コブクロ、4年4ヶ月ぶりのオリジナル・アルバムをリリース!
コブクロ | 2013.12.17
- EMTG:『One Song From Two Hearts』には、「流星」や「紙飛行機」といったお馴染みの楽曲も入ってますが、それ以外に関しては、どのように生まれたものなのですか。
- 小渕:2012年の11月に、初めて大阪マラソンを走らせてもらったんですが、走り終えた後、“なんか起こったのかな? 自分のなかに…”って思うくらい、不思議な感覚になって、「スタジオに入らせて」って言ったんですよ。そしたら9日間で18曲も出来たんです。しかも、きっちりと一日2曲づつ。午後1時に始めて5時には必ず1曲あげるって決めて、食事して、その後、午後6時からまた1曲あげるってやってました。まるでパートさんが毎日の仕事をこなすように(笑)。
- EMTG:凄いペースですね。なにかコツをつかんだとか?
- 小渕:素晴らしい先輩のシンガー・ソング・ライターの方達が大勢いらっしゃるじゃないですか? 実は、それらの方達を想像しつつ、「〇〇〇さんぽくやってみよう」みたいなことをしてたんです。でもこれは、あくまで“入り口”としてであって、出来上がったものは全然違うものなんですけどね。
- EMTG:その18曲なりが、ある日、黒田さんのところに届けられたのですか?
- 黒田:そうなんですけど、まだ歌詞もなくて、ぶっちゃけ感想を言うもなにもなかった。手当たり次第に作ったデモ・テープみたいな感じやったんです。でも結果的には、それが良かったんじゃないですか。細かいことは後で考えればいいし、まずは“雰囲気”や“流れ”でどんどん曲を作っていくというやり方のほうが、より“尖ったもの”、“今までにないもの”も出来ることが分かったのが今回のレコーディングでした。
- 小渕:歌詞を書く段になっても、「モノクローム」、「リンゴの花」、「ダイヤモンド」といった感じで、1日1曲づつ5曲連続とか書けたんですよ。ノー・アイデアで始めて毎日1曲書けたのが不思議というか…。でも今回のアルバムの曲って、もちろん僕らも一生懸命歌い続けていきますけど、出来た瞬間から“みなさんのもの”というか、口ずさんでもらえたら嬉しいな、という想いが強いんですけどね。
- EMTG:『One Song From Two Hearts』というタイトル曲も、その時同時に出来たんですか。
- 小渕:これはその後で新たに作ったんです。まるで2匹のイルカが同じ波でばぁーって同じ波を泳いでいくように、二人のハーモニーだけで盛り上がるような曲を作りたい、しかも僕が勝手に作るのではなく黒田と二人で作りたくて、新たにスタジオを取ったんですよ。で、この時もさっきの“〇〇〇さんぽい”じゃないけど、黒田がその時聴いてた音楽の、その誰かに“なる”みたいなことを、遊びのようにやっていて…。
- 黒田:確かクリス・ブラウンとか聴いてた頃で、ヒップホップというかクラブ・ミュージックというか、「あんなんええのになぁ」とか言ってた。でも結局、この二人でやってたらあんな風にはならない。ヒップホップっぽくはならない。むしろカントリーっぽくなりましたけど(笑)。
- EMTG:アルバム・タイトルに込めた想いって、どんなものだったのでしょうか。
- 小渕:「そろそろアルバム・タイトル決めないとなぁ」という時に、グループ名をそのままつけるのはどうかって思ったんです。つまり『コブクロ』ってタイトルはどうかなって。でも“One Song From Two Hearts”って、そのまま“コブクロ”と訳すことも可能かもしれないし、これがいいのかなって。
- EMTG:確かに“ふたつの心からひとつの歌が生まれる”となると、まさにコブクロですね(笑)。
- 小渕:実はこの言葉自体は既にあって、ツアーのタイトルを先に決めないといけなかったので、その時に思いついたものだったんですが…。
- EMTG:黒田さん、歌に対する姿勢で、変化してきていることとかあったら教えてください。
- 黒田:今回は前半のレコーディングと後半とでは、意識が違ったんです。「流星」や「Blue Bird」とかの頃は、「芯があまりない柔らかい声で歌おう」とか、スタジオ行く前にいろいろ準備してた。でも後半は、「どの発声がこのオケには合う?」かって、その瞬間のみちょっと考えて、あとは何も考えなくなりました。
- 小渕:昔の黒田だったら、ともかく何度も歌って自分の思う形にしてた。でもここ最近は、歌の入り口のとこさえパチンと合ったら、あとはもう全部通して歌うんですよ。
- 黒田:そのかわり、通して2回しか歌わない(笑)。
- EMTG:そしてもちろん、NHKのソチ・オリンピックのテーマ・ソング「今、咲き誇る花たちよ」のことを。曲調はアイリッシュな感覚もありますが…。
- 小渕:12弦ギターとマンドリン、さらにティン・ホイッスルやフルートが入っていて、イントロのメロディとかはそんな編成で大合奏してるんですよね。でもこうなったのは、オリンピックということもあり、「世界」を歌いたい、という意識からだったと思います。コブクロとして、そんなテーマで曲を書き下ろすというのは初めての経験でもありました。
- EMTG:歌詞の世界観とかはどうでしょうか。
- 小渕:もちろんソチ・オリンピックということで、出場する選手の方々をずっとイメージしていたんです。すべてを懸けて望む最高の舞台。そこに希望の花が咲くことを願いつつ…。ただ、アスリートの人達に限らず、そういう瞬間というのは僕らの何気ない日常のなかにも訪れると思うんですよね。
- EMTG:今回のアルバムは2014年のツアーへとつながっていきますが、最後に抱負をお願いします。
- 黒田:前回のツアーでバンドのメンバーが一部変わったりして、それだけでも刺激を受けるし、ただガチンと楽曲と向き合うだけじゃないリフレッシュの仕方も分かってきているので、それらを活かしてやれたらと思います。
- 小渕:次のツアーが特別なのは、『One Song From Two Hearts』というタイトルのツアーを、すでに2013年にやってしまっているということなんです。ということは、次はこのアルバムを引っ提げてのものではなくなるわけで…。でも、肩に力を入れず、大きな会場もお客さんを近くに感じられる会場も、いろいろな所に出掛けていければいいなって思いますね。
コブクロのオリジナル・アルバムは実に4年4ヶ月ぶりである。その間、カバー・アルバム、さらにベスト・アルバムがリリースされたものの、本人達にしてみたら「満を持して」という気持ちが強いだろう。でも…、実際に会いに行くと、二人はいつものリラックスした表情だった。そして彼らのど真ん中には、「歌」、があった。
【取材・文:小貫信昭】
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