アコギでシンプルに日常の凄さを歌いたかった
エレファントカシマシ | 2011.11.18
- EMTG:「ワインディングロード/東京からまんまで宇宙」は、アルバム『悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~』から1年ぶりの新シングルですね。
- 宮本:すごく嬉しいんですよね。現状の自分たちを出して、自分たちが確認する意味もあるんで、ワクワクします。
- EMTG:レコーディングはいつ頃?
- 宮本:曲は1月に作り出していたんですけど、3月に地震があって、4月からツアーやって夏フェスもあって。8月ぐらいにレコーディングしました。
- EMTG:「ワインディングロード」は起伏に富んだ展開で、表情豊かな歌が印象的ですね。
- 宮本:この曲は、歌を歌うって思っていたんで、シンプルにしたかったんですね。歌とアコギが基本にあって。蔦谷君が「ギブソンのいい音のがありますよ」って言うので借りてもらって、自分で弾きました。いい音なんですよ。で、古いマイクで歌を歌った
- EMTG:歌に気持ちが入っていますね。
- 宮本:そう言ってもらえると嬉しいんですけど、気持ちよく歌えたんですよ。これは歌詞を書きながら家で一杯練習してたんです。だからリズムが決まってアコギが録れて、すごく音のいいスタジオで歌が録れて、嬉しかった。やっぱり家でやるより環境がいいんで、ヘッドフォンから聴こえてくる自分の声が良くて(笑)、気分よく歌えるというか。
- EMTG:力強い歌詞ですが、苦労したところや特に伝えたいところはありますか?
- 宮本:曲は1月からあったけど、歌詞はすごい時間かかったんです。「長い道を行く」とか「あんたわかるかい」とか言葉はあったんですけど、どうやって繋げるかで悩んじゃって、時間かかりましたね。「両刃で行くぜ 気をつけな 言うなりゃ愛のかたまりさ」っていうところで自分では盛り上がってるんですよ。あと、「あんたわかるかい?俺の気持ち」とか「長い道を行く」、その3つがキーワード。あほらしいんだけど最終的にはやるんだ!って言う事だと思うんですけ ど。日常のすごさっていうか。普通が素敵なんだけど、なかなかそれが見つけられなくて。だから俺は行くぜって。
- EMTG:曲作り中に震災があったことは何か影響していますか?
- 宮本:多少どころか、凄まじい影響力だったと思います。僕は何でもかんでも、日常のちょっとした事でも影響されるんです。でも人生観が変わったとかそういうことはないですけど。今回の事と一緒に考えちゃ行けないんだけど、僕は今までに「俺は空気だけで感じるのさ 東京はかつて木々と川の地平線」(武蔵野)とか歌って来ていて、「ガストロンジャー」とか「ファイティングマン」も作っていて。過去の名所が、お弁当持って行ったら工場ばっかりだったとか。生きるってそういうことだと。ツアーで水戸のライトハウスというところで、今までにないぐらいのリアクションがあって。水戸もけっこう被災してたから、みんなコンサートとかで叫びたかったりする事に飢えてる。そこでは「OH YEAH!(ココロに花を)」や「悲しみの果て」とか、みんなすごく喜んでくれたんです。いいエネルギーがその空間に流れていたのは事実で、送り手も受け手もストレートに皆が音楽を欲してた。だから素晴らしいツアーになったんですよ
- EMTG:そのエネルギーがレコーディングにも反映したりしたんでしょうか?
- 宮本:それはわかんないですけど、ツアーはホールとライヴハウスと両方やったんですよ。久しぶりだったんでホールが気持ちよくて。音が響くんですよ。密度の濃いライヴハウスとホールと、どちらもいい温度で自分たちで出来たんで、ツアーの後に曲が完成したときは嬉しかったです。
- EMTG:両A面の「東京からまんまで宇宙」は一体感のある演奏でパワフルな曲ですね。
- 宮本:この2曲で1コだなと思ってて。「ワインディングロード」が弾き語りというか基本は歌もので、でもエレファントカシマシはレッド・ツェッペリンが好きだったりするロック・バンドだから、俺はエレキ・ギターも好きだし、なんかそういうのを出せないかなといつも思ってて、この曲が出来たんですよ。すごく嬉しかったです。ギターで始まってトミのドラムが入ってくる。そういうものが出来た時とても嬉しくて。これはあっという間に詞が出来た。思った事をそのままパパッと入れてって、その瞬間だけに発見した、みたいな。その瞬間のエクスタシーというと言葉が凄すぎちゃうんですけど(笑)、嬉しかったですね。
- EMTG:タイトルにもなっている「東京からまんまで宇宙」という部分がインパクトありますね。この言葉も自然に浮かんで来たんですか?
