PES、初のフルアルバム「素敵なこと」リリース!

PES | 2012.09.14

 シングル「女神のKISS」から始まったRIP SLYMEのPESのソロ・プロジェクトは、今のシーンにはあまりないエバーグリーンな大人のポップを全面に押し出していて、新鮮な魅力がいっぱいだ。だから期待していた初のフルアルバム『素敵なこと』は、期待以上の内容。パーティチューンにしてもガツガツせず、全体にリラックスした雰囲気。それでもヤンチャな遊び心をチラッとのぞかせるのがPESらしい。それは80年代に人気だった“AOR”(アダルト・オリエンテッド・ロック)というジャンルが持っていたテイストを思い出させる。その時期、ロックが成熟して、大人の聴く音楽=AORになっていったのだ。PESは、そんなAORにさらに21世紀のファクターを加えて、アルバム『素敵なこと』を作ったと言える。
今、素敵な大人に憧れる諸君! ぜひ、このアルバムを聴きなさい。大人って楽しいよぉ!

EMTG:このアルバムを聴いたとき、“AOR”、アダルト・オリエンテッド・ロックっていう言葉を久しぶりに思い出しました。
PES:それはあるかもしれない。実際、クラブ行っても、朝まではキツくなってきましたね。年相応な感じ?(笑) 普段聴いてる音楽も、やれ「これは新しいだの」って言わなくなったし。そんな普段の自分が、このアルバムにフィードバックされてます。肌で感じる感覚として、こういう雰囲気のモノを作りたかったんですね。自分もリラックスして歌える、弾ける、聴けるっていう。
EMTG:それって1曲目の「素敵なこと」の♪とても気持ちのいい音楽でもかけてさ とびきりのシャンパンでも皆分け合ってさあ♪って歌詞そのまんまですね。
PES:強い何かを発信することよりは、いい雰囲気で聴いてもらって、何かが残るような歌詞にしたいなって。アルバム全体についても、そう思ってたんですよ。
EMTG:アルバム作りはどんな風に始まったんですか?
PES:ソロでアルバムを作りたいなって話が出たとき、「素敵なこと」と「女神のKISS」、「真夜中のレインボー」、「Change」の4曲が最初に出来て。「Change」みたいなロックにラップが乗ってくるタイプだと、メッセージ色が強くなる。最初にソロとして出すのは、そういうもんじゃないんだよな、もっと軽くいきたいって思って、「素敵なこと」とか「女神のKISS」が漠然とシングル候補になった。だからアルバムとしての振れ幅が見えるように、1曲目に「素敵なこと」、2曲目に「Change」って並べた。「素敵なこと」の♪嘘でもいいから 素敵なことをたくさんしようよ ねぇ♪ってとこからアルバムを始めれば、いい雰囲気で聴いてもらえるかなって。
EMTG:♪シャバダバダ♪っていうコーラスも“みんなで遊んでる感”が出ていて楽しい。
PES:あれは、自分でも歌ってて楽しいし。
EMTG:ストリングスも入ってて、ほどよいゴージャス感もいい。
PES:アルバムの導入の曲なんで、何かに集中して聴かれるよりは、フラットな気持ちになって欲しかった。なので、いろんな音を入れて、音楽全体で聴いてもらいたかったんですよ。
EMTG:アルバムの振れ幅で言うと、サックスが入っててちょっとおセンチなボサノヴァ・タッチの「君のような誰か」が意外で、グッときた!
PES:最初はシリアスな歌だったんで、「このアルバムには重過ぎるな」と思ってて。しかもボサノヴァだからギターも難しい。どーすんだって思ってるときに、中古楽器屋でリズムボックスを買って、それに付いてた“ボサノヴァ・ボタン”を押してみたら、超いい感じだった。で、ギターをそれらしく弾いて、ベースのTotzanはジャズやボサノヴァをやり倒してる人だし、田中(邦和)さんのサックスがなんとも言えない昭和な“スナック感”を出してくれた。ちょうどその頃、寺尾聰さんの『Reflections』(大ヒット曲「ルビーの指輪」収録)を聴いてたりして、“プライベート・ボッサ”みたいな雰囲気に仕上がったんですよ。
EMTG:確かに昭和な感じだ(笑)。これはPESくん自身がアレンジしてますね。
PES:そうです。(寺岡)呼人さんのプロデュースや、奥野真哉さんのアレンジは壮大だったりするんですけど、この曲は自分の家の居間でやってるような感じでやりたかったんで。
EMTG:“プライベート・ボッサ”って、いいね。それと、僕が好きなのは、アルバムのラストの「Sunday」。すごくリラックスできる。
PES:この歌の歌詞にあるように、勤めてた時代に坂道の途中に住んでたことがあって、毎日坂道を上ったり下ったりしながら出勤してた。その頃はまだ音楽だけで食えてなくて、「人生、こんなもんかな」と思ってた。土曜日はみんなで集まってバーベキューして、日曜日はゆっくり休んでっていうルーティンもいいなって思って作りました。正直、今は休みが全然ありませんけど(笑)。
EMTG:どうしてこの曲をラストに置こうと思ったんですか?
PES:最初は「あなた」でアルバムを終わろうかと思ってたんだけど、ディレクターと話してて、「Sunday」で終わるのもいいかって。この曲のタッチが、1曲目の「素敵なこと」のイントロに似てるから、全部聴いた後、違和感なくまた最初の曲に戻れるかなって。
EMTG:そうだね。4曲目の“インタールード”を含めて、アルバム全体の曲順もいいね。
PES:10代のとき、自分で好きな曲を並べてカセット作ってた時以来、リップでもアルバムの曲順って考えたことなかった。だから今回、いっそ友達のDJに頼もうかとも思ったんだけど。
EMTG:そんな乱暴な(笑)。
PES:(笑)。あのインタールードは、次の「パーティーはどこだ!」につながってたんだけど、それがいいかどうか分からなかった。そうしたらラップのTarantulaが「入れた方がいい」って言ってくれたんで、インタールードとして切り離す作業をギリギリでしたんですよ。
EMTG:それも含めて、すごくリスナーの気持ちを考えてるアルバムだね。
PES:ぶっちゃけ、今のハヤリがわからないから、普段一緒に生活したり遊んだりしてるWISEくんとかの意見をたくさん聞いたりしながら作ってました。「OK!MEXICO」で松田龍平くんに歌ってもらったのも、友達だから(笑)。
EMTG:いいね、それ!
PES:今んとこ、このアルバムを聴いてて、まだ自分は飽きてない。これからもこういうことをやっていきたいですね。
EMTG:ライブは?
PES:ツアー、絶対、やりたいです!

