PUSHIMのパーソナルで女性的な部分が滲み出た、ファンデーション・レゲエ色の強いニューアルバム
PUSHIM | 2013.03.13
『It`s A DRAMA』には、強くてやさしいPUSHIMがいる。それは、音楽的に懐かしくてパワフルな“ファウンデーション・レゲエ”をベースにしていることと関係があるかもしれない。一方で、仲のいいEGO-WRAPPIN`や、新宿のヒップホップ・グループ“MSC”の頑固一徹男、MC漢(かん)とコラボしているからかもしれない。
来年、デビュー15周年を迎えるこのタイミングで、ベーシックに戻ってメッセージ色の濃いアルバム『It`s A DRAMA』を作ったPUSHIMに、心境を聞いてみた。
- EMTG:先行シングル「夕陽」のインタビューのときに、すでにアルバムの話が出てたけど、ついに完成した!
- PUSHIM:そう、「夕陽」はこのアルバムの1曲になると決めてました。「Mighty Princess」や「このルートじゃなくてもゴールはある」のトラックもジャマイカに行って作ったり。
- EMTG:着々と制作していたんだね。
- PUSHIM:はい。
- EMTG:そのアルバムの1曲目が、いちばんシンプルなアコースティック・レゲエの「It`s A DRAMA」になった。
- PUSHIM:アルバム・タイトルはずっと前から“It`s A DRAMA”に決めていたんですけど、この曲は最後に作りました。
- EMTG:そうなんだ。
- PUSHIM:実は、今回、初めて“恋愛をしない状態”でアルバムを制作したんですよ。
- EMTG:えっ? じゃあ今までのアルバムは、すべて実際の恋愛が制作のモチベーションになってた?
- PUSHIM:はい(笑)。だから今回は、よく言えば“心が安定した状態”、別の言い方をすれば“ドキドキしない状態”で作ったんですよ。
- EMTG:だとすると“It`s A DRAMA”っていうタイトルの意味は?
- PUSHIM:恋愛していないのを逆手にとって、恋愛だけじゃなくて、世の中にはいろんなことが起こっているから歌は書けるんだなって思った。なので“心が安定した状態”を楽しみながら、焦らずに作っていきましたね。
- EMTG:「世の中はドラマ!」ってことなんだね。
- PUSHIM:そうして、前作がコンテンポラリーなレゲエのアルバムだったので、今回はベーシックに戻って若いレゲエ・ファンに今まで私が好きで聴いてきた音楽をやってみようと思ったんです。アメリカのポップスの影響を受けた今のジャマイカのコンテンポラリーなダンスホール・レゲエは聴くのも踊るのも好きですけど、まあ歳も歳ですし(笑)、若づくりはできないので、今からの自分に合ってる、今の自分に素直なレゲエをやろうと。
- EMTG:音楽的にはルーツ的なレゲエだけど、アルバム『It`s A DRAMA』を実際に聴いていて、サウンドそのものは“今”の音だと感じた。
- PUSHIM:古臭いサウンドにはしたくなかったから、そこには気を付けましたね。
- EMTG:1曲目の「It`s A DRAMA」は、“3.11”のことや今も続いている“戦争”のことなどが歌われている。
- PUSHIM:世の中にはいろんな人のいろんなドラマがあって、どれを取っても“サビ”になる。この歌にはアルバムのもう一つのキーワードが入っていて、♪人生は 映画みたい 何度も Happy or Cry繰り返す♪って歌ってます。だんだん私も、人生は気付きの繰り返しなんだなってわかってきたのかな。
- EMTG:そして2曲目「HEAT feat. EGO-WRAPPIN`」で、EGO-WRAPPIN`とコラボしてる。
- PUSHIM:誰かゲストに参加してもらいたくて、EGO-WRAPPIN`のよっちゃん(中納良恵)とはケラケラ笑って何でも話せる仲なので、一緒に作って歌おうっていうことになりました。ギターの森(雅樹)くんと3人でスタジオに入って、私は「明るい曲が作れたらいいな」と思ってたら、偶然にもよっちゃんも同じことを考えてて。これを聴いた女の人が元気になれるような曲、私たちが少し“お姉さん感”を出して、「大丈夫だよ」って言ってあげる曲にしようって。なので、よっちゃんとユニゾンで一緒に歌ってます。
- EMTG:“HEAT”っていう言葉に込めた思いは?
- PUSHIM:“熱を帯びる”っていうこと。よっちゃんとたまに会うと面白い。「元気やった?」って挨拶して、いろいろしゃべってると、二人は同じように頑張ってるのがわかって元気になる。「また頑張ろうね」って言って別れる。女性として働いてる説得力があるんです。彼女とは1年連絡取ってなくても、大丈夫なんですよ。そんないつもの二人のオシャベリを元にして曲作りをしていきました。今、自分がやってることへの情熱と、しんどさが伝わればいいなと思ってます。
- EMTG:「Tokyo City feat.MC漢」では東京のことを歌ってるね。
- PUSHIM:東京に来て13年経ったところで、そろそろ東京のことを書いてみようかなって。ちょっと慣れてきて、ギスギスした所だけど、自分を活かすための場所でもあるって歌ってます。
- EMTG:そして恋愛をしていない状態のアルバム作りは、どうだったのかな?
- PUSHIM:初の試みだし、正直、"作れんのかな?"って思ってました(笑)。恋愛っていうドラマがなかったから、身から絞り出した感じです。結果、出来上がってみたら、パーソナルな女くさいアルバムになりました。以前は自分の私生活を出すのは嫌だったんですけど、今回は赤裸々な自分がいると思います。これまでとは違って、これからの自分、10年後の自分を見てる感じがしてます。
- EMTG:ツアーも楽しみだね。
- PUSHIM:男の人にも来てほしいですね。いっつも女の子に連れてこられるんじゃなくて、今回は自分で来てほしいです(笑)。
- EMTG:ありがとうございました。
【取材・文:平山雄一】
リリース情報
It’s A DRAMA
発売日: 2013年03月13日
価格: ¥ 3,334(本体)+税
レーベル: キューンミュージック
収録曲
<Disc1:CD>
1. It’s A DRAMA
2. HEAT feat. EGO-WRAPPIN’
3. Mighty Princess
4. このルートじゃなくてもゴールはある
5. 夕陽
6. Oh-Oh
7. Tokyo City feat. MC漢
8. Sorry Mama
9. That’s my blues song
10. Hooray
<Disc2:DVD> ※初回生産限定盤のみ
・『HEAT feat. EGO-WRAPPIN’』Music Video
・「It’s A DRAMA」Behind The Scene(メイキング映像)
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■マイ検索ワード
MC漢
私はこの人の声が大好きで。言葉の詰まっているところのフローがすごい! そんなMC漢に、東京のことを歌って欲しかったんです。
■ライブ情報
PUSHIM LIVE TOUR 2013 “It’s A DRAMA”
2013/06/14(金)Zepp Tokyo
2013/06/21(金)Zepp Nagoya
2013/06/22(土)Zepp Namba
2013/07/05(金)福岡 DRUM LOGOS
2013/07/06(土)広島 CLUB QUATTRO
※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
MC漢
私はこの人の声が大好きで。言葉の詰まっているところのフローがすごい! そんなMC漢に、東京のことを歌って欲しかったんです。
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