- 宮本:そうなん ですよ。東京から世界へ、真っ直ぐ世界へとまず出来て、東京から宇宙へ。カッコいいなと自分で思えたから、とても嬉しかった。曲調とハマりがよくて。そのままでいいって言うじゃないですか、普段のままで生きる。そういう事かと思います。自分の素直な心に出会うというか。当たり前が美しい。でもそれ以上を望んでしまうんだけど。
- EMTG:レコーディングは楽しく?
- 宮本:ああそうですね。緊張感があるんですが、バンド独特の(笑)。一発録りで、いいドラムが録れて喜んでました。
- EMTG:2枚組DVD『ROCK’N ROLL FES&EVENT LIVE HISTORY 1988-2011』も出ますね。
- 宮本:これはヴォリューム満点なんですけど、前からDVD出したいねという話があって、フェスのがいいんじゃないかという話をしたら皆盛り上がってくれて。それで映像を探してもらって。RCサクセションとストリートスライダーズと一緒に出た23年前のイベントとか。そこでやってた「ファイティングマン」を、一番新しいROCK IN JAPANでもやってるし。僕ら用に撮ってるわけじゃないから、素だったりするし。歴史が長いから表情違うし髪型違うし。そういうことが自分で見てて面白 くなっちゃって。意外に自分じゃよくないと思ってたステージが、客観的に見ると良かったり。当時ぎゃあぎゃあ言ってた割には、みんないい演奏してるなとか、俺は常に迷いの中に居るなとか(笑)。そういう基本的なことに気付きました(笑)。
- EMTG:バンドへの信頼感も増したりします?
- 宮本:それは増すんですよ。でもその時は七転八倒してるから。これからもそうやっていくんでしょうね。でもいいバンドだなと思いました。
【 取材・文:今井智子 】
リリース情報
リリース情報
ROCK’N ROLL BAND FES&EVENT LIVE HISTORY 1988-2011
発売日: 2011年11月16日
価格: ¥ 6,000(本体)+税
レーベル: ユニバーサル シグマ
収録曲
Disc.1
■ガストロンジャー (歴戦のガストロンジャー)
■Soul rescue (ROCK IN JAPAN FES. 2000)
■so many people (ROCK IN JAPAN FES. 2000)
■悲しみの果て (ROCK IN JAPAN FES. 2001)
■四月の風 (ROCK IN JAPAN FES. 2002)
■歴史(前夜) (ROCK IN JAPAN FES. 2003)
■生きている証 (COUNTDOWN JAPAN 03/04)
■友達がいるのさ (ROCK IN JAPAN FES. 2004)
■化ケモノ青年 (COUNTDOWN JAPAN 04/05)
■デーデ (ROCK IN JAPAN FES. 2005)
■やさしさ (COUNTDOWN JAPAN 05/06)
■シグナル (ROCK IN JAPAN FES. 2006)
■花男 (COUNTDOWN JAPAN 06/07)
■俺たちの明日 (ROCK IN JAPAN FES. 2007)
■桜の花、舞い上がる道を (COUNTDOWN JAPAN 07/08)
■笑顔の未来へ (ROCK IN JAPAN FES. 2008)
■絆(きづな) (COUNTDOWN JAPAN 08/09)
■ハロー人生!! (ROCK IN JAPAN FES. 2009)
■ハナウタ~遠い昔からの物語~ (COUNTDOWN JAPAN 09/10)
■風に吹かれて (JAPAN JAM 2010)
■リッスントゥザミュージック (ROCK IN JAPAN FES. 2010)
■COUNTDOWN~今宵の月のように (COUNTDOWN JAPAN 10/11)
■雨あがりの夜空に (JAPAN JAM 2011)
■ファイティングマン (ROCK IN JAPAN FES. 2011)
Disc.2(約125分)
■リハーサル?ファイティングマン (1988.4.10 MUSIC WAVE SPECIAL/汐留PIT)
■デーデ (1988.8.7. Rock’n Roll Olympic‘88 仙台 /スポーツランドSUGO)
■奴隷天国 (1992.12.30 PatiPati TOMATO SPECIAL/渋谷公会堂)
