今まで以上に、”人に聴いてもらう”との意識が強まった、plentyのニューE.P.

plenty | 2011.05.23

plentyの魅力を改めて確信させてくれる2nd ep。透明感に満ちた歌声、精緻に紡ぎ出されるメロディ、繊細さと熱いエモーションをダイナミックに行き来する演奏・・・・・・表現力豊かなサウンドが、心に深く焼き付く。そして、ドキリとさせられるフレーズに満ちた歌詞が、感情移入を激しく煽る。耳を傾けていると聴覚だけでなく、皮膚感覚までもが震えるような気がする1枚だ。江沼郁弥(Vo&G)、新田紀彰(B)、吉岡紘希(Dr)に、今作について語ってもらった。


EMTG:今回の3曲って一貫性がありますね。「どこかに向かっているつもりだったけど、結局どこへ向かっているか分からない。辿り着く場所が実際にあるのかすら分からない。そして、やっぱり自分は孤独なんだ」というような想いが伝わってきたんですけど。
江沼郁弥:たしかに、どれも「孤独」がテーマになっていますね。でも、意図してそうなったというわけでもなく。今までの総括って言うのか、身につけたテクニックが出ている3曲だと思います。描きたいことをそのまま吐露するのではなく、「人に聴いてもらうものを作るんだ」っていう技法であったり、テンションが合わさっていると思います。成長したと勝手に自分たちでは思ってますけど(笑)。
EMTG:前作って、1曲毎に主人公を立てて書いていたじゃないですか。今回はそういうやり方でもなかったんですね。
江沼郁弥:そうですね。曲の持っているDNAみたいなものを大事にする作り方でした。曲を作っていて自然と出てきた仮歌っぽいものから連想する作り方。「この音って○×△っていう言葉に聞こえるな」とか当てていくような。
吉岡紘希:今回の曲は景色のイメージがすごく強く伝わってきました。だから、プレイに関してはその景色がきれいに見えてくるようなものを心がけていましたね。
新田紀彰:曲の持っているものに寄れないと、どんなフレーズを付けても何かが違うんですよ。
江沼郁弥:3人で曲自体が持っているグルーブを活かすようなことをやっているというか。でも、それはすごく難しいんですけど。
EMTG:plentyの曲って、1曲の中で景色がすごくきれいに移り変わったり、醸し出される温度みたいなものも変化するじゃないですか。そこがすごく気持ちいいしカッコいい。例えば「待ち合わせの途中」のイントロは緊張感のある冷たい空気だけど、本編に入ると一気にすがすがしい温かい空気に変化する感触がありました。
江沼郁弥:そこの部分、気に入ってます(笑)。
EMTG:肌で気配みたいなものを感じる音楽とでも言うか。
江沼郁弥:そういう風に聴けるものであることは、自分たちも大事だと思っていますので。みんなでワーイ!って盛り上がる音楽の良さももちろんありますけど、僕らはこうなりますね。
EMTG:plentyのライブでの、お客さんが静まり返って聴き入っている独特な光景は、こういう音楽だからですよ。
江沼郁弥:「どれだけシーンとさせられるか?」っていう闘いになっています(笑)。初めて観たお客さんは「人気ないのかな?」とか思うかもしれないけど、心配しないで欲しい(笑)。plentyのライブってバンドとお客さんの1対1なんですよね。だから「別に騒がなくていい」って感じになる。
EMTG:お客さんは歌詞も相当噛み締めて聴いていると思うんです。
江沼郁弥:だから歌詞を間違えると、みんな一斉に顔を上げるんですよ。それまでは下を向いて聴いていたのに。責任を感じる瞬間です(笑)。
EMTG:(笑)今回の歌詞はどんなことを考えて書きました?
江沼郁弥:例えば「待ち合わせの途中」について言うと、「待ち合わせ」って言っているけど、誰も待っていないかもしれないんですよね。でも、誰も待っていないかもしれないからといって、全然動かない方が良くないんじゃないかと。
もし自分がどこか深くに潜っているのだとしても、それに意味があるのだったら希望がある。そう思えばいくらでも進んでいける。そんなことを思って書きました。
EMTG:「明るい/暗い」のどっちか一方に寄るわけではない、独特の質感のポジティヴさがありますね。
江沼郁弥:普通に生きていても、楽しいことだけじゃないじゃないですか。光と陰って同居していて、それぞれの比重が変わるだけ。どっちかがなくなるわけではない。だから希望がある曲でも陰をゼロにはしたくないんです。
EMTG:「待ち合わせの途中」とか、「終わりのない何処かへ」とか、「空が笑ってる」で描いていることって、すごくリアルに感情移入できます。実際、自分の目標とか辿り着きたい場所が具体的に分かっているって人って、なかなかいないと思いますから。
江沼郁弥:光があって、それに近づいて行っても、いつの間にか今度は光が自分の後ろにある。影が自分の目の前に伸びていて、逆側に進んでいることに気づく。だから今度は戻ってみる・・・・・・っていうようなことって、よくあると思うんです。だから答えとかゴールって、あってないようなもの。結局、今言ったみたいな往復を繰り返していくこと自体が答えなんじゃないかなと。
そして、孤独とか闇はずっとなくなるものではない。そういう前向きな諦めというか。なくなるものじゃないから、引きずって一緒に連れて行くっていう。自分自身もそういうことを思う時期だったんです。
EMTG:音楽活動も、まさにこういうものですよね。デビューしたり、チャート1位になることがゴールじゃないだろうし。
新田紀彰:「バンドとしての目標は?」とか訊かれても、具体的には答えようがないですからね。
吉岡紘希:「ホールツアーをやってみたい」とかは言えるけど、それをやった先にまた次の目標が出てくるはずですから。
江沼郁弥:多分、やり続けることが夢であり、目標なんだと思う。
EMTG:それってミュージシャンに限らず、いろんな人に言えることだと思います。例えば「素敵な結婚をする!」って女の子が夢を抱いても、結婚式がゴールにはならないじゃないですか。その先も結婚生活が続いていくわけだから。
江沼郁弥:そうですよね。この曲たちが、それぞれの解釈でみんなのものになれば良いなあと思っています。
EMTG:ところで、今回のジャケット、なんかすごく気になるんですけど。
江沼郁弥:風と空と緑を連想させるものを象徴的に一つにしたかったんです。今回の3曲がそういうものだったので。
EMTG:このCD、お店に並んだらインパクトありますよ。
吉岡紘希:上向きの矢印がブワーって並ぶんでしょうね。
江沼郁弥:その様子を写メで撮りたい。見ていると元気になれそう(笑)。
EMTG:そして、6月からはツアーですね。
吉岡紘希:いつもより長い時間やれるので、1本1本集中してやっていこうと思っています。
新田紀彰:自分らが納得できるライブをしたら、お客さんも喜んでくれるんじゃないかと。
江沼郁弥:大分押しつけな発言だな(笑)。
新田紀彰:まあ、楽しんで頂けるように(笑)。
EMTG:生れて初めて観に行くライブが今回のツアーのplentyって人もいるはずですよ。
江沼郁弥:もしそういう人がいたら、その後の成長が気になります(笑)。

