新しい要素や楽曲もあるが、結局彼らは彼ら。GOING UNDER GROUNDのニューアルバム

GOING UNDER GROUND | 2011.04.27

EMTG:09年4月の日比谷野外大音楽堂のライブで、ゴーイングが5人から4人になりましたが、そのステージで今後、4人でやるという決意は見せてましたよね。
松本:別に解散とか、活動休止とかは思わなくて、やるでしょうって。解散したくないっていうのもあったし。そのあと、ソロとバンドを並行してやっていったけど、バンドとして、どうしていいかわからなかったっていうのはありましたね。
EMTG:そこから脱するのに、どうしていったんですか?
松本:ライブですね。バンドって自分のアイデンティティだから、それがないと揺らいじゃうし、ライブをやってないとバンドが再生しないなと思ったから。それをやっていく2年間でしたね。
EMTG:そんな中、ヒダカトオルさん(元BEAT CRUSADERS/現MONOBRIGHT)との出会いもあり、「LISTEN TO THE STEREO!!」が生まれて…。
松本:ダカさんは、ソロでお願いしてたんですけど、バンドもやってほしいと。あのとき、バンドの状態が、どう考えてもおかしかったから、ダカさんのところに行ったんです。別に音楽的な話はしなくて、バンドとして活力を取り戻したいんですっていう、本質的な話をして。腹を割って話したら了承してもらって、じゃあやろうって。
EMTG:「LISTEN TO THE STEREO!!」は、鍵盤のアプローチも違うし、サウンドも変化した感じがしたんですが、ヒダカさんはどういうプロデュースを?
松本:ダカさんは、俺たちの場合、基本的に俺たちにやらすって感じでしたね。自分たちがアガるものを作るのが一番良いんじゃない?って。そこをどうやっていいかわからないんですけど…っていうのもあったんだけど(笑)、何で音楽やっているかを突き詰めたら、楽しいからっていうのしかないんですよね。人にメッセージを伝えたいとか、実はなくて。基本的にGOING UNDER GROUNDっていう集合体は、バンドとして機能するしかないから、その喜びを自分たちが受ける、そのために曲を書く。本当に初期衝動に近いかもしれないんですけどね。
EMTG:それはまさに「LONG WAY TO GO」のPVみたいな感じですね。自分たちが、純粋に音楽を楽しんでる少年の頃の姿。
松本:そうですね。あれが核の部分。その本質がないと曲は生まれないってことを肌身に感じた。本当ぐるぐるぐるぐる考えてたから、どういう風にそこに戻ったのかわからないんですけどね(笑)。
EMTG:そうしてアルバムも完成しましたが、まずはタイトルが『稲川くん』ってインパクトがすごい。
松本:「稲川くん」っていう曲がレコーディング中にできたんですよね。まだ完成はしてないんですけど、自分たちにとって、すごく大きな曲というか。これがゴーイングがずっと歌いたかったことで、本質的なことを全部含んでるなって思ったんですよ。稲川くんって、俺の小学校のときのクラスメイトの名前なんだけど、お父さんがいなくて、お母さんと2人暮らしで、バカにされたりしてたんです。10才くらいで、人間のグロテスクな部分なんて見なくていいのに、それすら受け入れて、前向きに、底抜けに明るいそいつの生きている様が、美しいなって思ったんですよね。それで、この曲ができたときに、俺たちがこれからもずっと歌っていきたいのってこういうことだ、俺たちはもう歌しかないなって思って。俺たちが何でバンドやってるかっていうところを再確認できた曲だったので、それをタイトルにしたんです。
EMTG:ゴーイングって青春を歌ってたイメージがあるんですけど、このアルバムを聴いて、青春を振り返って歌ってる感じがしたんですよね。
松本:多分そういうことだと思いますね。今回、出来上がった歌詞をチェックしているとき、<僕ら>っていう単語がほとんどないなって思ったんですよね。それは意識してたわけじゃなくて、自然に消えていったという。これは後付けの解釈だけど、「LONG WAY TO GO」を録ってるときに「稲川くん」もできたんですよ。自分の少年性とか、若かった頃のことが、この曲で、フラッシュバックしてきたとき、“戻らないな、時間は”って思った。でもバンドずっとやりてぇなって。そこで、今までのこととは決別したのかもしれないって思いましたね。そこがポイントになってるというか。
EMTG:そういう歌詞面の変化もあり、サウンド面も、ピアノロックっぽい曲が多いですね。
松本:今回はシンセっていうより、ピアノが重要だったかも。洋一さんがそこまで弾けなかったっていうのもあるし、今回は(サポートの方が)弾けるからガシガシ行ってくださいみたいなのはあった。あとはこねくり回すのが面白くなくなっちゃったんですよね。シンプルにやるのが合っているというか。あえてシンセを外そうというのもないし、単純にポンってやれって言われたときにできる感じがカッコ良いなって。
EMTG:個人的には「ベットタウンズ チャイム」がすごく良い曲だなって。リフが良い!
松本:ダカさんと(アルバムで)2曲録ろうってなってたけど、1曲しかなかったんですよ。だから、1時間待っててくださいって、スタジオでセッションして、無の状態から作った曲です。リフはナカザが急に弾いたんですよね。ポリフェニック・スプリーの「Light and day」とかかな、そういうのを聴いてて、ユニゾンでみんなでやることがアガるよねって。それがタガさんとの共通言語にもなってて、それでオーオー言ってるんですよね。サビでユニゾンで歌うっていうのはこれまでなかったけど、今回そういう曲が多い。それだけでも変わった感じがあるかな。
EMTG:全部通して聴いてみて、新しいゴーイングではあるし、これまでにない感じの曲もたくさんあるんだけど、やっぱりゴーイングだったなって思いました。
松本:同じですね。あとは人に対してどう思ってもらおうっていうところがなかったというのが俺たちの中ででかくて…。音楽をする動機として、リスナーがいるから作るように、どうしてもなっていくんだけど、それは違うって思ってたから。自分が作りたい、歌いたいことを歌うっていう。結果、やっぱりゴーイングだったって言ってくれる人もいれば、新たに好きになってくれる人もいる。そういう意見をもらうと、そういう風に響いてて良かったなって思えますね。

【 取材・文:塚越淳一 】

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ビデオコメント

リリース情報

稲川くん

稲川くん

2011年04月27日

ポニーキャニオン

1. Merry Christmas Mr.INAGAWA
2. 名もなき夢~煩悩青年とワーキングママ~
3. LISTEN TO THE STEREO!!
4. 所帯持ちのロードムービー
5. RAW LIFE
6. ジョニーさん
7. ベッドタウンズ チャイム
8. さよなら僕のハックルベリー
9. 詩人にラブソングを
10. LONG WAY TO GO

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INFORMATION

■ライブ情報

♪10th Anniversary Tour 2011
「Rollin’ Rollin’」追加公演

◆2011年5月4日(水・祝)
日比谷野外大音楽堂
[問]FLIP SIDE
03-3466-1100

♪10th Anniversary Tour 2011
「Rollin’ Rollin’」vol.2
~emotional song session

◆2011年6月11日(土)
名古屋CLUB QUATTRO

◆2011年6月12日(日)
大阪 Music Club JANUS

◆2011年6月26日(日)
札幌KRAPS HALL

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