これまでとこれからの自身を見事に体現したストレイテナーのニューアルバム

ストレイテナー | 2011.08.02

 1月のセルフカバー+新曲から成るアルバム『STOUT』を皮切りに、4月に「VANDALISM/SILLY PARADE」、7月に「YOU and I/羊の群れは丘を登る」と、今年に入り、バンド史上稀に見るリリースラッシュを展開してきたストレイテナー。その結実とも言える、自身の名を冠にしたニューアルバム『STRAIGHTENER』が届けられた。
 まさにそのタイトルを体現したかのような今作は、収録各曲に彼らがこれまで発表してきた6枚のアルバムいずれかに収めてきた要素とテナー節、そして、時代毎で見せてきた自らのスタイルを擁しながらも、しっかりと今の、そして、これからの彼らをも感じさせてくれる1枚となっている。

 自らも「最高傑作で自信作!」と言い切る今作について、ボーカル&ギターのホリエアツシと、ギターの大山純がインタビューに答えてくれた。
 まずは、「その日に出来上がったぱかり」という今作の本製品をいただき、早速それを開けながら...。

EMTG : 早速、中身を開けさせてもらいます。
ホリエ : どうぞ、どうぞ。実は僕たちも実物を見たのが今日が初めてで。実際、まだ中身までは見ていないんですよ。
EMTG : では、是非ご一緒に(笑)。
ホリエ:今回、初めてのデジパック仕様なんで、自分たちでも出来あがりが非常に楽しみだったんですよ。以前からやってみたかったんです、デジパックって。あと、今回はブックレット内の歌詞も僕の手書きだったりするし。
EMTG : それは、歌詞も心を込めて書いているから、キチンと読んで欲しいから、とか?
ホリエ:それももちろんだけど、今回は手作り感を出したかったというのが大きいかな。ジャケットをデザインした(ドラムのナカヤマ)シンペイから、「今回は手書きにしよう」と案が出て。
EMTG : 全体的にハンドメイド感に溢れてますもんね。今回はその念願のパッケージも含め、タイトルに自身のバンド名を冠したりと、かなり勝負感が伺えますが。
ホリエ:まさに勝負の1枚です。それなりの内容に仕上がった自信もあるし。
EMTG : その勝負感は、今年に入ってのこのアルバムまでの作品のリリースラッシュにも現れてます。
ホリエ:オリジナル・アルバムとしては約1年半ぶりですけど、このアルバムへの布石は、今年の1月リリースのセルフカバー+新曲のアルバム『STOUT』の制作時から、<ストレイテナーの歴史を語るアルバムを作ろう!>的に始まってますから。で、それを実際に語ったのが『STOUT』で、今回の『STRAIGHTENER』は、結成から今までの自分たちの要素を、現在の自分たちなりに昇華し、体現した作品って感じですね。
大山:『STOUT』に関しては、過去の自分たちの曲へのリスペクトや、以前から"こんなカッコイイ曲を演っていたんだ"と、自身で再確認する良い機会になったし。それを経たが故に今回、自分たちの歴史を新曲で語るような内容になった気はします。『STOUT』で一度、4人全員の意志のスリ合わせが出来、それを踏まえて今作の制作に挑めたというか。
EMTG : それを聞くと、その2作の間に出た2枚のシングルの意味合いも理解できます。”今回のアルバムの両極の幅をそれぞれのシングルで見せていたんだな”って。
ホリエ:そうですね。肉体的な部分と実験的な部分の両極をそれぞれで表してますから。
大山:ニューアルバムの方も、各曲調としては、同じバンドとは思えないぐらいの幅があると思うんですけど、どれも今までの6枚のオリジナル・アルバムのどこかに存在していてもおかしくない曲ばかりだし。これまでのストレイテナー節が、見事に全部入った作品になった感はありますね。
EMTG : 確かに「プレアデス」や「プロローグ」のような初期を彷佛させる衝動的な曲も収まっている反面、少ないコード感でジワジワと景色を広げていく曲、実験的な曲と、その時代毎のテナーの特性や特徴を、あえて今のテナー流に昇華させたものばかりですもんね。
ホリエ:曲を作るって面でも、何か一つ越えられた気はします。自分が目指していた良いと思えるものの更に上を行くことが出来たというか。新しいサウンドも取り入れ、それをも凌駕して、キチンとストレイテナーというバンドとして鳴らせた自信はあります。
EMTG : ちなみに当初から、今作みたいな着地点を目標にアルバム制作を?
ホリエ:漠然とですが、最初は<初期のストレートでエモーショナルな感じ>がキーワードとして、シンペイから出て。(ベースの日向)ひなっちは、<熱のやり取りのどん欲さを楽曲に収めたい>って。大人になっていくと普通は自然体に向かうじゃないですか。それを<あえて汗をかきに行く作品を作ろう>、みたいな(笑)。
大山:俺は残念ながら初期の熱さはリアルタイムで参加していたわけではないので、逆に”あえてこの4人で演るんだゾ!><熱量を持った作品を出したい>的な決意はありましたね。
ホリエ:ライヴ感を伴ったラフでパワフルさを持った一発録りで挑んだ『STOUT』の熱量を活かしつつ、キチンと構築面や作り込み面での良さや今まで積み重ねてきた経験を上手く出せればいいなと。なので通例、バラードに落ち着き勝ちな曲も、あえて速い方面に持っていったし。
EMTG : そう言えば今作には、今までの作品には必ずといっていいほど入っていた、バラードやピアノ曲が1曲も無い。
ホリエ:そう。鍵盤の曲やバラードが無いというのが今作の特徴で。今回は鍵盤向きの曲が浮かんで来なかったこともあ るけど、バラードは意図的に入れませんでした。おかげで、より<8ビートで突っ走れ感>が出、ギュッとコンパクトに濃縮されたと思う。
大山:シンペイにいたっては、「バラードを捨てれば売れるって言っていたプロデューサーが居たよ」なんて言ってたし(笑)。
ホリエ:あと、冗談で、「”早めにサビをもって来た方が売れる”って言ってた」とも言ってた(笑)。まっ、僕らの場合、大概がAメロ→Bメロときてもサビに行かず、もう一度イントロに戻るパターンが多いですから。というのも、俺らAメロ、Bメロにもメッチャ自信があるので。
EMTG : テナーの場合、その展開が故のテナー節や、サビに来た時の起爆力を有しているのも特徴ですもんね。
大山:自分たち的にはそれでいいんですが、売る側としては、どうなんかなぁ(笑)?
EMTG : もしや、今回は今まで以上に”売りたい!!”との意識が強かったり?
ホリエ:強いですね。売りたいし、ロックというジャンルの中でのストレイテナーではなく、全ての音楽のフィールドの中で、”これがストレイテナーという音楽だ!”を知らしめたい。それぐらいの気概を持って作ったし。それが故に、今まで以上に、歌にも真剣に向き合ったし、音もまた然りで。
大山:今回はコーラスを活かすアレンジや、ハーモニーやメロディを活かすギターを今まで以上にかなり意識しましたよ。
ホリエ:考えたら、前作アルバムではハモってもいませんでしたから(笑)。歌のゴージャス感は今回かなり上がってますよ。曲によりフックやキャッチ?さを求めたところもあるし。” 今回は自己満足は捨てよう”が最初からありましたからね。
EMTG : それに伴って、歌詞もより幅広い人が受け入れられる要素が増えた感も。
ホリエ:無くしてしまったものや過ぎてしまったもの、終わったものに対しての思いの強さが過去の歌詞には強く表れていたんですが、今回は今までの世界観はそのままに、<次や、これから先に向かっていくが故に、捨てるものや壊すことが必要だ>といった具合に、前に向かう意識の現れが、歌詞の一つの傾向としてあるかな。
EMTG : このアルバムを引っ提げての9月からの全国ツアーへの意気込みを聞かせて下さい。
ホリエ:途中でヤメたくなるぐらい、1本1本エネルギーや熱量のこもったライヴを展開していくので、是非それを体感しに来て下さい。とにかくアクセルべた踏みで挑みますんで(笑)。
大山:恐いなぁ(笑)。今回は自分が楽しみたいのはもちろん、その気持ちを全力で来てくれたお客さんに返したいなと。フルアクセルなライヴになるでしょうが、全身で伝え切ります!
EMTG : 最後に今作の聞きどころを教えて下さい。
大山:今作は今の自分たち自身で、それこそ名刺代わりの作品になったので、隅から隅まで是非聴いてもらいたいです。
ホリエ:どのバンドにもマネの出来ない面白い作品になった自負があります。このタイトルをつけたのも、理屈がないのが一つのストレイテナーのメインの道だということに気づき、その辺りを今作でシッカリ表わせたからなので、その辺りも含め、是非多くの人に聴いて欲しいですね。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル ストレイテナー

