lecca、自分が目指す頂点へストイックに突き進む8thアルバム『TOP JUNCTION』

lecca | 2013.12.06

 この夏のイベントでも引っ張りだこだったleccaの、約1年ぶりとなるアルバム『TOP JUNCTION』が完成した。ロック・テイストを取り入れたり、RHYMESTERやTEEとのコラボレーション曲があったりと、これまで以上にポジティブでアグレッシブな楽曲が展開されており、常にチャレンジを続けている彼女ならではの、前向きな作品になっている。もはや「レゲエシンガー」の枠を超えて、自由に音楽シーンを謳歌するleccaに、そのエネルギーの源にあるモノを聞いた。

EMTG:ニュー・アルバムには、テーマのようなものはあったのですか?
lecca:いつもそうなんですけど、このアルバムはこうするぞと決めて曲を書くというよりも、書いて書いてたまった曲を、最終的にアルバムにするために選曲して集めていって、最後にアルバム・タイトルを決めていくという流れです。前作『ZOOLANDER』とはだいぶ毛色が違うといいますか、ソリッドな作品ってディレクターさんは言ってくれたんですけど、自分にとっての原点回帰というか、あらためて好きなことをやらせていただいた作品になりましたね。ロック・アルバムだねって言ってくださる人もいて、これをロックと取るか、レゲエと取るか、アングラと取るかは、聴く人のバックグラウンドによっても取り方が違うんだろうなって思います。ただ、ロックにしても、レゲエにしても、ヒップ・ホップにしても、自分が好きな音楽の良さっていうのは、既存のものでは満足しない反逆の精神というか、そういうところが熱いなと私は思っていて、私は曲を書いていると、どうしてもそういう反骨精神が芽生えてきてしまうんですけど(笑)、今回はそういう色があらためて強くなった1枚なのかなとは思います。
EMTG:そういった、“原点回帰”に向かったのには、何か理由はあったのでしょうか?
lecca:以前から、レゲエの枠にとらわれず、レゲエ・フェスだけじゃなくて、いろいろなフェスに出たいという気持ちがあって、それでここ2、3年は、いろいろなロック・フェスとかに出させていただいたんですけど、実際に出たロック・フェスは、お客さんがたくさん来てくれて、面白くて、熱くて、素晴らしい場所だったんです。でもそれが逆に悔しかったんですね。「なんでレゲエやヒップ・ホップでこれができないの?」って。やっぱりロックには、裾野の広さとか、歴史の深さというか、ものすごく素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、ファンもたくさんいらっしゃるんだろうけど、ヒップ・ホップ、レゲエ・ミュージック、ダンスホールなども、一過性にしかならない魅力のものだとは思っていないし、そういった音楽を聴いて育った私たちの世代の熱い気持ちも、きっとまだまだ何かを発生させられるはずだし、日本語でこの音楽でできることはまだまだあるはずだ、もっと伝わるはずだという、自分に対する叱咤激励じゃないですけど、そういう気持ちを込めて作りました。
EMTG:アルバム・タイトルには、どんな思いが込められているのですか?
lecca:最後の「JUNCTION」という曲ができたときに、アルバム・タイトルとして、『LOVE JUNCTION』とか、『LIFE JUNCTION』とか、『BEST JUNCTION』とか、いろいろな「JUNCTION」を思い浮かべてみたんですけど、このアルバムで表現している、自分の背中を押す感じというか、自分でもう一度自分の理想を見つける、自分の夢をもう一回見直す感じっていうのが、すごくストイックだなって思ったし、「Sky is the Limit」に代表される、このアルバムの攻めの姿勢といいますか、自分が思う最高の自分とか、自分が目指すTOPに向かって、ここでもう一回自分に気合いを入れる、自分にとってのTOPと向き合うという意味で、『TOP JUNCTION』というタイトルにしました。
EMTG:全体の歌詞のイメージとしては、現状打破というか、現状に満足せずに、より高みに向かっていくことに対する決意や不安、といったイメージのものが多いかなと感じました。
lecca:『ZOOLANDER』は、楽しいことをイメージして、人をハッピーにしたいという思いで歌詞を書いたので、楽しい内容のものが多いんですけど、今回は、自分の中から出てきたものをそのまま書いたらこうなったというか、いわば「ザ・私」みたいな作品です(笑)。インディースから、メジャー3作目くらいまでは、こういう毛色のアルバムだったから、現状打破というよりは、むしろ原点回帰ですね。今に限らず、10年前も今も、私、ずーっとこういうことを考えているんです(笑)。
EMTG:今回、RHYMESTERやTEEさんがゲストとして参加していますね。
lecca:RHYMESTERに関しては、ツアー・スタッフとか映像スタッフとかが重なってて、いろいろな話を聞くんです。RHYMESTERは、私たちの世代からするとカッコいいスターなんですけど、彼らの話を聞けば聞くほど、今も闘い続けているんですね。だから人の心を打つような歌詞がかけるんだと思うし、自分たちの言っていることと乖離しない生き方ができているんだなと思って、絶対いつか一緒にやりたいと思っていたのが、今回実現しました。宇多丸さんには、普段こういうシンプルすぎるテーマの曲とかはやらないんだけど、leccaと一緒だったらやってみたいって言っていただきました。正直あんなに韻を踏んでくるとは思っていなかったんですけど(笑)、それであれだけ説得力があるのはすごいですね。Mummy-Dさんは、トラックに対しても意見をくださって、ちょっと変則的なバースとかは、Mummy-Dさんのアイディアです。一方TEEくんは、すごくジャマイカン・フレーバーを持っている人だなって思ったので、そういった楽曲がやりたいなって思っていたんですけど、彼はバラードなら逆にJ-POPマナーのトラックで作ってみたいということで、「Back to U」という曲ができました。
EMTG:今回の楽曲の中で、自分にとってチャレンジだった、というような曲はありますか?
lecca:トラックの面では「RUNWAY」と「to be continued」はすごくロックな曲で、今までこういう曲はやってこなかったんですけど、こだわらずに、肩の力を抜いて、この曲にとっていちばんいい形でやってみようと思ってやってみたところ、結果的にすごく気持ちのいい曲になりました。これはロック・フェスに出させていただいたというバックグラウンドがあっての曲ですね。歌詞の面では「JUNCTION」は、あるファンの方からいただいたファンレターが元になっているんですけど、彼女は暗いトンネルをずっと歩いているようで、どうしたら光が見えるかもわからないという感覚の中で、私の曲を聴いて、同じことを感じていて、でもそこから光を見出してがんばっている人がいるということを知って、好きになってくれたみたいで、「最近のleccaさんの曲は明るすぎます」とも書いてあったんですけど(笑)、どこまで進んでも霧が晴れなくて、光が見えなくて、どん詰まり感を感じていたときの気持ちを歌にすることが、確かにここ1-2年少なくなっていたと思ったので、そういうことを、今、もう一回書いてみようという気持ちで書きました。
EMTG:ではこのアルバムを通じて、リスナーの人に伝えたい思いのようなものはありますか?
lecca:「Sky is the Limit」で言っていることでもあるんですけど、自分が向かいたい目標って、自分にしか設定できないと思うんですよ。それなのに、人や環境に左右させてしまうのって、おかしいと思うんですね。自分がどうなりたいか、自分がどこまで行きたいのかということを、ゼロからもう一回抱き直すということは、すごく大事だなって思います。このアルバムを聴いてもらって、自分が思う最高の自分とか、理想に近づいていくための第一歩、JUNCTIONにしてもらえたらいいなと思います。今度のツアーも、見に来てくれた人が、自分のベストとかTOPとかを目指していくためのJUNCTIONを、その日に設定できるような内容にしたいなって考えています。

