Superflyがキャリア初のベスト盤をリリース
Superfly | 2013.09.20
- EMTG:シングル曲をリリースの順に並べた集大成的なベスト・アルバムですね。歴史を辿る意味でもざっと振り返ってみたいのですが、まずはデビュー曲「ハロー・ハロー」。始まりに相応しい曲でした。
- 志帆:そうですね。初めは3枚目くらいのシングルにしようという話もあったんですけど、急遽、この曲で勝負するぞって思って。改めて聴き直して、あの始まり方といい終わり方といい、デビューシングルとして完璧だなって思いました。これしか考えられない。これ、(元メンバーで現在は作曲家である)多保孝一が18歳くらいのときに書いた曲なんですよ。
- EMTG:初めて聴いたとき、歌詞にある通り、まさしく憂鬱を吹き飛ばすような歌声だなって思いました。
- 志帆:そういう願いを込めて歌いましたからね。
- EMTG:2ndシングルの「マニフェスト」は、いまもライブになくてはならない曲になってますよね。
- 志帆:うん。これは結成当時からある曲なので、もう9年くらい歌ってますね。アレンジもそんなに変わってない。最近、(LIVEでは)ホーンを入れるのが自分のなかでブームですけど(笑)。
- EMTG:休符の部分を大事にしながら作ったと、作者の多保さんは話してました。
- 志帆:そうでしたね。これを録音した当時って、隙間のある音楽が周りにあまりなかったんですよ。だから、浮いてました(笑)。でもその隙間を活かしながら歌う感じがすごく気持ちいいんですよ。
- EMTG:この曲でブルースハープを吹くのは志帆さんのアイディアだったんですか?
- 志帆:実は結成してから3人組の時期があって、その時はベースがいたんですよ。その人がブルースハープを吹くのが上手くて、当時は彼が吹いていたんです。それがすごくよくて。で、2人になってから私が吹くようになったんですけど。
- EMTG:それは知りませんでした。そして次のシングルでいきなり「i spy i spy」に飛んで。JET(オーストラリアのロックバンド)とのコラボレーション曲ということで、ちょっと異質な雰囲気でしたよね。でも改めて聴いたら、そんなに浮いている感じはしませんでした。
- 志帆:うん。私も違和感は感じなかったし、むしろこのベスト盤のなかでいいスパイスになっているように思いました。
- EMTG:この曲の制作では、初めに作って持っていったメロディが彼らによって完全に解体され、1から作ったと言ってましたよね。
- 志帆:そう。曲を壊すことに躊躇がない人たちだったので、すごいなぁ、柔軟だなぁってビックリして。でもそれが刺激的でもあったんですよ。例えばウィスパーボイスで歌うことなんて、それまでのSuperflyプロジェクトのなかでは求められていなかったんですけど、彼らに求められてやってみたらいい味が出せて。いろんな発見があったし、それが“もっと自分を表現したい”という気持ちにも繋がったんです。
- EMTG:その後、多保さんが、作曲家に転向するために脱退し、志帆さんひとりのSuperflyになって初めて制作したのが「愛をこめて花束を」でした。
- 志帆:はい。この曲から蔦谷(好位置)さんと制作するようになって。蔦谷さんは技術的な部分にこだわるのではなく、気持ちの入った表現さえできればピッチがずれても気にならない、むしろ崩して歌えっていうタイプなんですよ。自分の感情を曝け出して歌うことの大事さがわかり始めたのは、この曲からでしたね。
- EMTG:ここからソロ・ユニットとしてのSuperflyが始まり、いろんな発見をしながら表現の幅を広げていった。この次の「Hi-Five」以降は楽曲の幅もずいぶん広がりましたよね。8thシングル「恋する瞳は美しい」や9thシングル「Dancing On The Fire」ではディスコっぽいビートも取り入れてダンサブルなアプローチをしていましたし。
- 志帆:そうですね。「恋する瞳は美しい」みたいな曲を自分が歌うようになるとは昔は考えられなかったので、自分でも意外だったし、少し戸惑いもありました。やっぱり1stアルバムのイメージとはあまりにも違ったから。でもそういう曲をおもいきってやってみるのが楽しかったんですよね。で、「Dancing On The Fire」のときには攻められるところまで攻めきってしまえってなって(笑)。
