RIP SLYMEのPESのソロ・プロジェクト、シングル「女神のKISS」で始動!
PES | 2012.05.29
RIP SLYMEのPESのソロ・プロジェクトが始動する。届いたシングル「女神のKISS」は、何よりPESのボーカルが素晴らしい快作だ。歌を伝えようという意志にあふれ、パッキパキのグルーヴィーなリズムにPESの声がぴったり乗って、聴き心地はすっきり爽快! レコーディングで彼自身が弾いたギターも、全体をしっかり引き締めていて、PESという高いポテンシャルを持ったポップ・ボーカリストの登場を告げている。
タイトル曲「女神のKISS」のプロデュースを担当したのは、再結成したジュンスカを牽引する寺岡呼人で、特に生楽器の扱いに手腕を発揮した。
テレビドラマ『リーガル・ハイ』主題歌に抜擢された「女神のKISS」を中心に話を聞いてみた。
- EMTG:寺岡呼人さんにプロデュースを依頼したのは?
- PES:学生のときから呼人さんは僕のヒーローで、カラオケでILMARIとよくジュンスカを歌ってました。で、何年か前のSETSTOCKっていうイベントでお会いして、それからはラジオ番組に呼んでもらったり、“食事をおごってもらえるクラス”になりました(笑)。今回、ソロをやることになって、最初は配信だけでもってミニマムに考えていたのが、ドラマ主題歌の話をいただいたのて、ちゃんとしたものを作んなきゃって思ったときに、呼人さんにお願いしようかと。
- EMTG:どんなことをオーダーしたんですか?
- PES:生楽器を使ってローファイな感じを出したかったのと、全体のアレンジをお願いしました。
- EMTG:メチャかっこいいサウンドになってるよね。
- PES:はい。呼人さんに僕のやりたいイメージを伝えると、すごく速くレスが返ってきて、逆にこっちがついていくのが大変で(笑)。ドラムのBOBOさんがすごく疾走感を出してくれて、呼人さんが全体をドラマティックにしてくれました。
- EMTG:そうだね。それにPESくんの歌がいい!!
- PES:ありがとうございます。呼人さんは、歌の細かい正確さより、「ノリがよければいいよ」って言ってくれて、おおらかに歌えたんですよ。僕は周りからは“ラッパー”って言われてはいますが、自分の中ではラップと歌をあんまり分けて考えてなくて、ラッパー友達からは「マイペースな奴」って言われてます。
- EMTG:マイペースって、いいですね(笑)。そしてリリックもおおらか。大時代的なロマンを感じた。
- PES:ポップスだけど、年を取ってからも歌えるものを作りたかったんです。RIP SLYMEでは現代的でエッジの効いた“今の言葉”を使っていて、毎年、アルバムを出してツアーして、言ってみればいい意味で音楽を“消費”していくスタイルだと思うんですよ。でも自分のソロをやるんだったら、飽きないで長続きするものをやりたかった。それに、いつ次を出せるか分からないし(笑)。
- EMTG:そんな(笑)。
- PES:でも今回はやりたいことをやれて、よかったです。RIP SLYMEは用意してもらった受け皿に5人で飛び込んでいくっていう感じですけど、今回は受け皿も自分で作っていったので、悔いはありません。
- EMTG:そしてジャケットのビジュアルも面白いですね。
- PES:かぶりものをした写真と絵を混ぜてます。だからコラージュ・アーティストとかぶりものを作ってくれたアーティストとのコラボ作品ですね。
- EMTG:かぶりものは好きなんですか?
- PES:もともとRIP SLYMEでも勝手にかぶってましたし(笑)。今回はまず音そのものを聴いて欲しかったから、僕が顔を出して世に出るより、かぶりものをしてた方がいいかなとも思って。
- EMTG:ってことは、ライバルはオオカミをかぶってるバンド“MAN WITH A MISSION”かな?(笑)
- PES:あの人たちは“着ぐるみ萌”を知っている人たちだなと思いました(笑)。実際、音のクオリティが高いし。
- EMTG:きっと彼らも、音を聴いて欲しいから着ぐるみなんだよね。で、PESくんは“猫をかぶって”いる(笑)。
- PES:そう、「あ、あの猫かぶってる人ね」って言ってもらえれば(笑)。
- EMTG:あははは、それ、いいね。「女神のKISS」もよかったけど、一緒にシングルに入ってる「この夜は終わらない」、「南の風に誘われて」も聴いていて楽しかった。
- PES:「この夜は終わらない」は呑み場で知り合ったラップ友達のYalla Familyにプロデュースを頼んで。見た目はハードコアなんだけど、お客さんを楽しませる主義なところがよくて。「南の風に誘われて」は、フォーキーなものを狙った。3曲とも違う感じのものをやりたくて。だって「1260円、払ってもいいな」と思ってもらえないと。
- EMTG:本当にPESくんのいろんな面が出ているシングルだね。
- PES:もっと曲を作っていって、環境が整ったらアルバムを出してみたいなあ。
- EMTG:ぜひ!! 最後に、ライブは?
- PES:レコーディングしたメンバーと「いろんなところ、回ろうぜ」って言ってるんですが、楽器持ってライブやったことないので、練習しないと。
- EMTG:そっからですか(笑)
- PES:はい(笑)。
- EMTG:ありがとうございました。
【取材・文:平山雄一】