ACIDMAN、パラレルワールドを描いたニューアルバム『新世界』をリリース!
ACIDMAN | 2013.02.28
おごそかなイントロダクションとエピローグを持つ『新世界』は、ACIDMANが今、抱えている世界観を多角的に伝えてくれるアルバムだ。どの曲も共通するテイストを持ちながら、違ったシチュエーションで世界の始まりと終わりを描く。言ってみればひとつのストーリーが並行しながら進行する世界、“パラレルワールド”を体験させてくれるアルバムなのだ。
中で中心となるのは、坂本龍一がピアノを弾く「風追い人(前編)」と「風追い人(後編)」だろう。インストの「風追い人(前編)」では、坂本のベスト・プレイが聴ける。また「風追い人(後編)」では、ACIDMANと坂本の世界観がクロスしシンクロしながら名曲を形作っていく。ACIDMANが今回到達した素晴らしい新境地と言うことができるだろう。
昨年のさいたまスーパーアリーナでのライブなど、このところ集中してバンドとしての進化を続けているACIDMANの大木伸夫(vo&g)、佐藤雅俊(b)、浦山一悟(dr)の3人に話を聞いた。
- EMTG:先行シングル「新世界」と同じタイトルのアルバムだね。
- 大木:シングルの評判がよくて、自分の中で思うところがあったんです。今回のアルバムは、どの曲も“新世界”のことを歌っている。だったらアルバム・タイトルは“新世界”でいいかな、と。タイトル候補は他にもあったんだけど、これに決めました。
- EMTG:確かに、全曲に共通するイメージがある。
- 大木:正確に言えば、キーワードは“新しい星”ですね。
- 佐藤:「新世界」はすごくエネルギーのある曲なので、自分自身のケツを叩かれているような気がする。それでアルバムを作っている間、ずっと聴いてましたから、僕にはこのアルバム・タイトルがしっくりきます。
- EMTG:宇宙や物理学などを通じて生命を描く方向は健在だね。
- 大木:そうですね。たとえば2曲目の「SUSY」は、人の名前じゃなく、“超対称性”を表わす言葉なんですよ。この世界の隣には鏡の世界があるっていう。これもひとつの“新世界”なんです。
- EMTG:出た!!(笑)。大木が自分の好きなことを歌に落とし込めるのは、いつもすごいなと思ってます。
- 大木:まあ、自分の興味のあることなんで(笑)。
- EMTG:そしてアルバムの背後に、ひとつのストーリーを感じた。
- 大木:どの歌も時間軸は一緒で、それぞれの曲は「いろんな星で歌っている」っていうようなイメージなんです。
- EMTG:アルバム全体を聴いていて、今の世界が終わって“新世界”になるというイメージを受け取った。そこに少し悲観的な感じもした。
- 大木:“悲観”ですか? アルバム後半の「カタストロフ」、「白光」で絶望を描いて、最後の「to gen (outro)」で雲の上で再び出会って満たされていくんです。「to gen」は“桃源郷”のことでもあって、桃源郷に行くには絶望を通らないといけないっていう。
- EMTG:“静と動”とか対照的な事象をピックアップしてきたACIDMANらしいアルバム構成になってるんだ。中で、坂本龍一さんとコラボしてる2曲が凄かった!
- 大木:坂本さんが映画音楽を作るようになってからのファンで、『ラスト・エンペラー』が特に好きです。いつか会いたい人No.1。しかも坂本さんがACIDMANを聴いてくれているっていう話があって。実は「風追い人(前編)」は、坂本さんに影響されて数年前から作っていたんですよ。もしできるなら、坂本さんに弾いてほしいと思ってた。そうしたら「NO NUKES 2012」でお会いできて、そのときに「弾いて欲しい曲があるんです」って直談判したら「ぜひ」って言ってくれた。響き合う人って、どこかでつながるんですね。最初は「風追い人(前編)」だけだったんですけど、「風追い人(後編)」もお願いして。
- EMTG:願いがかなったんだ!
- 大木:はい。坂本さんがピアノを弾いてくれたトラックに歌を入れた時、嗚咽しましたもん。
- EMTG:感激したんだね。
- 大木:凄かったです。
- EMTG:そういう壮大な曲もあれば、「Further?夜になる前に?」みたいなクールな16ビートの曲もある。
- 大木:音楽の幅は広がってます。
- 浦山:大木のデモを聴いた段階でどの曲もよかったので、モチベーションを上げていろんな音楽性に挑みましたね。
- EMTG:スーパーアリーナ以降、バンドが本当に進化してる。
- 大木:アリーナだけじゃなくて、全ツアーを通じて、自信ができました。これまで以上にファンを信頼できる気持ちにもなれたし。
- EMTG:その自信は、たとえばどんなところに表われてるのかな?
- 大木:ツアーから勇気をいただいて、逃げる表現をしなくなった。自分の気持ちを、ちゃんと書く。今回、歌詞を書いていて、ひとつ壁を越えられたと思います。
- EMTG:限定盤にはシングル曲「アルケミスト」の元になった小説「アルケミスト-夢を旅した少年-」の文庫本が付いている。
- 大木:本を手に取るのは、CDを手に取るのと同じくらい大事なこと。本を読むことで、世界が変わっていくことがある。CD屋に本が並んでたら嬉しいって、ずっと思ってたんですよ。今回のアルバムにある“旅感”は、「アルケミスト」から出ている。だから本を読んでからアルバムを聴いてほしいですね。しかも曲順どおりに! そうやって聴くと、絶対に面白いと思います。
- EMTG:ありがとうございました。
【取材・文:平山雄一】
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ビデオコメント
リリース情報
お知らせ
ACIDMAN LIVE TOUR “新世界”
2013/06/07(金)Zepp Tokyo
2013/06/09(日)福島iwaki SONIC
2013/06/11(火)新潟LOTS
2013/06/13(木)石川EIGHT HALL
2013/06/15(土)Zepp Nagoya
2013/06/19(水)香川オリーブホール
2013/06/22(土)韓国Prism Hall
2013/06/25(火)桜坂セントラル
2013/06/28(金)鹿児島CAPARVO HALL
2013/06/29(土)Zepp Fukuoka
2013/07/03(水)宮城Rensa
2013/07/05(金)岩手KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
2013/07/07(日)Zepp Sapporo
2013/07/11(木)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
2013/07/13(土)広島CLUB QUATTRO
2013/07/15(祝)Zepp Namba
2013/07/20(土)台湾THE WALL TAIPEI
2013/07/26(金)日本武道館
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。