情熱だけではなく、焦りも迷いも表現できたleccaのニューアルバム

lecca | 2011.03.07

大ヒットしたダンサブルな前作アルバム『パワーバタフライ』から一転、ニューアルバム『箱舟~ballads in me~』はバラードを大きくフィーチャーした作品だ。

切ない気持ちがあふれ出す最新シングル「マタイツカ」をリードトラックに、R&Bテイストのバラード「credit」や、leccaと同世代のリスナーには切実に響く「past is」、三浦大知をフィーチャーして最高の切れ味を発揮する「First Sight」、独特のライトなレゲエのリズムが印象的なタイトル・トラック「箱舟」まで、6曲とは思えないバリエーションをもって“leccaの現在形”を伝えてくれる。

サウンド・メイキングに、リリック・ライティングに個性を全開にする彼女に、新作についてインタビューしてみた。


lecca:毎年、夏にアルバムを出していて、私のパブリック・イメージは“熱くて強くてダンス系”になってるんじゃないかな。去年のアルバム『パワーバタフライ』もダンス系の曲が多かったんだけど、それを6月に作り終えた時点で、「次はバラードをやりたい」と思ったんです。で、10月以降、このミニアルバムに向けて曲を書き始めたんですよ。
EMTG:だとすると、曲を書くペースはかなり速いのかな?
lecca:速いと思います。1ヵ月に4曲は平気。実質は1日1曲書けます。
EMTG:ってことは・・・
lecca:1ヵ月に休みが4日ぐらいだから(笑)。ただ6月の時点では、アルバムのイメージはまだ漠然としてた。なので『箱舟~ballads in me~』には、ここ3、4ヵ月の感情が素直に入ってます。
EMTG:聴かせてもらってまず感じたのは、“歌詞の情報量”が多い。分かりやすく言うと、全体に歌詞が長い!(笑)。
lecca:そう、説明が多いタイプなんです(笑)。音楽で最初に感銘を受けたのはR&Bで、そのジャンルの歌詞は美しくまとまってるタイプだった。でも、実際に自分が話すときには“口語”だなと思ってた。そんなときに曲作りを教えてくれた師匠と呼べるような人と出会って、彼の理想の音楽は、「話してる言葉に、メロディとリズムが付く」っていうものだった。私もだんだんそうなっていったんですよ。っていっても、今回はバラード・アルバムのせいもあって、いつもよりは歌詞が少ないと思うんですけど、多かったですか?(笑)
EMTG:ちょっと多いと感じました(笑)。
lecca:そういう感じで歌詞を書くから、普段しゃべっていることが、何でも歌にできるようになった。たとえば“男女雇用均等法”とか歌いたいなと思ってます。
EMTG:それは面白い!まず、「マタイツカ」の歌詞について聞きたいんだけど、なぜ表記がカタカナなんですか?実際に、カタカナとして歌ってるように聴こえる。
lecca:「またいつかねー」ってよく友達に言う言葉ですよね。でも今回、この言葉を発しているとき、また会えるとは信じていない。会えたらいいなっていう祈りを込めている。それでカタカナなんです。
EMTG:もう会えない人に言う“マタイツカ”なんだ。
lecca:私にとっては別れの、死別の歌。でもどんな別れだとしても、その人に会う最後の時に届けたいことを伝えたいと思って書きました。少しファンタジーが入ってる。大事な人との最後の別れのとき、その人に見せたい自分になれるように頑張るっていう祈りです。だから最後の言葉として“ありがとう”って歌ってる。
EMTG:そういう“マタイツカ”って、あるよね。一方で三浦大知くんとやってる「First Sight」もよかった。バック・サウンドを削るだけ削って、シャープなダンス・チューンになってる。
lecca:この曲に関してはR&B特有のダンスや歌の余白を残したかったので、トラックの音数を少なくしてみました。その方がかっこいいし。ただ、日本のリスナーに、そういうスタイルは届きにくい。でも、やってみたいなと思いながら、大知くんと歌うことを想像しながら書いた。そうしたら、本当に一緒にやることになって嬉しかったです。彼とはボーカルスクールが同じで、当時小学生だった大知くんは、すでにプロだった(笑)。「最初に燃え上がる情熱は簡単だけど、色あせたあとどう維持するのかの方が重要だ」っていうことを一緒に表現してくれて、よかったです。
EMTG:PVでの大知くんはの振り付けも凄かった。踊りにちゃんと意味がある。
lecca:もう歌入れのときから、大知くんは体が勝手に踊っていて。PVの話なんて、まだ全然出ていないのに(笑)。彼とはPVの監督が同じで、その方に撮ってもらって、情熱だけじゃなくて、焦りも迷いも表現できてよかったと思います。
EMTG:そしてタイトル曲の「箱舟」は?
lecca:バラード集とはいっても、ダンス系の「First Sight」もあったりして、様々な6曲。ただ「あれもこれも、全部自分って胸を張って言い切れる作品になりました。
EMTG:最後に、今後、考えていることは?
lecca:『箱舟~ballads in me~』のカウンターで、次はバラードじゃないことをやりたいな(笑)。
EMTG:あはは、ありがとうございました(笑)。

【 取材・文:平山雄一 】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル lecca

関連記事

ビデオコメント

リリース情報

箱舟~ballads in me~

箱舟~ballads in me~

2011年03月09日

cutting edge

1. マタイツカ
2. ELDORADO
3. credit
4. past is
5. First Sight feat.三浦大知
6. 箱舟

このアルバムを購入

INFORMATION

■リリース情報

lecca初のLIVE DVD同時リリース!!

『lecca LIVE TOUR 2010"パワーバタフライ"』
[2枚組DVD]
2011年3月9日(水)発売
¥4,200(tax in)
CTBR-92072?3

昨年発売したアルバム「パワーバタフライ」をひっさげたツアーのLIVE DVDをリリース!!大ヒット曲「For You」を始めとして、「Dear」、「なみだの日」、「I wish」、「紅空」も含め、総収録時間3時間超えのボリューム満点のBEST盤的LIVE DVD!!

詳細はこちら!!

トップに戻る