■孤独な旅人*~悲しみの果て* (1996.8.25 GOOD STOCK‘96/札幌芸術の森野外ステージ)
■good-bye-mama*~真夜中のヒーロー*~土手*~旅の途中*~ビリージャー (1999.7.24 LUST FOR LIVE act.2/赤坂BLITZ)
■四月の風* (1999.7.25 MEET THE WORLD BEAT 1999/大阪万博記念公園もみじ川芝生広場)
■何度でも立ち上がれ*~ロック屋(五月雨東京)*~生命賛歌*(2003.8.02 SUMMER SONIC 2003 大阪/WTCオープンエアスタジアム)
■一万回目の旅のはじまり*~友達がいるのさ*~歴史*~どこへ?*~パワー・イン・ザ・ワールド*(2004.8.11 GG04/SHIBUYA-AX)
■さよならパーティー*~悲しみの果て*~男餓鬼道空っ風*~風に吹かれて~俺たちの明日
(2007.8.18 RISING SUN ROCK FES. 2007/石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ)
■笑顔の未来へ*~新しい季節へキミと*
(2008.8.31 SWEET LOVE SHOWER 2008/山中湖交流プラザきらら)
■新しい季節へキミと* (2008.8.23 SOCIETY OF THE CITIZENS 2008/JCBホール)
■チャンスは今夜 (2008.10.12 野郎共の競宴/SHIBUYA-AX)
■絆(きづな) (2009.4.25 ARABAKI ROCK FEST. 2009/エコキャンプみちのく)
■今はここが真ん中さ!* (2009.7.26 STILL20 MEET THE WORLD BEAT 2009)
■おかみさん* (2009.8.7 SUMMER SONIC 2009 大阪/大阪舞州サマーソニック特設会場)
■おはよう こんにちは (2009.8.9 SUMMER SONIC 2009 東京/千葉マリンスタジアム)
■ジョニーの彷徨*~BLUE DAYS* (2009.8.14 RISING SUN ROCK FES. 2009)
■今宵の月のように (2009.8.30 SWEET LOVE SHOWER 2009)
■幸せよ、この指にとまれ (2010.5.01 ARABAKI ROCK FEST. 2010)
■俺の道~今をかきならせ*~FLYER* (2010.5.30 ROCKS TOKYO 2010/若洲公園)
■女神になって*~はじまりは今 (2010.7.19 ap bank fes‘10/つま恋)
■ファイティングマン*~so many people*~太陽の季節* (2010.7.23 GG10/SHIBUYA-AX)
■リッスントゥザミュージック*~明日への記憶* (2010.8.14 RISING SUN ROCK FES. 2010)
■明日への記憶*~待つ男 (2010.8.29 SWEET LOVE SHOWER 2010)
■メンバー座談会 司会:山崎洋一郎(ロッキング・オン)
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スリップウェア(SLIPWARE)
お皿が好きなんですよ。展覧会に行ったらスリップウェアというのが展示してあって、それで調べたんですよ。
イギリスの17、18世紀ぐらいの民芸品というんですかね?イギリス人が日常的に使ってたお皿らしいんです。よくわからないんで調べてたら、画像が一杯出るんですけど、「スリップ」ウェアなんで、そういう(恰好の)女の人のが出て来た(笑)。
日本のものだと浮世絵が好きですけど、検索より美術館とか本で見ちゃう。ただ詳しい人が居て、例えば 江戸百景というのを見ると、風景画の背景を調べて、同じ場所の明治時代とか大正時代の写真を調べて発表している人がいるんですね。自分もそういう現場に行くんですけど、すると昔の写真とか見たくなるから、それは見ますね。
■ライブ情報
新春ライブ2012
2012年1月6日(金) 渋谷公会堂
2012年1月7日(土) 渋谷公会堂
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください