2人組ガールズ・バンド、HAPPY BIRTHDAYのセカンドアルバムは怖さと愛嬌が紙一重
HAPPY BIRTHDAY | 2012.05.21
女は怖いーー誰もが知る、常套句だ。
実際に、その怖さを自覚したり、人間関係の中で目の当たりにした方々も多いのではないだろうか。
この“女の怖さ”から目をそむけず、時に切なく、時に朗らかに、そして堂々と楽しそうに歌う2人組ガールズ・バンドの登場だ。
その名は、HAPPY BIRTHDAY。
昨年、オリジナル曲「しゃかいのごみのうた」の、シニカル&愛嬌のある世界感が注目され、YouTubeに公開したMV映像が、30万を超えるアクセスを記録。同曲も収録されたファーストアルバム『ファーストキス』でデビューした。メンバーは、ボーカルとギター担当のきさ。ドラムとコーラス担当のあっこ。現在2人とも23歳。19歳の頃、専門学校で出逢い、このバンドを組んだ。「前から仲良かったけど、特にこの半年くらいは、楽しさはもちろんだけど、苦しいことや大変なことも共有して、より仲良くなっていると思う」(あっこ)
と、声を揃える2人が、セカンドアルバム『嘘でもかわいいと言って』をリリース。
ゾクッとクスッが、同時にくる。それがループするような、中毒性ある作品に仕上がった。
女性の残酷さと愛嬌は、じつは紙一重、ですわよ。
- EMTG:バンドを組む前から、友達同士だったんですよね。
- きさ:そうです。友達でした。2人とも他のバンドをやってて、お互いのバンドを観に行ったりしてて。
- EMTG:当時のお互いの印象を。
- きさ:私は、こんなとんでもない子がいたと。すごい子だ、なんて子だと思って、いつか一緒にやったら、すごい事になるなと思ってました。
- あっこ:私、きいちゃん(=きさ)が、ちゃんと作った曲を聴いた時、すげぇえなと思ったんですよ。私は元々、本が好きで、作家だとサガンとかが大好きだったんですよ。サガンが書く、思春期の女の子特有の……残酷なところっていうか、その甘酸っぱさも含めて、すごい好きだったんです。きいちゃんの曲を聴いた時、その本を読んだ時と、同じような衝撃を感じて、あぁ、すげぇと思いましたね。そこからずっと、彼女の曲、歌のファンなんですよね。
- きさ:残酷とひと言で言っても、いろんな残酷……いろんな印象があると思うんですけど、自分の曲を残酷かどうかって聞かれると、そういう曲を作っているなぁっていう自負はありますよね。言わなくていいところまで言ってると思うし、そこまで自分を追い詰めなくてもいいだろうってくらいまで歌詞にしていた時期もあるから。
- EMTG:それは、きささんの中では、苦しい事では?
- きさ:すごく苦しい事でしたね。昔はとにかく、吐き出すって感じの曲の作り方、歌い方だったので、すごく苦しかった。ライヴ1回、1回も、そのライヴで死ぬつもりでやっていたし、今でもそういう部分はありますけど、昔は、音楽をやるのが、楽しいと同時に、すごく苦しい事でしたね。すごく。今も苦しいけど、少し曲の作り方が変わって来てからは、楽しさの方が大きくなったというか……苦しさが少し減りましたね。
- EMTG:今言った変化の部分を具体的に言うと?
- きさ:今までは自分の事だけを歌ってたんですけど、その考えが変わって来て、HAPPY BIRTHDAYとして曲を作り、歌うって考え方になったんです。聴いてもらう人ができて、付き合う人も増えて変わっていったんだと思います。前は“あたし1人の歌”だったのが、HAPPY BIRTHDAYの中にいる1人の女の子、その主人公の歌になった。その子は、限りなく私に近い存在だけど、彼女が歌う曲を作ろうと思ったら楽になったんですよね。やってる事は、きっと変わって無いんですけど。例えば「愛のパレード」は、HAPPY BIRTHDAYって女の子がいて、その子の恋愛や失恋の曲を書くのはもちろんで、自然にずっとやっていく事だと思うんだけど、それとは別に、もっと生きる事とかを歌いたいなと思った。それができた1曲だと思う。
- あっこ:きいちゃんが変わったのって、今回のアルバムの曲タイトルひとつ、歌詞のひとつひとつとかに、ちゃんと出てると思うんです。例えば、アルバムタイトルにもなってる『嘘でもかわいいと言って』ってあるじゃないですか。前だったら、絶対に“言って”と言いきれなかったというか。1曲目の「あの子の彼氏」に“あたしのことは、もう二度と思い出さなくていいから”って歌詞があるんですけど、こういう言葉も、絶対に出なかったと思うんですね。失恋の曲でもやっぱり変わって来てる。言い切る強さ、みたいな。強くなったと思います、本当。
- EMTG:アレンジの自由度も、あがったと感じました。
- あっこ:2人でやっているのは、他にメンバーが集まらなかったから……結果論ではあるんですけど、今はそこに面白さも自由度も感じているんですよね。2人だから、いろんな事ができる、すごく魅力を感じてる。2人だから、曲が呼ぶ音に、素直に柔軟に向かうことができる。だからライヴも、柔軟にやっていこうって思って。今、2人であることに、すごく自信があるんです。