【取材・文:熊谷美広】

tag一覧 アルバム 女性ボーカル lecca

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リリース情報

TOP JUNCTION(CD+DVD)

TOP JUNCTION(CD+DVD)

2013年12月11日

cutting edge

[DISC 1]
1. RUNWAY
2. Sky is the Limit feat.RHYMESTER
3. BLANK
4. ヤマトナデシコ
5. あいあん・はあと
6. to be continued
7. 恋初め
8. MOVE
9. SOLA
10. Back to U feat.TEE
11. 100年の明日
12. 霧が晴れるまで
13. JUNCTION

[DVD]
・ Sky is the Limit feat.RHYMESTER(MUSIC CLIP)
・ SOLA (MUSIC CLIP)
・ 楽曲解説
・ OFF SHOT

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お知らせ

■ライブ情報

lecca LIVE TOUR 2014 “Top junction”
2014/03/02(日)宮城・Rensa
2014/03/07(金)北海道・Zepp Sapporo
2014/03/14(金)愛知・Zepp Nagoya
2014/03/16(日)福岡・Zepp Fukuoka
2014/03/20(木)大阪・Zepp Namba
2014/03/22(土)岡山・CRAZYMAMA KINGDOM
2014/03/26(水)東京・Zepp Tokyo

Music To Live 2013 ~RAMPAGE 9th Anniversary Party~
2013/12/08(日)広島 CLUB QUATTRO

天空ノ夜会
2013/12/12(木)JRタワー展望室T38

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DANCE ENTERTAIMENT PARTY WORLD WIDE
-2014-DANCECOLLECTION WINTER-

2014/01/18(土)東京ドームシティホール

Billboard LIVE OSAKA「音楽ノチカラ」SPECIAL LIVE Vol.5
“lecca プレミアムライブ”

2014/01/20(月)BillBoard Live OSAKA

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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