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リリース情報

STRAIGHTENER

STRAIGHTENER

2011年08月03日

EMIミュージックジャパン

1. A LONG WAY TO NOWHERE
2. プレアデス
3. VANDALISM -Prototype-
4. KINGMAKER
5. YOU and I
6. LEAP IN THE DARK
7. 氷の国の白夜
8. SILLY PARADE
9. CRY
10. プロローグ
11. 羊の群れは丘を登る
12. VANISH -Prototype-

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大山
モーモールルギャバン

「俺、しょっちゅう検索してるんですけど。最近はやっぱりモーモールルギャバンかな。先日のNANO MUGEN FES.で共演した際に、ドラム&ボーカルのゲイリーから声を掛けられて知ったんですけど、彼、俺が高校の頃に作った軽音楽部の2年後輩だったらしいんです。おそらく俺がギターを教えたこともあったような...。スゲエ頑張ってるし、最近は名前もよく聞くんで、どんなバンドか調べてみたんです。結果は、"たしか高校の頃はこんなヤツじゃなかったのに..."でした(笑)。

ホリエ
焼き鳥

「食べ物系が多いんですけど(笑)。中でも「街の名前+焼き鳥」ってパターンは多いかな。ツアー先のみならず、東京に居る時にでも、例えば、どこかで飲もうとすると、その前に、行く街の焼き鳥屋を検索しちゃいますね。そこで評価や評判を見て、どの店に入るかを決めることも多くて。あと、今後はレバ刺し等が食べられなくなる懸念があるので、今、その辺りも若干心配気味です(笑)」


■ライブ情報

♪LONG WAY TO NOWHERE TOUR
◆開始日:2011年9月22日(木)~

※ツアーの詳細はオフィシャルサイトをご確認下さい

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