- きさ:今回のアルバムでも、ストリングスが入ってきたりとか、ピアノがメインで入ってきたりって曲もあって。昔だったら絶対にしたくないってなってたと思うんですけど、曲を作っていくうちに、曲が呼んでいるアレンジというか、この曲は絶対にこういう風にやった方がいいってところが大事で。そこに対して、柔軟に、やりたいようにやれる……そういう柔らかさみたいなのは、身に付けたのかもしれない。
- EMTG:アレンジ面でいうと、「アイプチコンプレックス」が印象的でした。かなりいろいろ遊んでる。
- あっこ:これは、爆笑しながら作った曲(笑)。
- きさ:思いっきりふざけましたね。歌詞はわりと切ないけど、アレンジは思いっきり遊んだ。
- あっこ:アレンジで大化けに化けた曲というか。どれも化けましたけど、この曲が特に化けたよね。
- きさ:そう。めちゃめちゃ笑いながら、ここでどんな音を入れるか真剣に考えて(笑)。ここで“ピヨピヨ”って入れてみよう、とか。いろんなもの叩いてみたりね。
- あっこ:そう、それこそ、ポットを叩いたりとか。
- きさ: “ピーッ”と笛吹いたりとか。
- あっこ:自分がライヴで“うわーっ”てなる曲って、100%カッコイイ、じゃないんですよね。カッコイイけどちょっとキモイとか、ちょっとウケるとか“何であそこあぁなの、何?”ってなる時に、どうしようもなくなって、笑いがこみあげるんです。あの感情は、素晴らしい。笑うって、すごい素晴らしいと思うから。
- EMTG:わかりました。では最後の質問です。HAPPY BIRTHDAYの楽曲って、女性にしか描けない世界を持ってると思うんです。そこで女性であることにポイントをあてた質問を。
- きさ:いいですね!
- あっこ:面白いです!
- EMTG:ありがとうございます。では……女に生まれて良かったと思う瞬間は?
- きさ:基本的にはいつも思っているんですけど……そうだなぁ……うーん……。(超悩み中)あっ!(ひらめいた!)化粧をしている瞬間。化粧ができるのがいい。顔をごまかすことができるから。
- EMTG:……えっ! なんてことを。
- あっこ:あはははははは(大爆笑)
- きさ:あと、身長が低くてもご任せること。なんか、外見のことばっかり。あとは……黄色い服ばっかり着ても、変と思われないこととか。あ……変か? 変か? あたし変? あははははははは(大爆笑)。
- あっこ:あははははは(大爆笑)
- きさ:やっぱ化粧です。化粧が出来る方がでかい!これで男だったら、化粧もできなくて、肌もみられて、どうすればいいの、あたし、みたいな(笑)。
- あっこ:あたし、女であることが嫌だなと思う時期があったり、男のミュージシャンの方が好きだったり、本でも男性の作家が書いた方が好きだったり……っていう、そういう時期もあったけど、今は、本当に女じゃないと無理だと思う。例えば、女の子は、普通にこういう場で初めて会っても、永遠と、どうでもいいことを話せるじゃないですか。
- EMTG:できますね。私もそういう話するの大好きです。
- あっこ:ですよね?(笑)どうでもいいことだとわかりつつ話す、暗黙の了解で話す事ができるのが素晴らしい。これが男性だったら、名刺出して、こういう立場で、自分はこういうポリシーをもって生きています……とかって話さないといけないと思うんだけど、女性だったら、本当はポリシーももってるし、わかっているのに、えー、わかんなーいとか言ってしまう事もできるわけで。
- きさ:それは、あなたがそうなんでしょう!
- 一同:あはははははは(大爆笑)
- きさ:それは、あっこの性格だって!(笑)
- あっこ:そっかなぁ? でも、そういう、えー、わかんないって言ってる自分を、楽しんでるかも(笑)。
- きさ:計算、だっかいなーっ! ははははは(爆笑)
- あっこ:でも、それができるのもあと数年かなとも思ってる。きゃーっはははは(爆笑)
- きさ:あたしは、そこがうまくできてないからなぁ。
- きさ&あっこ:! あー……あははははは(一同爆笑)
【取材・文:伊藤亜希】
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軍歌
微妙ですかねぇ?(笑)曲を作る時に、ノリ方を参考にしようと思ったため。ちょっと暗い感じの、こうやって手を振る感じのノリを聴いてみたかったんですよね。
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プロのボクサーは、どんなもん食って、ボクシングしてるのかなと思ったんで(笑)。
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