フロアからの大合唱が聞こえる。噂の恋愛至上主義バンド・THEラブ人間、初の全国流通EP盤をリリース!!
THEラブ人間 | 2011.08.26
歌手&ギターの金田康平、キーボードのツネ・モリサワ、バイオリンの谷崎航大、ベースのおかもとえみ、ドラムスの服部ケンジの5人から成るTHEラブ人間。自ら「恋愛至上主義」を掲げ、血まみれの恋愛と青春の焦げ臭さを、キチンと目を見つめながら、胸ぐらをつかむが如く、歌い、伝えてきた音楽集団だ。
自身の日常を顧み、えぐり出すような、不器用で、怠惰で、気だるく、それでいて熱いものを秘めている若者像を、鬼気迫る歌と情景や背景を演出するダイナミズム感たっぷりの演奏で描写。日々ファンを増やしてきた。
そんな彼らが、初の全国流通EP盤「これはもう青春じゃないか」にてメジャーデビューした。まるで、全曲がフロアアンセムとして、聴く者自身の歌と成りえる楽曲ばかりを擁した今作は、どの曲も「これはもう青春じゃないか」と開き直り、"ほら、これって、かつてのお前や今のアナタだろう?"と突きつけてくる歌ばかり。
そんなEPについてを、彼らの結成から現在までの流れやスタンスも交え、歌手&ギターの金田に色々と聞いてみた。
- EMTG : 最近は<自分たちの歌がみんなの歌に変わってきている>という自覚も芽生えてきたんじゃないですか?
- 金田 : 最初は違和感がありましたけど、最近はじんわりと入ってきましたね。ライヴでみんなが一緒に歌ってくれることにより、曲がもう自分だけのものじゃなく、聴き手の中で育ち始めたんだなって。この前のDJイベントで自分たちの歌がかかりフロアの大合唱を見た時なんて、それこそ涙ものでしたよ。
- EMTG :自分の歌がフロアアンセムになって感激、みたいな?
- 金田 : ですね。それこそ自分も学生の頃、ロックのクラブで大好きな曲がかかった時に、思わず一緒に歌っていたのと近い情景がそこで繰り広げられたわけですから。それはもう感動ものでした。”これが自分の曲がみんなの曲に変わる瞬間か!?”と。それこそラブ人間を始める前なんて、”俺の歌を勝手に歌うんじゃねぇ!!”とさえ思ってましたから(笑)。
- EMTG : それは?
- 金田 : 今思うと、その頃はまだ自分のことをさらけ出せなかったんでしょうね。自分のことを100%歌うから、向こうも自分の歌として返してくるわけで。それまでは結局、誰でもない誰かのことを歌ってただけだったんだなって。
- EMTG : ちょっとさかのぼるんですが、まずはラブ人間の結成の経緯から教えて下さい。
- 金田 : きっかけはキーボードのツネですね。僕がハードコアバンドを演っていて、ツネもイケメンバンドを演っていて(笑)。それらの解散がほぼ同時期で。僕は当初、バックバンドでもつけて1人で歌おうと思っていたんです。その方が気楽だし。そんな中、ツネととりあえず一緒にスタジオに入ることにしたんです。だけど、それがめちゃくちゃヘタで。しかしながらアイツ、とても良い顔で弾いたんです。その顔に惹かれ、「一緒に演ろう」と(笑)。もう、その晩にバイオリンの谷崎に「お前も演ろうゼ」と声をかけてましたから(笑)。
- EMTG :みなさんのアクセントの一つとしてバイオリンがありますが、その際から今のサウンドの構想が。
- 金田 : いや、特に何も(笑)。誘った理由も、同じ匂いの人種だったから程度のことで(笑)。お客さんがほとんどいない時でも、”常に俺たちは最高に良いライヴを演っている!!”と自負して演ってましたからね、お互い。なので、”バイオリンを絶対に入れたい!!”というよりは、”アイツと一緒にやったら面白そうだ”程度。今も自分たち的には、バイオリンは特別な楽器ではなく、むしろもう一本のギターのような感覚ですね。
- EMTG : かなりソロを弾きまくり、情景をブワッと抒情的に広げていくギターだ(笑)。女性ベースのエミさん(オカモト)は、やはりバンドとして女性の歌声やコーラスが欲しかったから?
- 金田 : いや、でもなくて。当初は男性のベーシストがいたんです。で、彼が抜け、<女の子で歌えて、泣かない子>との条件で、ツネの高校時代の先輩、ROCK’A’TRENCHのベースの河原崎さんから紹介を受け、入ってもらったんです。だけど彼女が入って、楽曲的にも歌世界的にも、ライヴ的にもかなりマイルドになったなって。彼女が入って全方向に広がったし。
- EMTG : 確かドラムのケンジ君も2代目のドラマーですよね?
- 金田 : そう。ヤツが入ってもうすぐ10ヵ月かな。彼が入った当初はライヴの数もムチャクチャ多く、且つ勢いもあったんで、そこに途中からでついてこれるか?と。しかし結果、しっかりついてきた上に、更に俺たちの音楽性を広げてくれましたから。いやー、彼も他に色々とバンドに誘われており、倍率も高かったんですが、なんとか口説き落しました(笑)。
- EMTG : で、今の盤石な布陣になったと。それにしてもラブ人間は、メンバー各人のステージでの役割のバランスが良いですよね。
- 金田 : いやー、このメンバーが集まったのは奇跡ですよ。どれも外せないし、今のラブ人間は成立しない。プレイしている楽曲はみんな一緒なはずなのに、それぞれ違った表情でプレイしてますからね。いやー、不気味ですよ(笑)。みんな一方行に向いているんだけど、それぞれに込めている感情が違っていて。だからこそ、聴き手によって、色々な取り方が出来るのかな、とも思います。
- EMTG : やはり金田君的にも、ラブ人間になって歌詞や歌に変化が見られたり?
