現音楽シーンに於いて“ひとつ抜け出した存在” を明示したMONKEY MAJIKの名ミディアム・バラード

MONKEY MAJIK | 2013.02.25

 凛としたピアノのイントロから始まる「If」は、MONKEY MAJIKが現在の音楽シーンの中で“ひとつ抜け出した存在” であることをひしひしと感じさせるミディアム・バラードだ。透明な感情に哀しみと希望を込めた♪あなたへとつづく ひとすじの光 明日を照らして やがて朝が来る♪というフレーズが鮮やかに印象に残る。仙台を拠点として活動してきたMONKEY MAJIKが、震災後もますますホームに対する愛情を深めていることが伝わってくる感動的な新曲となっている。
 昨年暮れにリリースしたシングル「A Christmas Song」で、MONKEY MAJIKは念願の小田和正とのコラボを果たした。そこで受けた刺激が彼らの旺盛な創作意欲と結びついて、新たな名曲「If」が誕生したと思われる。そんなMONKEY MAJIKのボーカル&ギターのMaynardと、ベースのDICKに、今のバンドの状況と「If」の制作過程について聞いてみた。

EMTG:「If」を聴いて、やはり震災への思いが色濃く残っている感じがしました。
Maynard:そう受け取ってもらってもいいんですけど、僕らは曲やアルバムを作るとき、あらかじめテーマを設けたりはしないんですよ。「こういう曲がいいよね」って、自然体で作る。当たり前のこととして音楽を作っている。ただ、そういう日常の中から生まれるからこそ、自分たちの仙台での生活に関わる何かが、音楽に表われることはあると思います。
EMTG:そうですね。取り立てて震災を思わせる言葉は出てこないけれど、何かを感じました。
Maynard:「If」は(ドラムの) taxが歌詞を書こうとしていたときに、震災によって家族全員が亡くなった友人と話したことを思い出して。彼は僕らと同じくらいの年齢でこの歌はある意味、彼のために書いたっていう深い部分があります。
EMTG:僕は2011年に発表された震災に関わる歌の中で、MONKEY MAJIKの「Headlight」がいちばん感動しました。
Maynard:ありがとうございます。ただ、僕らが今、どんな歌を発表しても、みんな「Headlight」のような “震災の歌”として受け取られてしまう。それは仕方ないことだけど…。
DICK:もっといろんな捉え方をしてほしいと思う部分もあって。
Maynard: 「If」の裏テーマは、もっとユニバーサルなもので、単純に「身近な人を大事にする」ってことだったりするんですよね。
EMTG:震災のことも含めて、もっと広いスタンスの歌なんですね。
Maynard:そう。リアリティを大事に作って歌っているから、震災のことも含めての“リアルな歌”なんです。
EMTG:「Headlight」が内面的な歌だとしたら、「If」 はもっと外側を向いているようにも感じました。
Maynard: そう、「If」は“幸せ”を求めている歌でもあるんですよ。
EMTG:たとえばそうした方向性が音にも表われていて、イントロのピアノのサウンドが明るくて深いエコーに包まれていたりしますね。
Maynard:メロディからサウンドが生まれるんです。メロディを活かすためには、どんなサウンドがいいかをまず考える。それでも、あれだけレゾナンス(共鳴)やディレイ(反響)を残しているのは、MONKEY MAJIKでは珍しいかも。
DICK:ボーカルも、広い場所で一人 で歌っている感じで。
Maynard:デヴィッド・バーン(ニューヨークを代表するニューウェイヴ・バンド“トーキング・ヘッズ”のリーダー)があるインタビューで「音楽のジャンルは、どこで聴くかによって変化する」って言ってた。たとえばジャズのサウンドはジャズクラブみたいな場所で聴いている感じになるし、モータウンみたいなスタジオで作られたポップスは、 狭い部屋の音になる。スタジアムでライブをやるようなバンドは、広々とした感じのエコーを使うし、インディーズのバンドはライブハウスみたいな響きのないガチガチの音になる。今回の「If」は、森や谷の中みたいな広い場所で聴かせたいと思っていたので、自分もそういう所で歌っているイメージのサウンドになったんだと思います。
EMTG:サウンド面でも「If」は、「Headlight」 と比べると明るさを感じます。震災後、本当にいろいろなことがあったけど、今はもう“振り返る”ことができるようになったんですか?
Maynard:いやいや、まだ全然ですね。
DICK:その意味では、2年経っても僕らの言う事は変わらないし、あの出来事はこの先もずっと忘れてほしくないです。
Maynard:震災の直後は、生きていくのが精一杯で、音楽を作ることもできなかったし、作りたくもなかった。それこそ自分たちも被災したので、『SEND愛』プロジェクトで具体的な支援をすることしかできなかった。でもその中でステージに立って歌ってみたら、音楽がちょっとは役に立つのかなと思えた。そこから、「音楽活動に戻るなら戻ろう」って思えて。
DICK:”僕らにとってリアルなホームタウンである仙台をなんとかしよう”という気持ちがいちばんでしたからね。
Maynard:だから『SEND愛』をやっていなかったら、音楽を止めていたかもしれないです。
EMTG:MONKEY MAJIKにとっては、長い時間をかけて支援していくことのひとつに、音楽があるんですね。そして昨年、「A Christmas Song」で、小田和正さんとのコラボがついに実現しましたね。
Maynard:小田さんは、「初めて見つけた先輩!」っていう感じです。僕たちはずっと”先輩になってほしい”と、勝手に思ってたんですけどね(笑)。MONKEY MAJIKは以前、三味線の吉田兄弟やm-flo、SEAMOとコラボしたことがあったんですけど、6年ぶりのコラボになりました。
EMTG:久々のコラボは、どんな風に進んだんですか?
Maynard:まず、”小田さんが歌ってくれたらな…”と思いながら「A Christmas Song」を作って。それで、実際に歌っていただいたら、”やっぱ、こうなるん だ!”と思った。その時点で素晴らしい出来だったんですけど、僕らとしてはもっと歌ってほしかった。でも小田さんが、「That`s enough! もう充分でしょ。これ以上歌うとコラボじゃなくなる」って言ってやめたんです。そうなんですよ、そこがちょうどいいバランスだった。「さすが小田さん!」って思いましたね(笑)。
DICK:メロディに乗った日本語に、 まったく違和感を感じない。そんな風に歌えるのは、世界に小田さんだけでしょうね。
Maynard:リズムの中で、ちゃんと聴こえる正しい日本語の歌です(笑)。 すごくいい経験になりました。
EMTG:今回の「If」にその経験は反映されていますか?
Maynard:「ここが!」とは言えないですけど、もちろんどこかにあるでしょうね。
EMTG:MONKEY MAJIKの今後の予定は?
Maynard:もう1枚シングルを出して、その後はまだ言えないのですが…。楽しみにしていてください!
EMTG:ありがとうございました。

【取材・文 平山雄一】

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If

If

2013年02月27日

binyl records

1. If
2. The Apprentice

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チーズカード

カナダ名物料理で凄くおいしいものがあって。フレンチフライにチーズにソースをかけたものなんですけど、それに使っていたチーズを調べたんで す。「チーズカード」というものらしく、日本ではなかなか手に入らないもので残念だなと。みなさんもカナダに行ったら、是非その「チーズカー ド」を食べてみてください。

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