レビュー
HAPPY BIRTHDAY | 2012.08.15
かねてから、女の本音を歌にするアーティストはいたが、ここ1?2年の間に、そのパターンが増えてきたように思う。そしてこの現象は、昨今の音楽シーンの特徴のひとつに挙げられるのではあるまいか。
なんかこう……もちろんいい意味でだが、前述した特徴が影響して、音楽シーンが、かしましく、賑やかになっている印象があり、個人的には、とても楽しませてもらっている。そんな中で、この半年で、何組かの“女の本音アーティスト”に取材したが、最も、生きたまんまの姿を、音楽に投影していると感じさせるアーティストが、HAPPY BIRTHDAYである。これまたいい意味で、自分を隠せないというか。オブラートに包めないというか。意識しなくても女の感情が溢れちゃって、見えちゃってるという感じ。加えて、その裏表のなさが、じつにチャーミング。女の情念を肯定しながら、あくまで可愛く歌えちゃうあたり、彼女達の個性で魅力。涙で顔はぐちゃぐちゃなのに、笑っているようなイメージだ。しかもそれは、強がりの笑顔でなく、女を楽しんでいるからこその笑顔。あー、この計算の無さ、なんて痛快。同時に微笑ましくて、ちょっと心配? おそらく、ここらへんが、女性リスナーに支持されている(含・筆者)のではなかろうか。
彼女達からニューシングルが到着。両A面シングルとなった「恋暴動/DAIKIRAI-DAISUKI」は、超キャッチーな作品となった。デビュー以降、複数のプロデューサーを迎え、曲を制作してきた彼女達。この方法で浮き上がってきたのは、このグループのメロディの良さと、存在感である。両方とも、じつにポップでキャッチー。2人組という編成が、プロデューサーとマッチし、サウンドの自由度をあげたというのもあると思うが、元々持っていた、じつはカラフルな資質が、ここにきて一気に花開いた印象だ。
祝・開花宣言! ともとれそうなクオリティ高いニューシングル。彼女達の百花繚乱ぶりはまだまだ続くと思うが、並行して、ライヴでもしっかり開花した華の魅力を見せて行けるかが、次へのステージを掛け登るための鍵になるのでは? 今後にマジで期待!
【文・伊藤亜希】