MISIAがバラード・カバーアルバム『MISIAの森-Forest Covers-』を発売。
MISIA | 2011.12.12
バラードに定評のあるMISIAが、世界の名バラードをカヴァーしたアルバムだ。震災や生物多様性の保護など課題の多い今の日本にとって、示唆に富んだナンバーが並ぶ『MISIAの森-Forest Covers-』は大きな意味と意義を持つ。たとえばチャールズ・チャップリンの映画『モダンタイムス』のテーマ曲「Smile」は、つらい時も笑おうと優しくメッセージする。この曲には東日本の子供たちがコーラスで参加。また3DCGアニメ映画『friends もののけ島のナキ』の主題歌に決定した話題作だ。
レコーディングの様子や、いま彼女の思うことを聞いてみた。
- MISIA:去年から「Can’t Take My Eyes Off Of You(フランキー・ヴァリ)」とか「Smile」をカヴァーしていたので、カヴァーアルバムを作ったらどうかって話はあったんですね。で、今年5月に石川県の津幡町の森林公園に生物多様性をテーマにした“MISIAの森”を作って、そこでイベントを開いてメッセージの場にしたいな、それにふさわしいアルバムを作ろうっていうことになった。今回、カヴァー曲を選ぶのに、100曲くらい歌いました。
- EMTG:とりあえず歌ってみて選ぼうと。
- MISIA:はい。そうしたら、だんだんスタッフがみんな自分の思い入れのある曲を主張するようになって(笑)。
- EMTG:特に、自分が18歳から22歳くらいまでに聴いてた曲を(笑)。
- MISIA:そうそうそう(笑)。で、「ちょっと待ってください!それじゃあ、まとまりませんよ(笑)」って言って。結果、「This Cristmas(ダニー・ハザウェイ)」とか「Mercy Mercy Me(マーヴィン・ゲイ)」とかを選びました。今回、アルバムを作るにあたって、すごくシンプルにしたいねって言ってたんですよ。
- EMTG:ピアノ1本、ギター1本で歌えるっっていう意味で?
- MISIA:じゃなくて、バラードってことです。
- EMTG:ということは、“バラード・シンガーMISIA”が好きな人は、大喜びのアルバムだ。
- MISIA:というより、歌詞で選んだらこうなったんです。バラード・アルバムっていうふうに作られたものでは決してなかったんです。すごく心に残る言葉、歌詞に共感して選んだ楽曲が、バラードが多かったんです。ところで、バラードって正確な意味ってなんですかね?
- EMTG:正確に訳すと、“叙事詩”っていう意味です。
- MISIA:そうですよね。そういう意味では、自分たちに実際に起こった出来事や、心情に沿ってくれる楽曲を選んだ結果、“叙事詩=バラード”が多かったって事かもしれないですね。
- EMTG:たとえば「The Rose(ベット・ミドラー)」は、どうですか?
- MISIA:これは、選曲を始めて最初の方に歌いたいなって思った曲です。いろんな人生や愛を、花や種とか自然の物事に例えて歌っている。それはいわゆる“繋いでいくもの”なんですよ。
- EMTG:それって、“MISIAの森”のメッセージに合ってるね。
- MISIA:合ってます。どんな曲がいいかなってアイデアを出していくと、やっぱり最初はこういう楽曲がスタートになる。“MISIAの森”に通じる歌詞を歌っている人がなんとなく見えてくるというか、そこをグーっと掘り下げていきました。
- EMTG:「Smile」をカヴァーしてるけど、もともとチャップリンは好きだったの?
- MISIA:はい。小学校の頃に「モダンタイムス」や「犬の生活」、「キッズ」とか、いわゆる“チャップリンの名作”を観て、すごく感動したんです。コメディーなんだけど、メッセージがあって。
- EMTG:一緒に歌った東北の子供たちとのレコーディングは、どんな様子でした?
- MISIA:最初は…とても静かだったですね。子供って心が常に開いてる状態じゃないですか。でも、何かに対してぐっと閉まってる感じ。だけど、そうした子供たちの心が歌った後にパーンって開く感じは、アフリカの子供たちと同じだなって感じました。ぐっと閉まっているんだけど、一緒に歌ったりするとファっと開いていく。
- EMTG:閉じてるのが開く感じなんだ。
- MISIA:そう。あと、手を繋ぎたがるのはまったく一緒だったですね。隣にいるとみんなすぐに手を繋ぎたがって、離れない。ずーっとくっつている。すごく不安な子供って、手をずっとつないで一緒に過ごしてたりすると、だんだん落ち着いてくる。子供たちみんなと、話したり練習してからレコーディングしました。スタジオも被害にあったりしていて、やっと再開したスタジオを借りることができて、そこでやったんですよ。狭いブースで、みんなでぎゅうぎゅうになって、自分たちが歌った音をみんなで聴いて。子供たちは「自分たちの歌った声を初めて聴くー!」って嬉しそうに言ってました。
- EMTG:よかったね。
- MISIA:震災後に家を流された子供がいたり、自衛隊の人に助けられた子供がいたりしたんですけども、塞ぎがちになってた子供たちが、あの日、みんなで歌うことをすごく楽しみにしていてくれた。「みんなで集まって練習してきたんですよ」って子供たちの先生に言われた時に、「ああ、やっぱり一緒に歌えてよかったな」って思いました。
- EMTG:じっくりカヴァーアルバムを作ったから、次はオリジナルアルバムを作りたくてしょうがなくなるでしょ?
- MISIA:まだふわっとしてて(笑)。
- EMTG:はははは(笑)。
- MISIA:ふわって言うか、音楽ってどうしても“湧き上がるもの”じゃないですか。降ってくるっていう人もいますけど、私は大地からグワーっと湧き上がってくる感じがするんですよね。心の中で歌いたい歌いたいっていう磁石があって、そこにパコン!って吸い付いてくるものっていうのは、いろいろ自分が動いたりしないと見つからないじゃないですか?
- EMTG:うんうん。
- MISIA:そこに向かって真っ直ぐに歌っていきたいですね。
【 取材・文:平山雄一】
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リリース情報
MISIAの森 -Forest Covers-
2011年12月14日
(株)アリオラジャパン
2. SMILE
3. HEAL THE WORLD
4. THE ROSE
5. WHAT A WONDERFUL WORLD
6. RIBBON IN THE SKY (Japanese Version)
7. MERCY MERCY ME (The Ecology)
8. THIS CHRISTMAS
9. WHITE CHRISTMAS
10. CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU
このアルバムを購入
お知らせ
THE TOUR OF MISIA JAPAN SOUL QUEST
2011年12月18日(日)ニトリ文化ホール(さっぽろ芸術文化の館)
2011年12月23日(金・祝)崇城大学市民ホール(熊本市民会館)
2011年12月24日(土)鹿児島市民文化ホール 第一
2011年12月25日(日)福岡サンパレス
2012年01月28日(土)大阪城ホール
2012年01月29日(日)大阪城ホール
2012年02月04日(土)名古屋ガイシホール
2012年02月18日(土)横浜アリーナ
2012年02月19日(日)横浜アリーナ
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください