「聞けば聞くほど味が出るスルメサウンド」が売りの、ハートフルなボーカルグループ「シクラメン」。2008年のデビュー以来、励まされ、温かい気持ちになり、愛しい人への気持ちを募らせる歌の数々を伝えてきた3人組だ。作詞/作曲担当のミドルキーのDEppa。クリアな歌声の肉だんご。ウォームで柔らかい歌の桃紅茶からなる彼ら。既に大型ホールをワンマンで完売させる人気を誇り、これまで発売してきた3枚のアルバムは、計15万枚の売上げを記録している。
そんな人から人へと伝えられ、ここまで人気を上げてきた彼らがメジャー1stアルバム『スルメ1』をリリースした。彼らがこれまでライヴで大切に歌ってきた楽曲やこれまでの作品からえりすぐり、そして、最新の彼らの伝えたい気持ちが、各曲テーマに乗って、聴く者に寄り添い、気づかせ、励ましてくれる、まさに彼らの集大成ともいえるアルバムだ。

EMTG：EMTG MUSIC初登場ということもあり、まずは結成の経緯から教えて下さい。

DEppa：元々昔から音楽が好きで。ケツメイシさんやゆずさんに憧れて、自分でも始めたんです。中でもケツメイシさんに凄く憧れがあって。そこから当初は3MCのスタイルを目指したんです。で、僕の頭の中にある地元の友達ファイルの中から、<歌がうまいヤツ>との検索をかけたところ、引っかかったのが弟の肉だんごと、その幼馴染の桃紅茶だったと。

肉だんご：「一緒にやる」とは答えたものの、最初はこんなに本気でやるとは思ってなかったですから(笑)。”面白そうだな”ぐらいで引き受けたんですけど…(笑)。

桃紅茶：僕は逆に、地元にDef Techがいたんで、ちょっと夢見させられたところがあって。”やるならやってやろうじゃないか!”と思いましたね。

EMTG：3MCというと最初はラップを?今はラップは所々交じりはするも、メインは完全に歌ですよね。

DEppa：そうなんですよ。最初の頃はけっこう頑張って韻とか踏んでいたんですけど、やっていくうちに、やっぱり自分たちは、テクニカルなところじゃないんじゃないかと。直球でやっていくのがウチららしいだろうって。元々3人共J-POP育ちという所もあり、そこから歌ものに移り出したんです。その辺りからですね、ちょっとづつ「いいね」と言われ始めたのは。

EMTG：歌への移行は?

肉だんご：スムーズでしたよ。

DEppa：その後、人前やショッピングモールでやっていく中で、”どうやったら人に歌を伝えられるか?”を考え始めたんです。僕たちが始めた頃のファンって、けっこう40代のおじさんや30代のお姉さんが多くて。若い子よりもそういった層の方々の方が先にファンになってくれたんです。そこから、”仕事で頑張ってほしい!!”みたいな曲等を、その人たちに向けて書き出して。その辺りから<言葉を丁寧に届けること>の大事さを意識し出しましたね。だったらメロディの方が届きやすいし、覚えやすいし、伝わりやすいだろうと。そこからですね、今のスタイルに向かい出したのは。

EMTG：今は<歌を伝える>というのが大前提になってますもんね。難しい言葉もあえて使わずに。そこも幅広い人にアピールできるポイントかなと。

DEppa：まっ、学の無さもありますが(笑)。だけど、不器用だけど真っ直ぐ届けるのが僕ららしいとは思ってます。

EMTG：これまで3枚出してきたCDが、累計15万枚売れたというのも聞いて驚きました。

DEppa：それには自分たちでもビックリで。

肉だんご：その辺りは、みんなが広めてくれた感を強く持ってますよ。お店の方も協力的だったし。インストアやショッピングモールで繰り返しライヴをやっているうちに気づいたら売れてました。

DEppa：なので僕たちの場合は、店頭もですけど、現場でCDが売れる率が高いんです。もちろん人がいない時や、歌ってても白い目で見られることもあったけど、その場を踏んでいくことによって、度胸はついていったし、”自分たちの伝え方は間違ってない!!”って、段々確信していきましたね。

EMTG：そんな中、いよいよ今回、1stフルアルバム『スルメ1』をリリースしたわけですが、まずは完成させた今の感想から教えて下さい。

DEppa：2年ぶりのアルバムということで、聴き返して感動が蘇りましたね。それこそ初めてのアルバムが完成した時の嬉しさと興奮をまた味わうことが出来ました。

桃紅茶：達成感に浸ると同時に、”今後これを更にどう広めていくか?”を考えてます。かなり満足したものが出来たんで、あとは広めるだけなので。今はそれこそ、”早く届けたい!””早くライヴやりたい!”の気持ちでいっぱいです。

肉だんご：僕らが今できることを全部詰め込みましたからね。早くみんなに届けたい。今はその気持ちが強いかな。

EMTG：もっとハチャメチャな作品内容になると予想していましたが、けっこう正統派できましたね。

肉だんご：落ち着いてる方でしょ(笑)?