- EMTG:そこから「Wildflower」「Free Planet」「タマシイレボリューション」とロック的な曲で攻める感じが続いたから、11thシングル「Eyes On Me」が出たときは新鮮でした。メロディもヴォーカル表現も味わい深い、あたたかなバラードで。個人的に大好きな曲です。
- 志帆:嬉しいです。いい曲ですよね、素朴だし。でもこれを大好きって言ってくれるなんて、けっこうマニアックですね(笑)。
- EMTG:そうですか? 志帆さんの女性的な面がすごく素直に表現されているところがいいなぁと思って。
- 志帆:ああ、そうかも。確かにすごく素直に書けましたね。けっこう私、男っぽいイメージが出来上がっているから、こういう甘い曲を歌うときには、周りの人たちもヒヤヒヤするみたいなんですけど。ほら、この曲って女子全開だから(笑)。
- EMTG:そこがよかったと思うんですけどね。こういう素直なラブソングは、もしかすると30代の志帆さんが進む方向性において大事なものになるんじゃないかとも思うんです。
- 志帆:そうなるといいですね。なんか、サラッと気持ちを書けるといいなぁとは思います。でも、ほっとくと、どうしても戦闘モードになっちゃうんですよね、私(笑)。
- EMTG:ところでこういった多彩なシングル曲に加え、このアルバムには新曲も3曲入ってますね。
- 志帆:はい。このアルバムのテーマは、一言で言えば“過去・現在・未来”。これまでのシングルをまとめただけじゃなく、現在から見た過去と未来を、いまを軸にして表現したかったんです。だから、過去・現在・未来と、それぞれを表現した新曲をレコーディングしました。
- EMTG:その3曲の配置も絶妙ですよね。現在を表わした「Bi-Li-Li Emotion」でDisc1が始まり、過去を表わした「Always」がDisc1からDisc2への架け橋となり、最後に「Starting Over」で未来を予感させながら終わるという。
- 志帆:はい。過去と現在と未来が繋がったアルバムになりました。
デビュー曲「ハロー・ハロー」からのシングル26曲に、新曲を3曲加えた『Superfly BEST』。このインタビューでは主に初期のシングル曲を改めて振り返ってもらいながら、志帆の表現者としての進化にスポットをあててみた。
【取材・文:内本順一】
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リリース情報
Superfly BEST(初回限定盤) [CD+DVD]
2013年09月25日
ワーナーミュージック・ジャパン
1. 新曲:Bi-Li-Li Emotion
2. ハロー・ハロー
3. マニフェスト
4. i spy i spy
5. 愛をこめて花束を
6. Hi-Five
7. How Do I Survive?
8. My Best Of My Life
9. Alright!!
10. 恋する瞳は美しい
11. やさしい気持ちで
12. Dancing On The Fire
13. Free Planet
14. Wildflower
15. Always
[Dics2]
1. タマシイレボリューション
2. Roll Over The Rainbow
3. Eyes On Me
4. Beep!!
5. Sunshine Sunshine
6. Rollin’ Days
7. あぁ
8. 愛をくらえ
9. さすらいの旅人
10. STARS
11. 輝く月のように
12. The Bird Without Wings
13. Force
14. Starting Over
[Disc3]
※初回限定盤のみ 全24曲のMusic Videoを収録!!
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お知らせ
長嶋茂雄
「Starting Over」という新曲の歌詞を書いていたとき、長嶋さんの国民栄誉賞の授賞式があったんです。それを見て私、号泣してしまって。球場に集まった全ての人がこの人の生き方に感動してるんだなって思ったら、すごく力が湧いてきた。それで晴れやかな気持ちになって書けたのがこの曲なんです。