【取材・文:平山雄一】

tag一覧 アルバム 男性ボーカル PES

ビデオコメント

リリース情報

素敵なこと(初回限定盤)

素敵なこと(初回限定盤)

2012年09月12日

ワーナーミュージック・ジャパン

Disc-1
1.素敵なこと
2.Change
3.LOVE
4.interlude
5.パーティーはどこだ!
6.Pleasure
7.シーサイドラバーズ
8.真夜中のレインボー
9.君のような誰か
10.あなた
11.女神のKISS
12.OK! MEXICO
13.Sunday
Disc-2
1.女神のKISS MUSIC VIDEO
2.女神のKISS (OFF SHOT)
3.シーサイドラバー / 真夜中のレインボー (2in1 MV MIX) MUSIC VIDEO
4.シーサイドラバー / 真夜中のレインボー (2in1 MV Mix) (OFF SHOT)

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マクドナルド 五反田
どうしても五反田でマック食いたくて、行ってみたらなくなっ てた。移転したのか調べたら、閉店してた。なので、目黒で食いました


■ライブ情報

ALBUM『素敵なこと』発売記念インストアライブ
2012/09/16(日)タワーレコード新宿店7F イベントスペース

J-WAVE HOLIDAY SPECIAL公開生放送LIVE
2012/09/17(月/祝)Hills Cafe / Space (六本木ヒルズ)

PES TOUR “素敵なライブ”
2012/11/14(水)名古屋ELL
2012/11/15(木)大阪CLUB QUATTRO
2012/11/17(土)赤坂BLITZ

※その他ライブ情報・詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

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