ニューシングル「It’s Alright?君といるだけで?」は、さわやかな夏の正統派ポップチューン。この曲を手がけたのは、昨年のアルバム『ハモリズム』の「Shall we dance?」のアレンジを手掛けた竹本健一で、ゴスペラーズの特長である“歌い継ぎ”を活かしながら、彼らの新鮮な魅力を引き出すことに成功している。
　また「It’s Alright?君といるだけで?」は、ゴスペラーズなどがホストアーティストを努める恒例のイベント“SOUL POWER SUMMIT”に向けたものでもある。もしかすると、ちょっと暑苦しい(笑)このイベントに涼風を運ぶために、このさわやかソングをリリースするのかもしれない。
　カップリングはアメリカのコーラスグループ“フィフス・ディメンション”が大ヒットさせた「Up,Up And Away」のカバー。1968年にグラミー賞を獲得している名曲だ。ゲストにMay J.を迎えて、これまたフレッシュに５人の声が響く。
　早速、インタビューをしてみた。いつもはあまり発言しない酒井雄二くんに、まずは集中砲火！(笑)

EMTG：これまでの“SOUL POWER SUMMIT”に向けての曲は、熱唱型の曲ばっかりだったけど、今回の「It’s Alright?君といるだけで?」はすごくさわやか！

酒井：ま、こういう曲が歌われれば、イベントに来たみなさんも息継ぎができるんじゃないかと(笑)。ステージに出る人は、名うてのブラック・ミュージック好きばかりで、僕らもついつい“SOUL POWER SUMMIT”に熱を加えたくなってしまう。なので、自分たちで曲出しをしたら“熱い曲”が多くて、「どうしよう」と思ってたところに来たのがコレ！　しかもゴスにユカリの深いシンガーソングライターの作品だった。「我々から出るタマよりも、今回のテーマにフィットするな」という声が上がり、自分たちも「歌いたい」と思ったので、この曲が採用されました。

安岡：竹本くんが“ゴス用”にこれを書いてくれたんですよ。

酒井：最初はピアノがバックの、ジョン・レジェンドが歌いそうなシンプルなデモが届いたんだけど、すでにその時点で魅力があった。なので、竹本くんに“SOUL POWER SUMMIT”で映えそうな”ライト・ソウル”のアレンジにしてもらって、ブラック・ミュージック好きの先輩方もうなずくような仕上がりになった。

EMTG：歌詞も竹本くんが書いてる。

酒井：この曲をやろうと決まった時点で、歌詞もお願いしたら、オーケーしてくれて。曲に新しい風を吹かせてくれたから、歌詞にも期待しましたね。安岡の分析によると、ストーリー展開よりも”歌い継ぎ”を意識して書いてくれたようで、同じテーマを５人が入れ替わり立ち替わり歌う。一人で歌うともう少し他に何か言いたくなるんだけど、５人だと煩雑にならずに、丁度いい具合になって。

安岡：テクニカルな書き方の、いい歌詞だった。それを“５人の声”に直す作業をして。

EMTG：具体的には、歌詞はどんなところが新しかったの？

安岡：今までにないのは、”君”っていう言葉がたくさん入ってるところ。でも、いろんな口が歌うことで、自然に聴こえる。僕は、こんな風には書かないですね。

北山：“君”の多さは気にならなかった。たぶん、サウンドとしてこの歌詞にしたんだろうな。一人で詞曲を作る良さっていうか。

黒沢：歌ってて、すごく楽しいんですよ。

酒井：みんなでリードを歌ってみて、それを材料にして歌う順番を決めた。自分としても食いつきがよくて、レコーディングではいい汗かいてる自分がいましたね。シンガーソングライターが作り、歌詞作りのプロセスでグループ寄りになって、最終的にはボーカル・グループの曲になった。でもいい具合にシンガーソングライターの風合いが残ってます。よく同級生から「ゴスペラーズの曲は、カラオケで歌いにくいよ」って言われるんですけど、この曲はイケるんじゃないかな。

北山：「ひとり」は、一人じゃ歌えない(笑)。結果的に僕らは、シンガーソングライターの監督を得て、チームとしてこの歌を形にしたっていう。公園で一人でドリブルしてたらパスができないけど、僕らはこの曲で華麗なパス回しの”シャンパンサッカー”をやってます。

黒沢：「It’s Alright?君といるだけで?」は、ボーカルがクロスするところが少ないから、カラオケで歌いやすいかも。

村上：ユーザーの楽しみ方として、メロディに曖昧さがないからかな。一昨年の“SOUL POWER SUMMIT”直前に出した「愛のシューティング・スター」は、いい加減だったもんな(笑)。

EMTG：あはは、いい加減って。で、お披露目は？

酒井：“SOUL POWER SUMMIT”で、初めて歌います。

村上：出だしの酒井のパートが、おいしい！(笑)

酒井：責任が重い(笑)。責任感じながら歌います。

EMTG：というところで、今年の夏は“SOUL POWER SUMMIT”以外にも、ゴスペラーズはたくさんの夏フェスに出るね。

村上：７月７から８月26日まで、お盆以外は毎週末、イベントに出ます。素晴らしくいろんな皆さんと、音楽を共有できて嬉しいですね。歌いまくる夏が楽しみです。「週末はガッツリ、ゴスで！！」。

北山：僕はその間に、花火をやりたい。前に、そのつもりで花火をたくさん買ったんだけど、夜の浜辺では22時以降、花火禁止になったので、ほとんど残ってる。今年こそ、リベンジします。

黒沢：今年の３月にハワイで日焼けして、それを維持してたんですけど、ＰＶ撮影の時に村上より肌が黒くて「イカンな」と思って自粛した。でももう夏なんで、遠慮なく焼きます。

安岡：久しぶりに、笑顔で歌える夏のシングルが出来たんで、笑顔でライブやりたいですね。

酒井：僕は、地元の“TOKAI SUMMIT‘12”でやれるのが楽しみです。

EMTG：楽しみにしてます。

【取材・文：平山雄一】