【取材・文:田中 大】

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ビデオコメント

リリース情報

2nd ep「待ち合わせの途中/終わりない何処かへ/空が笑ってる 」

2nd ep「待ち合わせの途中/終わりない何処かへ/空が笑ってる 」

2011年05月25日

headphone music label

1. 待ち合わせの途中
2. 終わりない何処かへ
3. 空が笑ってる

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●江沼郁弥
スタンリー・キューブリック

最近、映画の『シャイニング』を見て、すごい怖かったんで。映像がすごく計算されて作られてるような気がして、画像検索でキューブリックの映画の画像を見てました

●新田紀彰
iPhone4

昨日(取材日は5月上旬)iPhone4を買ったんで、使い方とかいろいろ見ようかと。で、結果、全然わからなかったです。

●吉岡紘希
ジェームス・ギャドソン

(新田紀彰に)このドラマーがやべえよって言われたんで調べてみたんですけど、マジでやばかったです。なんか、神って感じですね。


■ライブ情報

♪plenty ワンマンツアー
"君との距離のはかりかた"

◆06月04日(土)
  仙台darwin
[問] キョードー東北
022-217-7788

◆06月05日(日)
  新潟Live Hall GOLDEN PIGS RED STAGE
[問] キョードー北陸チケットセンター
025-245-5100

◆06月08日(水)
  [問] 長崎DRUM Be-7
キョードー西日本
092-714-0159

◆06月09日(木)
  熊本DRUM Be-9 V2
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆06月11日(土)
  福岡DRUM Be-1
[問]キョードー西日本
092-714-0159

◆06月12日(日)
  広島Cave-Be
[問]夢番地(広島)
082-249-3571

◆06月18日(土) 
名古屋ElectricLadyLand
[問]SUNDAY FOLK PROMOTION
052-320-9100

◆06月19日(日) 大阪BIGCAT
[問]キョードーインフォメーション
06-7732-8888

◆06月24日(金) 東京SHIBUYA-AX
[問]ディスクガレージ
03-5436-9600


※6月以降のスケジュールは、
オフィシャルサイトをご覧ください。

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