THEラブ人間の、あのライヴでの人気曲が、いよいよニューシングルとして蘇る

THEラブ人間 | 2011.11.24

 今夏、EP「これはもう青春じゃないか」でメジャーデビューした、THEラブ人間。

 同作品を引っ提げて津々浦々で行なってきたライヴでは、これまで以上に多くの人を吸心。まさに「THEラブ人間劇場」とも称すべきライブが各地で展開された。
 そんなライブ中でも、今回のニューシングル「大人と子供?初夏のテーマ」(以下:「大人と子供」)は、かねてよりライヴでは演奏されてきたナンバー。軽やかさや伸びやかさを感じる、ポップで爽やかなサウンドと、キャッチーでフックの多いメロディ、叙情的で情景的、人の心の流れや移り変わり溢れる歌世界は、かねてより人気も高く、今や彼らの代表曲とも言える。
 そんな新曲について、ボーカル&ギターと作詞/作曲担当の金田康平が答えてくれた。
 まずは、ここ最近はライヴにて欠かすことなく歌われてきた、この「大人と子供」が、当インタビュー直近のライヴでは、歌われなかったことが気になり、その辺りから聞いてみた。

EMTG:先日のライヴでは、これまで定番的に織り込んでいた、「大人と子供」を演りませんでしたよね。あれは何か意図でも?
金田:実は僕らのライブのセットリスト(その日の演目とその曲順)って、自分たちの出番の直前、前のバンドがプレイしている辺りで決めることが多いんです。それこそ、その日の会場の雰囲気やお客さんの層や具合、対バンやイベントの趣旨や出番の時間帯等を全て加味してバーッと決めちゃう。そんな中、たまたまあの日は、「大人と子供」ってモードじゃなかったんです。だって僕ら、「砂男」(インディーズ時代にリリースしたライブでの人気曲)を演らない日もありますから。
EMTG:じゃあリハーサルでは?
金田:基本、出音や中音、歌を調整する用の曲があるので、それでいつもやってます。リハーサルを練習に使っているバンドって沢山いるけど、そんなのはアホな話で(笑)。なので、曲間や繋ぎもその時(セットリストを決める時)に伝えますね。そこからメンバー各々がイメトレをして本番に臨むと。だから、僕ら曲は凄く練習するけど、ライヴを想定してのセットリスト通りの練習なんて一切しないですよ。僕らアンコールも決めてないし。アンコールを前提にライヴを演るほど、サムいものはないですからね(笑)。
EMTG:「大人と子供」は今や、みなさんの代表曲の一つとなっていて。"遂にリリースか..."と感慨深いところもあるんです。ポップで非常に覚えやすいし。
金田:まさにその通り!あと、この曲に関しては、今では軽い神話性も出てきちゃってて。
EMTG:神話性というと?
金田:実はこの曲って自分たちで以前、ほんの200枚ぐらい限定で自主制作で出したことがあるんです。ライヴでもよく演っていた常に人気の高い楽曲で。演ればかなり盛り上がっていたんです。だけど、その楽曲人気が増せば増す程、自分的には、この曲を敬遠するようになって。
EMTG:それがけっして嬉しいことではなかったと。
金田:単に素直じゃなかったんでしょう(笑)。ライヴでは他にも色々と曲を演るし、それこそこの曲以降も新曲も沢山演ってきたんだけど、周りからは、この曲の話や感想しか聞こえてこない。その<楽曲が勝手に一人歩きしていく感じ>が一時期、凄くイヤで。あえて封印していたこともあったんです。
EMTG:今では定番曲として必ずと言って良いほどプレイされている印象があるんですが、それは意外な。
金田:この曲には、復活の日があって。それが今年、京都でライヴ演った際だったんです。その時に久しぶりにこの曲をセットリストに入れ、客席に背を向け、この曲のイントロを弾いたんですよ。そうしたら背中越しから凄い期待感と待望感に満ちた歓声が上がって。それが来た時に、“この曲って実はスゲえ曲なんだ...”って、改めて再確認出来たんです。
EMTG:再確認?
金田:そう。というのも、やはりこの曲が出来た当時は、“うわっ、ムチャクチャやばい曲が出来た!!”と思ってましたから。あの時の興奮や感覚が再び蘇ったというか。その、自分のための歌が、いつの間にか一人歩きし、<みんなのための歌にまで昇華したんだ>と気づいた時に、“やはり、この曲をもう一度新録で世に出そう!!”と思ったんです。
EMTG:特に劇的なところがあるわけでも、歌詞で凄く感動させるわけでもないのに、耳や心に残る曲ですもんね。
金田:実はこの曲の主人公は何も成し遂げてないんです。今大切にしているものも、いつかは大切じゃなくなるし、こんな気持ちニ度と手に入らないだろうという気持ちも一瞬にして消えて、またどこかで二度と手に入らない気持ちとして、別のものが出てくることを描いているだけですから。どこか諦念を宿しつつ。
EMTG:その諦念を、あえてポップに仕上げているところがこの曲の特徴ですよね?
金田:その辺りのポップ感は、以前にも増して出せたと思います。前の音源は前ドラマーが叩いてたし。俺がずっと悩んでいたことは、この曲を録り直してなかったら、この主人公はあそこに置いてきぼりだったってところで。
EMTG:それは?
金田:俺は基本、歌の主人公を最終的には救ってあげたいんです。いわゆる曲を絶望で終わらせたくないというか。最後の最後は、曲の根元に、<救われたい><報われたい>というのを表してあげたいんです。だけど、この歌の場合は、この2年間、救うことが出来なくて。とは言え、“どうにかして彼を救ってやりたい”とは常々思ってましたからね。なので、今回再録音するに当たり、悩んだのはその辺りで。彼は初夏なのに今だ凍えたままだから、その彼に毛布一枚掛けてあげられる温かさを与えてあげたかったんです。それでM-2に「レイプ・ミー」を入れたと。この曲を入れることで彼のに救いを与えたかったんです。
EMTG:内容的に、確かに繋がってますもんね。
金田:“全部のことはすべて終わっちゃうもの”と諦め、悟ってるヤツに、「でも、実は永遠の愛ってあるのかもしれませんよ」「君がそれを終わらせたとしても、もう一度、始めからふりだしに戻るだけだよ」と教えてあげるというか。2年前の彼は、終わって再び始まることは知ってても、“それもいつか終わっちゃうよ”と諦念していて。そんな彼に永遠に終わりのない終わりを教えたかったんです。それによって今回、念願だった(笑)、彼を救うことが出来たというか。いわゆる組曲的な繋がりですよね、今回の「大人と子供」と「レイプ・ミー」は。
EMTG:それを以前と歌詞を変えずに伝え、それが充分今でも通用するところが凄い!
金田:操作して美化して描きたくなかったというか。幾らでも今ならではの歌詞に操作も出来たんですけど。俺、恋愛至上主義で曲を書いているんで、これってきっと2年前の自分に怒られると思うんです。“今の俺のこの気持ちは、どうしてくれるんだ!!”って(笑)。なので、あえてそれをそのまま美しくせずに残したと。美化してたまるか!!って(笑)。そうそう。俺、最近、ようやく自分の歌詞の良いところが分かったんです。
EMTG:おっ。
金田:1センテンス、1センテンスの強みが他の方と格が違いますよ、俺は。捨て言葉がないというか。だから、どこ切り取っても、強烈に心に残ってくれると思うんです。特に「レイプ・ミー」の歌詞は手前味噌だけど、かなり秀逸ですから。それこそ国語の教科書に取り上げてもらいたいぐらい(笑)。

