凛として時雨のニューアルバムは4月10日リリース!
凛として時雨 | 2013.04.05
凛として時雨が5thフルアルバム『i’mperfect』を完成させた。前作『still a Sigure virgin?』からの2年半、ソロアルバムをリリースしたTK(Vo&G)をはじめとして、345(Vo&B)やピエール中野(Dr)も個々で活躍。全員が意思や技術を高めて今作で集結し、時雨らしい壮絶なアンサンブルを響かせている。前衛的な実験を試みたというよりは、自分たちをとことん掘り下げたような印象が強い。結果的に、音としての破壊力だけではなく、感情としての破壊力も、格段に上がった。TKによる歌詞も、彼の思いやバンドの姿勢が、いつになく素直に表れているような気がするのだ。容赦ない深化作について、TKに洗いざらい訊いた。
- EMTG:1曲目の「Beautiful Circus」から、時雨と言えばこれ、と言いたくなるようなバンドのアンサンブルが炸裂していますね。
- TK:前作『still a Sigure virgin?』はアコギやピアノが入っていて、言ったらライヴにおいて表現できることよりも、ちょっと背伸びをして、いろんなものを手に入れようとしていた時期なので、あれはあれで凛として時雨のカラフルな感じが出ていて好きなんですけど、やっぱりライヴを想定したり、ソロを経て、3人で何ができるか? って考えた時に、ぎゅっと詰まったパイプの中から3人の音を出すっていうところに無意識的に行ったのかもしれないです。できないことをやらないっていうネガティヴな考え方ではなかったんですけど、より3人ができることで一番カッコいいものを何か考えようかなって。それって、音を足していくことよりも難しいんですよね。だから、そういう意味での生みの苦しみは、いつもよりも強かったですけどね。より3人の音と向き合わなきゃいけないというか。
- EMTG:じゃあ、中野くんと345ちゃんが、どんなプレイヤーであるかを、より考える機会でもあったというか。
- TK:そうですね。ですし、今までにないところを、二人の中から見出そうとしていた自分もいたので。やっぱり、今まであったものだけでは、今作は作れなかった。中野くんも、今回は難しかったって言っていましたけど、やっぱり、凛として時雨っていう音楽を表現する上で、3人の音だけで構成するのは、音源においては自分の中では大変だと感じていたんですよね。変な話なんですけど。だから今作は、そこに対して、自分への挑戦でもありました。ちゃんと3人で完結させるっていう。
- EMTG:その結果、一人一人の色が伸び伸び発揮されていますよね。
- TK:345なんか、ベースをはじめた頃から一緒にやってますけど、凛として時雨っていう自分がイメージするフレームの中で、いろんなものを投げ掛けてきて、中野くんが入ってからも、難しいことや破天荒なことをやってもらっていたと思うんですけど、凛として時雨を追い掛けるうちに、ベースにもドラムにも……僕のギターもそうですけど、自然とアイデンティティが出てきたところはあるかもしれないですね。
- EMTG:TKくんの歌にも、感情がダイレクトに反映されるようにはなってきたんじゃないですか。「Missing ling」とかは特に、独白のような印象を受けます。
- TK:言葉っていう部分においても、ソロをやって少し膜がとれたのかなって思う時があって。自分の感情を、いつもよりもオブラートに包まないで作品に出来て、その感覚が今作にも出ているというか。いつもならそこまで言わなかったり、見えないところに隠したりするんですけど、結局そうなると人に見付けられないまま終わっちゃうんだろうなって、最近思っていて。自分としては恥ずかしかったりするんですけど、そこで目をつぶって出すことで、楽器が刺さるのとは違って、本質的な意味で刺さるっていうか。そういう普遍的なところから、人に伝わる何かを表現できるようになったのは、大きいかもしれないですね。
- EMTG:「キミトオク」は、時雨のスタンスも表れている気がしたんですよ。聴き手に単に名と音を知ってもらうだけではなく、奥まで連れて行きたいというような。
- TK:昔から、生まれてきたアイディアも、録っておかないと忘れちゃうんですよ。目の前にあるものにどれだけ詰め込めるかっていう思考回路しかないので、こういう曲をイメージしてこういう思いを込めてっていうような、曲の青写真も全くないんですけどね。それでも、自分や聴いてくれる人の記憶に残るものを、できるだけ作らなきゃいけないっていう。自分が忘れてしまうようなものは、人には伝わらないだろうから。
- EMTG:記憶に残りたいっていう言葉は納得ですね。時雨って、常に瞬間的な衝撃を与えてきたバンドだと思いますけど、今作はじわじわ残りますもん。
- TK:いつもと感覚は違いますね、自分で言葉を見ていても。この曲を書いた時は、これだけ自分で好きなように言葉や曲を書いてきたのに、そこに本当の自分がいるかどうかわからない……《偽物の完成形》っていう言い方をしていて、結果的にアルバムのテーマに近いものでもあったりはするんですけど、嘘をついているわけでもないのに、本物じゃない感覚に陥るというか。自分に対しては偽物っていう感覚があるけれど、それが人からは完成して見えているんじゃないかって。『I’m perfect』と『Imperfect』を掛けたタイトルとも直結してきますけど。
- EMTG:聴いてくれる人が増えるほど、葛藤が高まってきたところもあるんじゃないですか?
- TK:そうですね。聴く人が多くなればなるほど、作り出した音楽の中に居る人でありたいなっていう気持ちはありますけど、でも映し出しているものと映し出されているものの溝は埋まらないし。こういう音楽においては、埋まるべきではないとも思いますけど、埋めたいと思ってしまうところもあって。だから、自分でいることに罪悪感があるというか。
- EMTG:そういうことって、初期も考えていたんですか?
- TK:当時はそう思っていなかったけれど、考えていたかもしれないですね。結局、自分ってそんなに変われるものじゃないので。
- EMTG:逆の言い方をすると、めまぐるしく状況が変わっても、考え方が変わらないことは、強さであるとも思いますよ。
- TK:そう言ってもらえると(笑)。自分の中では満たされていない部分が自分たちの音楽になっていると思いますし。
- EMTG:曲数は9曲ながら、壮大な作品になったと思います。
- TK:このまま15曲くらいは厳しいですよね。戻れなくなっちゃう(笑)。
【取材・文:高橋美穂】
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ロタンティック シャーベット
ロタンティックっていうフランスのアロマデフューザーのメーカーがあって、そこのシャーベットっていう香りをまとめ買いしていたんですけど、もう売っていなくて。凄く好きだったので、なんとかして探そうとしているんですけど、全然見付からないですね。金木犀とかも凄く好きで、いつ咲いているのかな? って。匂いって記憶に残るじゃないですか。実は嗅覚に支えられて制作しているんです(笑)。
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※その他のライブ情報、詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。
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