レビュー
HAPPY BIRTHDAY | 2011.10.28
HAPPY BIRTHDAY(以後略してハピバ)とは、歌とギターの”きさ”とドラムの”あっこ”からなる2人組。歌詞やタイトルなど、インパクトのある言葉使い、そして、きさとあっこの2人が醸し出すなんとも言えない今の時代の「女子」の空気感が印象的なガールズバンドである。
【21歳女子大生 “のどかちゃん” による居酒屋インタビュー!】
<登場人物>きさ:ハピバの歌とギター/あっこ:ハピバのドラム/のどか:きさの友人
あっこ「きさと、のどかちゃんとはどこで出会ったの?」
のどか「バイトが一緒だったんですよ。焼鳥屋さんでほぼ同期。でも、シフトがかぶらなくて一緒に働いたことがないという(笑)」
きさ「そう(笑)。辞めてから、家が近いこともあってよく飲みに行くようになって、ライヴも観に来てくれたり。」
のどか「じゃあ、きさとあっこさんは?」
あっこ「あっこでいいよ?」
のどか「じゃあ(笑)、あっこときさは?」
あっこ「美容専門学校の同級生。入学式で初めて会ったんだよね」
きさ「入学式のとき、あっこがガーっと話しかけてきて“オシリペンペンズ知ってる?”って。それが出会い(笑)。でも、美容なんてできるわけもなく、あっこが半年でやめて、わたしは一年半あとにでやめて。別々のバンドをお互いやってたんだよね」
のどか「最初不思議だったのが、わたしの中でバンドってヴォーカルがいて、ギターがいて、ベースがいて、ドラムがいてというイメージだったんだけど、何でギターとドラムでやっていこうと思ったの?」
きさ「いないから。でもね、いないからできないねって言ってたら、ずっとできないから。だから、とにかくあっことふたりでまずやってみようってなったの」
あっこ「あふりらんぽがいたのが大きかったよね。二人でもやれるんだ!って勇気をもらった」
きさ「初めはわけわかんない言葉を叫んで、ダイヴして転がったりしたらおもしろいねって始めたんだよね。適当だった。スタジオ入っても。でも、途中からやりたいことが違うんじゃないのって、二人できちんと音楽と向かうようになっていったかな」
のどか「今日、二人と会ったとき、独特の雰囲気があるなって思ったの。きさと一対一で会うときと、きさとあっこが一緒にいるときって、やっぱ違うんだよね。二人だけの世界。似てるのかなあ?」
あっこ「性格は真逆よね」
きさ「ねー。わたしの方がネガティヴ。足りないものを補ってる感じ(笑)?」
あっこ「でも、わたしのネガのところは、きいちゃんがポジ。わたしはゼロか100の人間なんで、苦労したのよ(笑)。苦労して、ここまできたのよ」
きさ・のどか「はははははは!!!」
きさ「わたしはあっこに較べれば、ゼロから10くらいかな」
あっこ「唯一一緒なのは、アガったときの沸点。エネルギーの量は一緒だよね。でも、男の趣味も、恋愛のスタイルも違う。わたしは過去はバッサリって感じだけど、きいちゃんは引きずるよね。ドラマとかで嫉妬が殺意に変わるタイプ(笑)。でも、それがすごいの、すごい良いの!」
きさ「言われるの、歌詞を見たらね、どういう恋愛のタイプかわかるって」
のどか「わかる気がする?!」
きさ「まあね(笑)、全部出してるから、しょうがないんだけど」
のどか「でもね、普通にJ-POPって言われてるラヴ・ソングとかはみんな同じようなことを歌ってるなって思うけど、HAPPY BIRTHDAYは嘘くさくないっていうか、超正直だからしっくり入ってきた」
あっこ「やったじゃ?ん、きいちゃん」
のどか「意外と、きれいごととか言ってない感じ。そのまんまの歌詞だなって。気持ち良かった」
きさ「意外と(笑)? 言ってないよ?、きれいごとは。言えないもん、そんなの」
のどか「曲を書くときはテーマを決めたりするの?」
きさ「うんうん、全然。だいたい落ち込んでるときに悲しいよ?、う~んって泣いてるときにできるかな」
のどか「でも、曲調はわりと明るいよね」
きさ「明るいコードしか知らないから(笑)。好きなのも明るいコードだし。明るいコードで明るい歌詞の曲もできてきたらいいよね」
あっこ「できてきてるよね、ちょっとずつ」
のどか「“しゃかいのごみのうた”はちょっと前よりは違うなって思った」
きさ「あれはね、ライヴのあとに死ぬほど落ち込んだの。凛として時雨とギターウルフが出ているイヴェントに出させてもらって、うまくできなかったのよ、演奏が。その後に時雨とギターウルフを見て、とにかくすごくてショックを受けて楽屋でめちゃ泣きしたの。家に帰っても号泣しながら、すぐに曲を書いてあっこにメールで送りつけた」
あっこ「そう、本当に帰ってすぐにきた(笑)。でも最初、何のことを歌っているんだろうってわからなくって。わたし自意識過剰だから(笑)、わたしのことかなって思ったの。“♪うんざりしました? 楽になりたいなら わたしが死ぬしかない”って、そんなにわたしのことが負担になってたのかって。わたしに対する最大のラヴ・ソングだと思って、「ごめん、そんなにきいちゃんのこと、苦しめてたとは思わなかった」ってメールしたんだよね」
きさ「そう(笑)。「違うよ?音楽に絶望したことだよって。」でも、無言で送りつけたのが悪かったよね。だってね、音楽を一度好きになったせいでね、ずっと苦しいわけ。一生嫌いになれないからさ。そうしたら歌うか、死ぬかしかないわけじゃない? だから、”あなた”は“音楽”なの」
のどか「あ?そうなんだ。”あなた”を”音楽”に置き換えてみたら、すごくわかった」きさ「ぱっと聴いたら恋愛かと思うかもね。でも、それがいいのかも。”あなた”を自由に置き換えてもらうのも」
のどか「きさって、学校もバイトもやめちゃったけど、音楽だけは続けてきたよね。それだけ本当に好きだったことだよ」
きさ「そう、音楽だけしか続いてない。好きなことしかできないから。だから音楽だけは続けていけると思うんだ。今ももちろん、これからもね」