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生配信ならではのスペシャルな企画も用意された、KALMA初の無観客ライブをレポート!

KALMA | 2020.08.21

 長期化する2020年のコロナ禍において、多くのアーティストがライブの中止や延期を余儀なくされ、今やオンラインでの無観客ライブが主流になりつつある。そんな中、7月26日に北海道在住のスリーピース・バンド、KALMAによる初の生配信ライブ「へいらっしゃい!あらお客さんご無沙汰だね!元気にしてた?いや~大変な世の中になりましたね~久しぶりに大将の顔見れて嬉しいです!お客さんまた来てくれてありがとね~!今日はたっぷりサービスするよ!それで今日は何にしましょ?じゃあ、いつもの元気が出る系で!へいよっ!」~配信ワンマンライブ2020夏 in 札幌からお届け~が開催された。あまりにも公演タイトルが長すぎるのだが(笑)、これはどうやらラーメン屋の大将とのやり取りのようだ。開演前に配信URLにアクセスすると「ただいま準備中。OPENまでしばらくお待ちください」の文字が、ラーメン丼のような赤く四角い渦巻き模様で縁取られており、何だかワクワクした。

 開演時刻になり、畑山悠月(Vo/Gt)、斉藤陸斗(Ba)、金田竜也(Dr)の3人が歩いて移動する姿が映し出される。ライブ会場内にラーメン屋台があり、暖簾をくぐって中へ。大将が「いらっしゃい!いつものでいいかい?」と声をかけると畑山が「その前に今日は大将にもライブを観て欲しいんですよ。だからラーメン作っておいてね!」「OK、がんばってね!」というやり取りの後、いざステージへ。「今日は配信ライブを札幌から全国の皆さんへお届けします!」と畑山が挨拶。「元気に行きます!」と宣誓して「デイズ」でスタートを切った。冒頭は緊張感があったものの、久しぶりのライブが嬉しかったようで曲が終わると「気持ちいいー!楽しいー!」と声を上げ、笑顔を見せる。「くだらん夢」へと続くと、3人のグルーヴ感を熱気と共にしっかりと生み出しているのが伝わってきた。MCでは畑山が「ワンマンまじで久しぶりじゃない?」と言うと斉藤が「うん、前にやったの去年だよね」そして金田は「ライブハウスにいる感じで楽しんでください」と呼びかけた。その後、畑山が「大事な人に書いた曲をやります」と<ママ いつもありがとうね>から始まる「コーラ」を披露。今年3月にリリースされたミニアルバム『TEEN TEEN TEEN』に収録されたこの曲をライブで聴くのを楽しみにしていた人もきっと多かったことだろう。素直な想いが軽快な音に乗って楽しげに届けられ、畑山は笑顔で歌いながらも、その声は力強かった。そんな今のKALMAの頼もしさをひしひしと感じさせてくれながら「クラスメート」や「バンド」など彼らの重要な物語を辿る楽曲たちが次々と披露された前半。「素晴らしい毎日」における個々のプレイが光るアレンジや、リズムの緩急が生み出すドラマも見事だった。

 前半が終了し、ここで会場の換気のための15分休憩。「僕たちは大将のところでラーメンを食べたいと思います!」と3人はステージから客席の屋台に移動。“いつもの味噌ラーメン”を並んで食べる。なかなかライブ中にラーメンを食べるアーティストの姿を観ることはないけど(笑)、普段の3人の素が垣間見れるKALMAらしいユニークな演出だ。全部食べてから「めっちゃ喉にいい!声出るわー!」と畑山。「ごちそうさまでした!」と3人は大将にお礼を言い、再びステージへ。