【 取材・文:池田スカオ和宏 】

tag一覧 シングル THEラブ人間

ビデオコメント

リリース情報

大人と子供(初夏のテーマ)

大人と子供(初夏のテーマ)

2011年11月23日

ビクターエンタテインメント

ディスク:1
1. 大人と子供(初夏のテーマ)
2. レイプ・ミー
3. 抱きしめて (Live at Shibuya CLUB QUATTRO 2011/07/15)
ディスク:2
1. 砂男 (MUSIC VIDEO)
2. 東京 (MUSIC VIDEO)
3. これはもう青春じゃないか (ライブ映像)
4. 抱きしめて (ライブ映像)
5. 砂男 (ライブ映像)

このアルバムを購入

お知らせ

■マイ検索ワード

●THEラブ人間 金田康平
真木よう子の画像検索

以前から真木よう子が好きで。映画の「モテキ」を観て、“俺はこの人の事が好きなんだ”って再確認したんです。あの冷たそうなところがいいんですよね~。画像検索をかけた上で、その後、ウィキペディアで調べてみたんですけど、思ったより年上なんだなと(笑)。俺、女性では、どちらかと言うと、クールビューティで凛として、揺れない人が好きなんで。いやー、まさにピッタリ。是非いつかお会いしたいです(笑)。

■ライブ情報

THEラブ人間2マン・シリーズ“GOODBYE CITY”
2011.12.08(木)名古屋ROCK’N’ROLL
2011.12.10(土)代官山UNIT
2011.12.17(土)十三ファンダンゴ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください

トップに戻る