- 金田 :主人公がより自身になったかなって。今や私小説やエッセイに近い。まぁ、さらけ出し過ぎて生活にも支障が出てるけど(笑)、それすら歌にしてますから。もう、歌になりさえすればプライベートなんてなくてもいいんです(笑)。
- EMTG : ラブ人間の歌は、素直や正直どころか、それを更にえぐった人間の本質を歌ってますからね。
- 金田 : 実は僕、生活している時、いつでもキンキンに緊張しているんです。常に集中力を切らさない。街を歩いていても何も見逃したくないし、基本、感受性や感性、本能に興味がないというか。いわば、「Don’t Feel Think」って感じ。考えて、考えて、考えを重ねたものに本質を見出すタイプなんです。その緊張感がマックスになった時に、歌詞と曲が生まれ、ライヴでそれが昇華されていく。あと、やっぱり震災以降、歌詞も変わったかな。今回のEPで言うと、「抱きしめて」以降、変わった。それまではどこか変わることを拒み続けていたところがあったけど、今は変わることが楽しくて。「抱きしめて」を書いたのは、ちょうど3/10で。その時に、それまで思ったことのなかった、”長生きしたい!!”と思えるようになったんです。で、それを予見するかの如く次の日に震災が来て。そこからはより奇をてらわなくなって、ネイキッドになってきましたね。M-4の「西武鉄道999」にしても、大かたの歌詞は22歳の時に出来ていたけど、Cメロの「死ぬときに「嫌だ」って言えるように」って部分は、震災以降に浮かんできましたから。
- EMTG : 今回のEPの5曲は、どの曲も珠玉ですね。
- 金田 : もう意識的には、どの曲もシングル表題曲です。実は、M-1の「これはもう青春じゃないか」と、アルバムタイトルの『これはもう青春じゃないか』は、ちょっと違っていて。今回の5曲は、どれも、「これはもう青春じゃないか」と開き直って言える5曲かなと(笑)。恥ずかしいことや、おちゃらけて、<青春>の一言で片付けられる、そんな楽曲ばかりなんです。なので、<青春>をキーワードに、「これはもう青春じゃないか」と言い放てる曲ばかりを厳選したのが今作とも言える。
- EMTG : だけど、ラブ人間の歌って、基本他のどの歌もそんな主人公ばかりですよね(笑)。そうそう、タイトル曲の「これはもう青春じゃないか」は発売前から既に会場で大合唱されていたのも印象的でした。
- 金田 : 嬉しい反面、不思議な感じはしますけど、自分的には、1回目のサビが終わって、2回目のサビでは既に歌えるようになっているのが特徴かなと。実はこれはバージョン9なんです。それまで作った8パターンは、どれもちょっと沈んだ感じで。このバージョンだけ非常に明るく出来たんです。だけど、この歌詞で、このサウンドやメロディの方が、アンバランスだけど凄く合っていて。暗いことをあえて明るく歌う、その路線で作ってみたんです。おかげさまで自分たちの中でもかなりポップな面が表れました。
- EMTG : まさに今作は、青春の表も裏も歌ってますよね。
- 金田 : 俺からすると青春なんてちっとも甘酸っぱくも美しくもないですから(笑)。周りで<美しい青春>なんて過ごしているヤツ見たことないし(笑)。もし、いたとしたら「お前たちの青春は間違っている」と言ってやりたい(笑)。まっ、あちら側からは、「完全に俺の青春の方が間違ってる」と言われるんでしょうが(笑)。
- EMTG : そして、8/25からは、このEPを引っ提げて「炸裂する思春期ツアー ライブハウス編」が展開されるわけですが。
- 金田 : 突き抜けた、ネクストステージでのライヴを展開しますよ。これから何戦、何勝出来るか分かりませんが、ラウンドを重ね、勝ち続け、負け続け、お客さんと一緒に楽曲を育て、育くみ、最終的に完全に昇華まで持っていきますから。楽しみにしていて下さい。
【 取材・文:池田スカオ和宏 】
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林遣都
ベースのエミが友達から、「ラブ人間のボーカルって林遣都に似ているね」と言われたらしく、”どれどれ?”なんて具合に調べたんです。そうしたら全然似てなくて。それこそ、「似てねぇじゃねぇかよ!!」と思わずスマートフォンにつっこんじゃいました (笑)。だって、相手は爽やかJUNONボーイですよ。”どこが似とるんじゃい!!”って(笑)。
これまで、ダウンタウンの松ちゃんや俳優の池内博之、芸人のムーディ勝山に似ているとは言われてきましたが、”おっ、俺もついにJUNONボーイか?”と思って喜んだ結果がこれですから(笑)。あまりの似てなさに、喜ぶどころか、かえって怒っちゃいましたよ (笑)
ライブ情報
「炸裂する思春期ツアー ライブハウス編」
8/31(水)心斎橋CLUB QUATTRO
9/2 (金)南堀江Knave
9/3 (土)大阪城野外音楽堂
9/4 (日)小豆島・直島・鬼が島
9/17(土)LOFT⇔LOFT BAR STAGE⇔MARZ⇔Marble⇔Motion⇔OTO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください