“聴いて欲しい曲がいっぱいあるんです”OverTheDogs、渾身の2ndミニアルバム

OverTheDogs | 2012.03.15

EMTG:「愛」、すごくいい曲ですね。「愛ってなんだかはっきり正体が分からない」ってありのままに描きつつ、「もし愛が存在するならば信じたい」っていう期待も籠められているのが、この曲のすごく印象的なところです。
恒吉豊:未だに愛っていうものがよく分かっていないので(笑)。「信じてみよう」っていうのも1個の思っていることだし、「疑ってしまう」っていうのも本質的なこと。どっちなのかっていうことに対して結論が出ないまま書いています。曖昧なものを曖昧なまま歌った方が実は真実だし、現実的だし、それこそが究極の綺麗事だと思うんです。
EMTG:たしかにこういうことは日によってとか、自分の状態によって捉え方が変わりますよね。そういうスタンスの書き方だから、「OverTheDogsの曲って、曲毎に矛盾したことを言っている」ってよく言われるんだと思います(笑)。
恒吉豊:そうなんです(笑)。簡単に言えば映画を1本観ただけで感化されたりしますから。でも、みんなそうなんじゃないですか。「愛なんて必要ねえ!」って思っていても、映画を1本観て「愛って素晴らしい」って言ったりするじゃないですか。その逆もあるし。そういう矛盾って、ずっと繰り返している気がします。だから変に「真実の愛を探そう」とか、「人を励まそう」とか思わないんですね。
EMTG:例えば今回の作品で言うと、「映幻の花」と「スピカのことを」では、矛盾していますよね。
恒吉豊:はい(笑)。あれだけ好きって言っていたのに、好きじゃなくなったりする人もいるわけですよ。そんなもんなんですよ。
EMTG:だって大半の人は「君が全てだ!」とか言いつつ、浮気したりしますもんね。
恒吉豊:そういうことです(笑)。でも、逆に言えば浮気をしたとしても、本心で「君が全てだ!」って言っていることもあるわけだし。それと同じで、曲に対しても日によっていろんな捉え方ができるんだと思います。
EMTG:例えば「オ・ワールド・インスピレーション」もそうですよね。《笑って世界は終っていきますように》ってフレーズが出てきますけど、僕はそれってすごく素敵なことだなと思うんですが。
恒吉豊:この曲の聴き方って性格が出るなと思っていて。世界の終わりに人が笑っているのって、すごく不自然で気持ち悪いとも言える。僕はこれを性格が歪んでいる時に書いたので(笑)、そう捉えています。でも、これは絵にした時にはすごく幸せなものにもできる。
EMTG:リスナーも試されていますね。
恒吉豊:僕は試していますよ(笑)。「愛」に関しても、前日に彼氏にふられていたら愛なんて信じたくないだろうから《愛というものがあるなら僕は疑ってみよう》が一番グッと来るんだろうし。《信じて生きよう》がグッと来るなら絶好調なんだろうし。
EMTG:リトマス試験紙みたいな曲たちですね。
星英二郎:おっ。キャッチフレーズ(笑)。
EMTG:(笑)サウンドに関しても、どの曲もすごく引き込まれます。「愛」も素敵なアレンジじゃないですか。
星英二郎:シンプルに聞こえますけど、実は意外と凝ったことをしています。今回は江口亮さんって方がプロデューサーに入ってくださったんですけど、いろいろと話し合いました。「愛」は、もともとは遅い曲だったんですよ。
恒吉豊:江口さんが「速くしたらカッコ良くない?」って提案してくださって。でも、僕は抵抗があったんですよ。「絶対速い方がカッコいい!」「いや、遅い方がカッコいい!」っていうガキみたいなやり取りがあり(笑)。結局、「じゃあ1回速いのでやってみよう」ってことになり、江口さんがアレンジをして。それを聴かせてもらったら、「ああカッコいいな」と思いました(笑)。
EMTG:「愛」は昔からあった曲みたいですね。
恒吉豊:そうなんです。星くんが入ったくらいの頃にできた曲なので。
星英二郎:3、4年前だね。
EMTG:昔のアレンジの「愛」に関しては何か思い出があります?
樋口三四郎:たしかにスローでしたね。でも、最後にかけてエモーショナルになっていました。僕も最初はそっちに思い入れがあったんですけど、今回のも繰り返しやる内にすごく好きになりました。
EMTG:今回のアレンジも展開するにしたがってエモーショナルになっていく点では、通じるものがあるんじゃないですか?
樋口三四郎:歌の力とか、歌詞の流れから生れているものもあるのかもしれないですね。
佐藤ダイキ:この曲が今回のミニアルバムに入るって聞いて驚きました。「アップテンポになるかも」って言われたのも驚きで。でも、僕も新しくアレンジされたものを聴いた時に、めちゃめちゃいいなと思いました。疾走感が出たことで歌詞の意味がサラっと入ってきやすくなった印象もしています。
星英二郎:どっちのアレンジにも良さがあるんだと思います。いつかライヴで昔のアレンジでやるのもいいかもしれないですね。「こういうのもあるんだよ」って。
EMTG:今回この曲を取り上げた経緯って何だったんですか?
恒吉豊:ストックの曲はまだいっぱいあるんですけど、この曲に関しては直感で「ここで出さないともうやんないかもな」って思ったんです。いい曲であっても「このタイミングで出したい」っていう自分なりのものがある。今回は「愛」がそうだったんですね。
EMTG:新しくファンになった人たちは、「こんないい曲があったんだ!」って受け止めると思いますよ。
恒吉豊:まだまだいっぱいいい曲があるんですよ(笑)。でも、それをあんまり言うと今回のアルバムを聴かないで、次を待とうとする人が出るかも……。それは困ります(笑)。
星英二郎:でも、今回を聴いていいと思ってもらえないと、次がないかもしれない(笑)。
恒吉豊:今回のミニアルバムは全力を振り絞って作ったので、ぜひ聴いてもらえたらと思います。
星英二郎:ある意味、今回ベストアルバムができたね。
EMTG:レコ発ツアーも決まっていますね。
恒吉豊:僕たちに捨て曲っていうものはないと、いつも思っているんです。聴いて欲しい曲がいっぱいあるんですよ。今度のツアーは曲をたくさんの人に聴いてもらえるいい機会。ぜひ、たくさんの人に来てもらいたいです。僕らのステージはどこか違和感、独特さがあるんだと思います。好き嫌いはあるかもしれないですけど、実際に見て、何かを感じてもらえたら嬉しいです。

【取材・文:田中大】

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ビデオコメント

リリース情報

トイウ、モノガ、アルナラ

トイウ、モノガ、アルナラ

2012年03月14日

ドリーミュージック

1. 愛
2. オ・ワールド・インスピレーション
3. 儚々な
4. 映幻の花
5. スピカのことを
6. 星者の行進

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お知らせ

■マイ検索ワード

●恒吉豊
小林星蘭

ポスト芦田愛菜ちゃんみたいなことを言われている女の子。最近は「御殿場高原あらびきポーク」っていうソーセージのCMで踊っています。すっごくかわいいんですよ(笑)。だから暇があるとネットで調べて、いろいろ見たりしています。

●樋口三四郎
auショップ 広島

『スペースシャワー列伝』のツアー中に携帯の充電ができなくなってきて、連絡がとれないリスクが増えたんです。広島で時間がありそうだったので、調べて近くのショップを探しました。結局時間がなかったので買わず(笑)、今に至ります。

●佐藤ダイキ
本 乙一

俺、あんまり本を読まなくて。今回のCDの帯の文章を書いてくださった乙一さんの本も読んだことがなかったんですよ。だから恒吉からいろいろ聞いて、乙一さんの本のことを調べました。

●星英二郎
うどん県 マスコット

うどん県のマスコットキャラができたという話を聞いて調べてみました。僕らはうどんばっかり食べているので(笑)、これは調べておかなければいけないなと。

■ライブ情報

「トイウ、モノガ、アルナラ」レコ発ツアー
2012/06/29(金)大阪Shangri-La
2012/06/30(土)愛知APOLLO THEATER

トイウ、モノガ、アルナラ スペシャル、ライブ
2012/07/06(金)赤坂BLITZ

※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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