雨の渋谷を晴れやかに彩った一夜――ヤユヨ初の東名阪ワンマンツアーより、初日・渋谷eggman公演を独占レポート!
ヤユヨ | 2021.04.14
「ヤユヨ初めましてのワンマンツアー2021 ~eggman40周年と共に~」のツアー初日となった東京・渋谷eggman公演。追加公演となった16時からのライブのあと、チケットがソールドアウトした19時スタートの公演が行われた。ソーシャルディスタンスをしっかりと確保した形で満杯となっていたフロア。40年の歴史の中で様々なミュージシャンが立ってきたeggmanのステージで、ヤユヨはどのような演奏を聴かせてくれるのか? 観客の期待が高まっている中、ついに迎えた開演。ぺっぺ(Gt/Cho)、はな(Ba/Cho)、サポートプレイヤーのすーちゃん(Dr/Cho)が、グッズのタオルを両手で広げながら現れたのに続いてリコ(Vo/Gt)も登場。ドラムスティックのカウントを合図に「いい日になりそう」がスタートした。躍動するサウンドを全身で受け止めた観客の胸のときめきが、周囲のムードからまざまざと伝わってきた。スタンドマイクに向かって歌っていたリコであったが、途中からマイクを手にして身体を自由に動かし、ひと際伸び伸びと歌声を響かせる。実に気持ち良さそうな表情を浮かべつつ繰り出されるぺっぺのギターソロも曲に華やかな色合いを添えて、早くもフレッシュな魅力を輝かせたヤユヨであった。
ドラムのビートに合わせて手拍子を始めた観客。「大阪から来ましたヤユヨです。今日はあなたの笑顔を見に来ました!」とリコが言い、2曲目「kimi_no_egao」の演奏が始まると、何処となく明るい光に包まれたかのようなムードを漂わせた会場内。互いに音を交わし合う喜びを表情に溢れ返らせているステージ上の4人の姿が眩しい。骨太なギターリフを軸としつつ、起伏に富んだドラマチックな展開を遂げた「メアリーちゃん」。瑞々しいメロディをじっくりと高鳴らせた「一度きりの夢」。多彩なテイストの曲たちが、序盤から大いにきらめいていた。
「こんなにお客さんがたくさん入ったライブハウスは久しぶりなので、すごく楽しみでした。昨年の春からライブができなくなって」(リコ)。「去年の2月くらいからかな?」(ぺっぺ)――最初のMCタイムで、昨年のことを振り返っていたメンバーたち。思うように動けなかった2020年であったが、彼女たちは自動車の運転免許を取ったのだという。「この前、初めて名古屋まで車で行って。私はその時まだ免許取れてなかったから、このふたり(ぺっぺ、はな)に運転してもらって、高速でタイヤがパンクしました」と、初めての遠征で体験したハプニングをリコが語ったあと、再び演奏へ。新曲「春の街で」は、まさしく春にふさわしい爽やかな曲であった。メロディアスなフレーズを次々繰り出しながら、歌のメロディを鮮やかに浮き彫りにしていたぺっぺ。軽快にステップを踏みたくなるベースラインを奏でていたはな。耳を傾けていると、身も心も自ずとウキウキ沸き立つサウンドであった。
リコがギターを弾きながら歌い始めたあと、はなのベースが加わり、ぺっぺのギター、すーちゃんのドラムもすぐに合流。コーラスのハーモニーがとても心地よかった「君の隣」は、不思議と郷愁を誘う声質の持ち主であるリコの歌の魅力を目一杯に堪能させてくれた。続いて「ユー!」がスタートすると、手にしたタンバリンでリズムを刻みながら歌ったリコ。とても楽しそうな姿に誘われて観客も身体を揺らし始める。そして、すーちゃんのドラムソロを経て「星に願いを」へと突入すると、ますます明るいムードで包まれたフロア。喜びを全身に滲ませて曲を受け止めている人々の姿を眺めながら、メンバーたちは心底嬉しそうな表情を浮かべていた。
「むちゃくちゃ楽しいです。去年の8月に『ヤユヨ』という1stミニアルバムを出して、それのツアーを2020年のうちにやりたいと思っていたんですけど、なかなかできなくて。いろんなみなさんに協力していただいて、実現することができました。みなさんに感謝ですし、来てくださったみなさんにも感謝です。今、雨降ってる? 私、来るとき、めっちゃ降ってて、スーツケースとかギターのケースがびしょ濡れになったんやけど(笑)。みなさんが無事なら良かったです。私たちのライブで楽しんでいただけたらなあと思ってます。残りの時間も一生懸命頑張りますので、楽しんで帰ってください」と語り、エレキギターを弾きながら歌い始めたリコ。ほかのメンバーの演奏も加わって、バンドアンサンブルを鮮やかに開花させた「七月」は、生々しいサウンドが冴え渡っていた。そして、リコがマイクを両手で包みながら祈るように歌声を響かせた「前夜前夜」を経て、「さよなら前夜」がスタート。ダイナミックな演奏に刺激されて、観客が打ち鳴らす手拍子も力強さをどんどん増していく。リコと一緒に歌っているぺっぺ、はな、すーちゃんも心底楽しそう。リコがブルースハープを吹き鳴らす場面も交えながら、本編のラストを大いに盛り上げてくれた。
鳴り止まない手拍子に応えて、ステージに戻ってきた4人。そして、「もう終わるの? すごく早く感じた。寂しいけど、また会える気がします。また絶対に会いましょう!」とリコが観客に呼びかけてからアンコールで披露されたのは「今度会ったら」。メンバーたちの演奏と、フロアから湧き起こる手拍子が一体となっていく様は、同じ空間を共有しながら音楽を体感するライブの醍醐味を、じっくりと噛み締めさせてくれた。あの至福のひとときは、ヤユヨと観客の間で交わし合う再会の約束となっていた。
こうして終演を迎えた「ヤユヨ初めましてのワンマンツアー2021 ~eggman40周年と共に~」の初日。ヤユヨの地元は大阪なので、ライブを初めて観る人もいたはずだが、様々な曲が届けられるごとに、会場全体が穏やかな昂揚感で包まれていた。昨年の8月にミニアルバムをリリースして以降、ヤユヨの名前は着々と全国の音楽ファンの間に広がっている。今後の彼女たちの活動にも要注目だ。
【取材・文:田中大】
【撮影:酒井ダイスケ】
リリース情報
THE ORDINARY LIFE
2021年06月16日
TALTO / murffin discs
リリース情報
君の隣
2020年11月27日
TALTO / murffin discs
リリース情報
ヤユヨ
2020年06月10日
TALTO / murffin discs
(CD) 2020年8月5日
01.kimi_no_egao
02.いい日になりそう
03.メアリーちゃん
04.今度会ったら
05.さよなら前夜
06.七月
<CDのみ>
07.ユー! (acoustic ver.)
08.さよなら前夜 (acoustic ver.)
セットリスト
ヤユヨ初めましてのワンマンツアー2021 〜eggman40周年と共に〜
2021.03.28@渋谷eggman
- 01.いい日になりそう
- 02.kimi_no_egao
- 03.メアリーちゃん
- 04.一度きりの夢
- 05.春の街で(新曲)
- 06.君の隣
- 07.ユー!
- 08.星に願いを
- 09.七月
- 10.前夜前夜
- 11.さよなら前夜 【ENCORE】
- EN1.今度会ったら
お知らせ
GIGANTIC TOWN MEETING
05/01(土)大阪 梅田エリアのライブハウス4会場
Pangea 10th Anniversary「agartha20210505」
05/05(水・祝)大阪 ライブハウスPangea
w/ myeahns /
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