで
  10. 09.波に名前をつけること、僕らの呼吸に終わりがあること。
  11. 10.君のつづき
  12. 11.輪郭
  13. 12.トリガーハッピー
  14. 13.Sad Girl
  15. 14.ハイドアンドシーク
  16. 15.クラブ・アンリアリティ

お知らせ

■ライブ情報

キタニタツヤ 2nd Oneman Tour 2020
“DEMAGOG”

10/03(土)福岡・Queblick
10/10(土)北海道・札幌SPiCE
10/17(土)愛知・名古屋UPSET
10/18(日)大阪・梅田Shangri-La
10/23(金)宮城・仙台enn 2nd
11/06(金)東京・恵比寿LIQUIDROOM
※こちらのツアーは新型コロナウイルスの感染拡大状況・ライブハウスの感染予防ガイドラインを踏まえて、チケットを販売する予定。

※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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