ラッキリ初の配信限定ライブ、話題のサマーチューンで心を通わせた一夜をレポート!
Lucky Kilimanjaro | 2020.08.28
Lucky Kilimanjaroにとって2度目のワンマンライブが無観客配信になるとは、誰が予想しただろうか。5月に組まれていた初の東名阪ツアー「!magination」、渋谷CLUB QUATTROでの追加公演がコロナ禍の影響で開催中止。不安な日々を過ごしているのは世界中のあらゆるミュージシャンや関係者、音楽ファンも同様だが、6月21日に立つはずだったクアトロのステージに、ラッキリは戻ってきた。
8月22日土曜日、夜9時に配信スタート。バンドのライブらしいSEに導かれてメンバーが一人ひとりステージに現れる。熊木幸丸(Vo)が「Lucky Kilimanjaro presents 『DANCE IN DA HOUSE』、楽しんでいきましょう」と告げると、3月にリリースされたアルバム『!magination』のリード曲「Drawing!」でショーが始まった。
音質、画質、カメラワークとも、このまま商品化できるクオリティ。観客がいない分、撮影隊が自由に動けるからアングルにバリエーションがあり、フロアからだと見えない各メンバーの表情や手元の動きもよくわかる。このセッティングの利点をしっかり引き出した好番組になることは、開幕早々に確信できた。
続いておなじみのストリングスからの「風になる」、ドラムとパーカッションのかけあいから始まる「FRESH」、早くも名曲「君が踊り出すのを待ってる」に「新しい靴」、リアリティのある歌詞にドラムンベースを間引いたようなビートが効果的な「光はわたしのなか」と、6曲立て続けに披露。MCはイントロや間奏でごあいさつ的なひと言を配する程度で、ほぼノンストップのダンスバンドらしい構成である。
みんな表情豊かで、ハンドクラッピングも目の前に観客がいるかのような笑顔だ。大瀧真央(Key)、松崎浩二(Gt)、ラミ(Per)はコーラスパート以外でも唱和している。自分たちの曲が大好きで、演奏するのが楽しくて仕方がないという風情はラッキリの大きな魅力だが、それがディテールに至るまで伝わるのは配信ならでは。「光はわたしのなか」の“光”をキーワードにしたドラマチックなライティングも印象的だった。
「今日は無観客の配信限定ライブということで、お客さんが誰もいないなか……」と熊木が話し始めると、ラミが「いるし。心の中に」とまぜっ返して、大瀧がキーボードで事前に仕込んだ歓声と笑い声を披露する。ラッキリのライブのもうひとつの魅力がこの和気藹々とゆるいトークである。
この日の企画はメンバー紹介。ざっと内容をご紹介すると、ラミは自粛期間中の過ごし方(「食って寝てゲームして、NetflixとYouTube見てた」)、イノッチこと山浦聖司(Ba)はあだ名の由来(「高校の友達に『目がV6のイノッチに似てる』と言われたから。いつかお会いしたい」)、柴田昌輝(Dr)はよく見ているボディビルダーのYouTubeチャンネル(めちゃくちゃ追い込んでるから、俺も頑張らなきゃなって気分になります」)、ジーコこと松崎浩二はアイドル(「メンバープラスいろんな人たちが関わったチーム全員の本気が見られるし、青春感もあります」)、大瀧は最近飼い始めた猫のグリちゃん(「家に来る前から楽しみ過ぎて、毎日帰宅して『グリちゃんただいま~』って言ってました」)、熊木も自粛期間中の過ごし方(「料理男子」、ラミに「なんかヤだな。モテようとしてない?」とつっこまれた)。
後半戦はシンセサイザーのイントロを加えた「初恋」でスタート。『!magination』からの「グライダー」は熊木のボーカルが一段とたくましさと色気を増したことを証明する曲だ。大瀧が「家で踊れてる?」と呼びかけての「Burning Friday Night」は全員でステップを揃えるいにしえのファンクバンド的な所作がいい感じで、ここを引きで撮るのはさすがプロ。さらに「春はもうすぐそこ」「エモめの夏」と、歌詞の内容もあってメンバーと視聴者のエモーション共有度が高まっていく。
熊木が「思うようにライブできなくて、僕らも正直『しんみりしちゃうな』みたいなときもあったし、お客さんも楽しみにしてくれてたと思うんですが、こうやって一緒に踊る時間が作れてとてもうれしく思います。本当にありがとうございます」と一礼すると、最後のパートに突入だ。
<どこへいくかを決めたら/それを信じるまでだ>の一節がミディアムテンポで力強く映える「Do Do Do」から再びBPMを上げてダンスタイム。「350ml Galaxy」で景気をつけ、この夜のテーマソングともいうべき「HOUSE」(<ここから出ない>はおうちで一緒にシャウトした人が多かったことでしょう)、さらに「ひとりの夜を抜け」を連打してぐいぐい踊らせる。そして「また皆さんとライブハウスで一緒に踊れることを楽しみにしています」と熊木が語りかけ、ラストナンバーは「太陽」。初めて聴いたとき驚いた<さぁ踊らにゃ損!/踊れや!ほいやっさ!>の真価がわかる、アツい演奏だった。
曲間をなくしてジングル的なSEでどんどん曲をつないでいき、MCも簡潔にまとめて、昨年11月の初ワンマンライブよりもさらに“おどらせる”ことに注力していた感があった。ツアーのセットリストどおりなのか、配信用のアレンジなのか、いずれにしても大成功といえよう。「太陽」の演奏が終わったとき、ライブハウスだったらアンコールの手拍子が起こるところだな……と思ったところで、アーカイブが残るからまた最初から観ればいいと気づいた。
9~11月には5月から延期したツアーを「2020 Dancers」と改めて開催するラッキリ。どんな形になるかはまだわからないが、再会が楽しみになる配信ライブだった。
【取材・文:高岡洋詞】
リリース情報
エモめの夏
2020年07月01日
ドリーミュージック
02.新しい夏を駆けて
<付属DVD収録内容>
Bonus Live映像 2019.11.23.at Shibuya WWW
01.HOUSE
02.新しい靴
リリース情報
太陽
2020年07月08日
ドリーミュージック
02.Deadline Dancer
<付属DVD収録内容>
Bonus Live映像 2019.11.23.at Shibuya WWW
01.FRESH
02.Sweet Supermarket
セットリスト
Lucky Kilimanjaro presents
「DANCE IN DA HOUSE」
2020.08.22@渋谷CLUB QUATTRO
- 01.Drawing!
- 02.風になる
- 03.FRESH
- 04.君が踊り出すのを待ってる
- 05.新しい靴
- 06.光はわたしのなか
- 07.初恋
- 08.グライダー
- 09.Burning Friday Night
- 10.春はもうすぐそこ
- 11.エモめの夏
- 12.Do Do Do
- 13.350ml Galaxy
- 14.HOUSE
- 15.ひとりの夜を抜け
- 16.太陽
お知らせ
Lucky Kilimanjaro presents
TOUR “2020 Dancers”
09/24(木)東京 恵比寿LIQUIDROOM
11/13(金)愛知 名古屋JAMMIN’
11/14(土)大阪 梅田CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。