DEppa：今回は今までの集大成ということで、あえてお行儀よくさせてもらいました。僕らも当初は、<これがいつものシクラメン>って感じで、“和洋中”色々なものが入り交じり、もっとハチャメチャなものになる予想だったんですが。今回はやはり勝負の作品だし、より多くの人に届けられるチャンスなので、これまで応援してくれた方も、初めましての方も喜ぶ1枚を目指したら、こうなったと。<どこを切っても良いアルバム>にしたかったというか。こんなにいい曲を持っているというのも僕たちの強みなので。まずは、まっすぐなシクラメンを届けてみました。

EMTG：かなり中身ハンサムな作品になりましたもんね。

肉だんご：見た目がこうなのに意外、みたいな? ヒドいなぁ(笑)。スーツ着ている感じではありますよ。僕らもそっちに行くのもいい機会だし(笑)。今回は特に曲でガッツリ勝負してますからね。まっ、ライヴでは相変わらずアホなこともやっているので、ご安心を(笑)。

EMTG：それにしてもいい曲ばかりで驚きました。

DEppa：”こんなに良い曲があるんで、頼むからみんな知ってくれよ!!”って感じの曲たちです。過去3枚のアルバムからも、今でもライヴで人気の高い曲を入れたし。過去に恥ずかしい曲は1曲もないことをこれで立証してます。

肉だんご：初めての方には、僕たちの歴史的なことを感じてもらいたかったし。始めましての人と、これまで応援してくれている人たちの顔を思い浮かべていたら、こんな選曲になってました。

DEppa：そうそう。初めましての人には、”なんだこいつら、いい曲だらけじゃねぇか!?”って思ってもらえると嬉しいし、今まで応援してくれている人たちには、”こいつら昔から変わらず良い曲を作ってるな”と実感してもらえたらなと。みなさんが、これを聴いて”私も頑張ろう!!”と思ってもらえたら本望です。

桃紅茶：結成からのシクラメンの5年分が歌にもメッセージにも曲調にも詰まってますからね。声の変化もだいぶ違うし。というのも、あえて昔の音源も録り直さずに、そのまま入れたんです。正直、録り直して入れても、当時ならではのガムシャラさや一生懸命さって今だと出せないところもあったんで。だったら、当時のままで行こうと。なので、本当の意味で、音源も含め、これまでの集大成とこれからを感じさせる1枚になったと自負してます。色々な面で素の僕たちを感じて欲しいですね。

肉だんご：当初は、聴いてくれる誰かが現れるなんて思ってもなくて、ただガムシャラに歌ってただけでしたから。情熱重視というか。だけど、今では歌っている時には、キチンと相手や聴き手が思い浮かんだりしますからね。その人たちに向けて歌っているというか。その変化や流れも楽しんで下さい。

EMTG：今作からは、<愛><音楽><頑張ろう>の込められたメッセージを強く感じます。

DEppa：元々自分たちは<音楽><愛><平和>を掲げてやってきたんです。なので今作も<ラブ><ピース><ミュージック>の路線は貫いていて。周りから、「何言ってんだよ、いまどき」と思われるかもしれないけど、それでもやり続け、伝え続けるのが僕たちかなと。

EMTG：タイトルは『スルメ1』なんですね。

DEppa：『2』『3』はあったけど、『1』がまだ使ってなかったというのと、メジャー1枚目だというのもあったし。ファンからは、”次のアルバムは当然『4』だろう”との予想があったんで、あえてそれを裏切ってみました(笑)。これは誰も予想できなかったんじゃないかな。このアルバムは思い入れも強く、勝負の1枚になると思うので、この『1』がチャートに1位になってくれたらの願いも込めて、このタイトルにしました。

EMTG：最後に今作の聴きどころを教えて下さい。

DEppa：どこを切ってもいい曲ばかりなので、初めましての人たちにも分かりやすく、非常に届きやすい内容だと思っています。是非みなさん聴いて下さい。

【取材・文：池田スカオ和宏】