仙台でバンドを始めたときと同じような感覚で作りました
MONKEY MAJIK | 2011.02.04
仙台に本拠を構えてマイペースな活動を続けるMONKEY MAJIKが、6枚目となるフルアルバム『westview』をリリースする。ギリシャのサントリー二島と日本でレコーディングされ、イギリスでマスタリングされたこのアルバムは、MONKEY MAJIK本来のテイストである良質な"洋楽フレーバー"に満ちあふれている。ナチュラルなサウンドの中に10年のキャリアを基にした深みが自然とにじみ出る。同時に、ひとつひとつの曲にMONKEY MAJIKらしいリアリティと遊び心が息づいている。アルバム収録のメローなバラード「夢の世界」(Bee TVドラマ『パーティーは終わった』主題歌)や、明るいリリックと影のあるメロディが対照的な「Sunshine」(アニメ『ぬらりひょんの孫』オープニングテーマ)など、聴き応え充分。このウェルメイドな新作について、メンバーのBlaise(vo&g)とtax (Dr.)に聞いてみた。
- EMTG : ギリシャでのレコーディングって、珍しいですね。
- Blaise:アルバムを作ろうって言ったときから、ギリシャでやることに決めてて。
- tax:僕たちが仙台でバンドを始めたとき、最初は古い一軒家に一緒に住んで、それぞれが仕事から帰ってきてから曲作りや練習をしてたんですよ。今回、ギリシャのサントリーニ島でみんなでひとつ屋根の下で、手の空いてる人が食事を作ったりしながら作業してたら、そんな最初の頃の自分たちと重なるところがたくさんありましたね。
- Blaise:島があまりに美しくて、毎朝、景色からすごくたくさんのインスピレーションをもらって、コントロールできなくなりそうだった。だから、クールダウンするためにプールに入ったり。
- EMTG : ただ泳ぎたかっただけじゃないの?(笑)
- Blaise:(笑)。
- tax:仙台ではBlaiseが作った曲をメールで送ってもらって、それぞれに作業を進めるんだけど、サントリーニ島ではテラスでBlaiseがギターを弾いて曲を作ると、すぐ僕が歌詞を付けたりしてましたね。それも昔の雰囲気と重なったことのひとつかな。ただ、そんな曲作りをしながら、あの島にしかないパワーがあるっていうことを、すごく感じましたね。
- EMTG : ちなみに「夢の世界」はギリシャで作ったんですか?
- tax:日本で作っていった曲もあったけど、「夢の世界」はギリシャで作った。もらった台本に何回も目を通して、「面白い話だね」ってみんなで話し合いながら、BlaiseとMaynardがメロディを作って。
- Blaise: MONKEY MAJIKはコンピュータの打ち込みの音を使うことが多いけど、「夢の世界」は最後まで生音でいってる。だからひとつひとつの楽器を録るときも、マイクの置き方にすごく注意を払ったり、部屋の響きを大事にしながら録った。ナチュラルでピュアなサウンドになってるでしょ。
- EMTG : いい音だよね。そして、この歌に込めたメッセージは?
- tax:人それぞれに思い描く"夢"って、その人の持っている喜怒哀楽によって違ってくると思う。たとえば、単に幸せっていっても、幸せ過ぎるのが怖くなってしまう人もいたりする。そのサジ加減が大事。日常に照らし合わせて、喜怒哀楽をコントロールすることが大切だと思ってます。
- Blaise:未来って夢でしょ。みんなが夢見れば、それが明日になる。うーん、日本語でなんて言えばいいのかな・・・「明日のリアリティは、今日の夢」。
- EMTG : おっ、それ、いい言葉だ。
- Blaise:なんかいいこと言った、僕?(笑)。
- tax:言った、言った(笑)。
- EMTG : あはは。
- Blaise:この前、東京国立博物館で「夢の世界」のPVを撮ったんだけど、いい仕上がりになってるよ。
- EMTG : 楽しみにしてます。そして「Sunshine」も面白い曲だと思った。
- Blaise:ハッピーな歌詞にハッピーなメロディの曲があってもいいけど、これはハッピーな歌詞に、悲しいメロディが合わさっている。不思議な感じでしょ。スマッシュ&ブレイク、それがうまくいった。言ってみれば、いい意味での"アソビソング"だね。この前ね、僕のお父さんの好きな曲を集めたプライベート・アルバムを作ってあげたとき、チャーリー・チャップリンの「スマイル」っていう曲の"暗いバージョン"を作ったんだけど、お父さんは「これ、ちょっと暗いなあ」と言いながら、うれしそうだったよ(笑)。 「夢の世界」は、それに似ているところがあるかも。
- EMTG : それは面白いね。
- tax:「"緊張と緩和"の間に笑いがある」ってお笑いの人が言ってたけど、本当にそうだと思う。 「Sunshine」を聴きながら、悲しいメロディになんでハッピーな歌詞が付いているんだろうって考えてる間に、何か新しい発見をしてくれるとうれしいですね。
- EMTG : 他にも、いい曲がたくさん入っている。「Disco Girl」は新鮮なロックだった。
- Blaise: ライブで楽しめそうな曲を作ろうっていって、ダンスビートにストレートなロックを乗せてみた。曲も面白いけど、テーマも面白いんだよ。
- EMTG : 「Wonderland」はアコースティック・ギターのリズムが楽しい。
- Blaise:レゲエはみんな好きだよね。これはアルバムの"ブレイク・ソング"。ちょっとひと休みっていう曲。
- EMTG : 最後の「HALO」は、じっくり聴けるバラードだね。
- tax:いかにも、映画の最後に流れてきそうな曲でしょ。
- EMTG : そうだね。ところで"HALO"って何ですか?
- tax:"後光"、神様の頭上に出る光のこと。
- EMTG : そうなんだ。Blaiseさんは"HALO"が出ます?
- Blaise:ときどき出ますよ(笑)。
- EMTG : 見たいなあ(笑)。そして、インディーズ時代に『eastview』というアルバムをリリースしています が、それと今回のアルバムとの関連は?
- tax:実は関連は、あんまりないんです。
- EMTG : ありゃりゃ、質問、外しちゃった(笑)。
- tax:すみません(笑)。でも、『eastview』を2005年に出して、今回『westview』は 2010年に作ったので、5年に一度、『northview』と『southview』と、あと2枚作れるなって、みんなで話してます。
- EMTG : あはは、じゃ、スウェーデンとかニュージーランドでレコーディングするんですか?(笑)
- tax:かも(笑)。
- EMTG : では今後についてひと言。
- tax:3月にはこれまで作ってきたデモテイクなどを集めた『RARE TRACKS』が出ます。MONKEY MAJIKは去年、10周年だったから、今年で11年目に入るんですけど、これからも自分たちも楽しめて、聴いてくれる人も楽しめる音楽を届けていきたいと思ってます。
- EMTG : Blaiseさんは?
- Blaise:5月まで、ヒゲを伸ばしたいです。
- EMTG : (笑)ありがとうございました。
【 取材・文:平山雄一 】
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