 ライブ後半は「イノセント・デイズ」から始まった。いつもの<部屋の明かりを点けたまま>部分でのオーディエンスとのコール&レスポンスはできないけれど、物足りなさなど全く感じさせない!続く「僕たちの唄」では明るいメロディと、斉藤と金田による軽快さの中にもどっしりとした重みも感じさせるリズムが、観る者の気持ちを晴れやかにしてくれた。一転して凄まじい熱量を感じさせたのは「TEEN」。3月の取材時に「大人になりたくないけど、変わりたい。このままの僕で、変わりたい」と、この曲に込めた想いを語ってくれた畑山。しかしメジャーデビューしたこの春に、世界が一変してしまって活動がままならなくなった彼らの行き場のない想いが、今この曲に込められているように感じた。それは観ている側にとっても強く共感できるもので、画面越しから大きなエールを送るような気持ちに。その勢いのまま、続く「blue!!」と「これでいいんだ」で大きな高揚感を生み出し、オーディエンスは目の前にいなくてもKALMAならではの珠玉のメロディを、3人のエネルギーを、しっかりと届けた。もちろん、まだワンマンライブ自体、そんなに経験があるわけではない彼らだから荒削りな部分もあるが、それでも真正面から配信ライブに挑んだ姿勢こそが観る側にとっての勇気や元気になっただろう。「TEEN」でも歌っているように<全部じゃなくていい>んだ、少しずつ進んでいければいいんだという今の時代に必要なメッセージを彼らは見せてくれた。

 アンコールでは7月19日に誕生日を迎えたばかりの金田をサプライズでお祝い。事務所関係者や彼の家族ら、そして斉藤と畑山によるメッセージ動画が流れ、感動している金田はメンバーふたりに「直してもらいたいところ」を言われても素直にうなずいていたのが微笑ましい。ひとしきり盛り上がった後に畑山が「ラスト1曲、新曲をやって終わりにします!」と、まだタイトルも決まっていない新曲が最後に披露された。冒頭の3人のコーラスも印象的なファストなナンバーで、自由な曲の構成に聴いている側が振り回されるようなジェットコースター感覚が面白い。そんな新曲を3人は心から楽しそうに演奏してKALMA初の生配信ライブは幕を閉じた。そして終演と同時に11月頃に新作EPのリリースが予定されていることが発表される。KALMAオリジナルデザインのジョッキグラス付きのスペシャルセットも販売されるので、メンバー全員が今年で20歳を迎えるのを、そのグラスで乾杯してみんなでお祝いしよう!とのこと。ラーメンやサプライズのお祝いも含め、この配信ライブだけでも、KALMAのフレンドリーでやんちゃな魅力が存分に伝わったことだろう。今後の配信ライブでも彼らならではの色んな楽しみ方を提案してくれそうだし、まだしばらくは画面越しかもしれないけれど、変わり続ける3人の今を鮮やかに刻んでいってもらいたい。

【取材・文:上野三樹】
【撮影:はな】

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リリース情報

TEEN TEEN TEEN

TEEN TEEN TEEN

2020年03月04日

ビクターエンタテインメント

01. これでいいんだ
02. 素晴らしい毎日
03. 1分間の君が好き
04. コーラ
05. 雪のまち
06. わがまま
07. TEEN

セットリスト

「へいらっしゃい!あらお客さんご無沙汰だね!元気にしてた?いや~大変な世の中になりましたね~久しぶりに大将の顔見れて嬉しいです!お客さんまた来てくれてありがとね~!今日はたっぷりサービスするよ!それで今日は何にしましょ?じゃあ、いつもの元気が出る系で!へいよっ!」〜配信ワンマンライブ2020夏 in 札幌からお届け〜
2020.7.26

  1. 01.デイズ
  2. 02.くだらん夢
  3. 03.SORA
  4. 04.コーラ
  5. 05.クラスメート
  6. 06.バンド
  7. 07.素晴らしい毎日
  8. 08.イノセント・デイズ
  9. 09.僕たちの唄
  10. 10.TEEN
  11. 11.blue!!
  12. 12.これでいいんだ
  13. 【ENCORE】
  14. EN1.新曲

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